本田圭佑も確信!進化を遂げる東南アジアのサッカーに期待「レベルがどんどん上がっていく」

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2月25日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、東南アジアのサッカーを特集。母国で活躍する元Jリーガーから、本田圭佑をはじめとする日本人指導者まで、東南アジアにおける日本の影響力を紐解いていった。

2026年の北中米W杯から、出場枠が32チームから48チームに増え、これに伴いアジアの出場枠も増加。次のW杯では、日本はもちろん、東南アジアの国々もこの枠を狙うことになる。番組では、放送開始時から経済発展と共に成長する東南アジアのサッカーを取り上げてきたが、近年はカタールW杯の予選で日本と接戦を繰り広げたベトナムをはじめ、これまで以上に進化が加速。悲願のW杯出場へ向け、東南アジア全体でサッカー熱がますます高まっているという。

そこで、番組では昨年末に開催された「AFF三菱電機カップ」に注目。この大会は1996年から2年に1度開催されており、10か国が東南アジアNo.1の座をかけて戦っている。大会ではAとBの2つのグループに分かれ、ホーム&アウェーの総当たり戦を実施。各グループ上位2チームが決勝トーナメント進出し、頂点を争うことになる。

「東南アジアのW杯」と呼ばれるほどの盛り上がりを見せるこの大会の優勝候補は、大会最多となる6度の優勝を誇るAグループのタイ。スピーディーにボールを繋ぎながら相手を崩す攻撃的なスタイルを得意とし、決勝戦ではBグループを勝ち上がったベトナムと戦った。

そんなタイ代表を牽引するのは、元Jリーガーのティーラシンとティーラトンの2人。ティーラシンは、サンフレッチェ広島などでプレーし、タイ人として初めてJ1でゴールを決めたストライカー。一方のティーラトンは、横浜F・マリノスなどでサイドバックとして活躍し、リーグ優勝にも貢献した。

Jリーグの練習強度や規律正しさなど、日本での経験を後輩たちに伝えているという2人は、今大会でも別格のプレーを披露。ティーラトンがピッチを縦横無尽に走り回り、キャプテンとしてチームを動かしたかと思えば、ティーラシンは決勝戦で目の覚めるような弾丸ミドルを放つ。この1点を守りきり、タイは7度目となる優勝を飾った。

2人の活躍について、タイのサポーターは「日本でプレーしてきた選手はプレーが洗練されて、動きに無駄がなくなっていると思います。たとえば、ボールを受け取ったら考えすぎず、すぐにパスをつなぐ。一方、タイリーグの選手はボールをキープして考えてしまう。こうした違いが彼らのおかげで改善されてきました」と喜ぶ。

日本がタイに与えた影響は計り知れないが、一方でこんな懸念も。スタジオの森香澄アナウンサーが「日本のジャパニズムみたいなものが伝わっているのはうれしいですけど、それが怖い部分もありますよね」と、東南アジアの成長が日本サッカーの脅威になるのではないかと尋ねると、番組MCの勝村政信も「W杯のアジアの枠が増えたら、日本だってやられる可能性があるわけだから。だから恐ろしい」と同調していた。

実際に、アジア各国からの要望に応じて日本は40人以上の監督や指導者を派遣。東南アジアのレベルアップに寄与している。今回の『AFF三菱電機カップ』でも、前田大然を育てるなど、育成に定評のある西ヶ谷隆之がシンガポール代表監督を務め、元日本代表の本田もGM兼総監督としてカンボジア代表を率いていた。

本田は以前、「東南アジアの国のレベルがどんどん上がっていくと思います」と予見。その上で、「カンボジアのスタイルを確立するっていうのをミッションに掲げてますんで、しっかりボールをつなぐ、ボールを大事にするっていうのを意識してやっています。我慢強くチームを強くしていけたらなと思っています」と意気込んだ。カンボジアは格上のタイやインドネシアには及ばなかったものの、本田の指揮のもと、グループステージ3位という成績で今大会を終えている。

また、サポーターとして、東南アジアのサッカーに熱い視線を送る人物がいた。日本にサポーター文化を定着させた植田朝日は「世界を見渡して、どこが一番面白いって言ったら断トツで東南アジアなんですよ」と主張する。過渡期にあるからこそ、トップレベルの国にはない盛り上がりを体感できるという植田は、現地サポーターと交流しながら、確かな熱を感じていた。

こうした東南アジアの可能性には日本企業も注目しており、「AFF三菱電機カップ」は今大会から三菱電機がタイトルスポンサーを務めている。さらに、三菱電機は大会スポンサーだけではなく、東南アジアの5か国で子どもたち向けのサッカークリニックも開催。平均年齢が約30歳と、若い力にあふれる東南アジアでの未来につながる試みには、勝村も「素晴らしいと思います、誇らしいですよ」と絶賛する。

そして、日本が主体となって東南アジアのサッカーレベルの上げていく重要性にも言及。勝村は「とりあえず、日本はアジアでまだNo.1の地位は持続していると思うので、金銭面も技術面も、あとメンタルの面もいろいろ含めて、本当に世界基準になっていくためには、まず日本がステップになって先導することが大事。自分たちだけが良ければいいんじゃなくて、やっぱりアジアの責任があるんじゃないかなと思いますね」と強調した。

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