元日本代表の稲本潤一、元カメルーン代表との衝撃エピソードを告白「大蛇が出てきた」

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10月29日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、元日本代表の稲本潤一をゲストに迎え、2002年に開催された日韓ワールドカップが日本にもたらしたものを探った。

20年前に行われた日韓大会で2ゴールを上げた稲本は、日本を初のベスト16入りに導いたレジェンドの一人。そして、43歳になった今も関東サッカーリーグ1部の南葛SCでプレーする現役選手でもある。森香澄アナウンサーから「今も現役でプレーされているご自身っていうのは、当時想像してらっしゃいましたか?」と聞かれると、「30歳後半くらいで辞めているなと思っていたんですけど、今もしがみついてやっています」と返し、現役を続けているモチベーションについては、「やっぱりサッカーが好きだっていうのしかないですね。どんな環境でもチームメイトとボールを蹴っていると楽しいので」と、心境を明かした。

稲本らの活躍で過去最高の盛り上がりを見せた日韓大会は、日本各地に様々な影響を残している。人口100万人を超える東北随一の都市、宮城県の仙台市は日韓大会でイタリア代表がキャンプを張った場所。市内のベーカリーは、イタリア代表の支援団体へ毎日のように100本以上のバケットを収めていたという。また、イタリアのメディア関係の情報発信の拠点として活用されていた市内のイタリア料理店には、イタリア代表選手たちも来店。店主はその実績を買われ、香川真司のドルトムント時代のプライベートシェフをしていたこともあったのだとか。

デルピエロやトッティにブッフォンなど、当時のイタリア代表は正真正銘のスター軍団。代表チームが滞在していたホテルでは、選手たちのサインと、大会でも着用した公式ユニフォームが飾られており、支配人は「ホテルの方では選手にサインを求めるということはしないルールなのですが、“僕たちのサインが欲しくないのか?”みたいな話がありまして、“僕たちは全然するから”と、数多くのお土産やサインをたくさん頂戴しました」と、選手たちとのエピソードを披露した。

スタジオでは、稲本が当時のイタリア代表の強さを熱弁。「イタリアのセリエA自体も強かったので、選手の名前を見ただけで、やっぱすげえなっていうのは今でも思いますね」と語った。

そのすごさは、地元の子どもたちにも大きな影響を与えている。仙台ではイタリア代表を招致した記念に、ジュニアユースのサッカーチームA.C AZZURRIを創設。イタリア代表のニックネームを冠するこのチームは、市内屈指の強豪として知られており、イタリア遠征ではユヴェントスFCの同じカテゴリーのチームとトレーニングマッチを行っている。

中学年代からサッカーレベルの向上を図るこの取り組みに、稲本は「サッカーの幅も広がると思いますし、やっぱりイタリアの違う文化に触れるっていうことも子どもの成長にもつながると思うので」と感心。ノンフィクションライターの宇都宮徹壱によれば、A.C AZZURRIの卒業生の中には、Jリーガーとして活躍が期待されている選手もいるという。

続いて、番組スタッフが訪れたのは、日韓大会でカメルーン代表のキャンプ地となった大分県の中津江村。エムボマやエトーなどのスター選手が滞在することもあり、人口約800人の小さな村は日本中から注目を集めることになった。村のスポーツセンターには今も看板や記念品などが飾られており、当時を知る職員はカメルーン代表について、「私たちスタッフにも気さくに声かけてくれ、親しみやすかった。いろんなイベントにも参加してくれて、すごく密な時間でした」と振り返る。

ガンバ大阪時代にエムボマとチームメイトだった稲本は、「浪速の黒豹」とも呼ばれたエムボマとの出会いについて、「すごいのが来たなっていう。本当に衝撃でした」と回顧。高い身体能力を誇るエムボマのサッカーに驚いたことを打ち明けた。当時17歳だった稲本はパスのタイミングなどでエムボマから怒られることもあったと言い、「でも、逆にアシストしたときは、すごく褒めてくれるので、それ欲しさにやっていました。アメとムチです」と笑わせた。

さらに、当時カメルーン代表でその後、トルコ・ガラタサライでチームメイトとなったソングから自宅へ招待された際のやり取りも告白。稲本はソングから食事として“大蛇”を振る舞われたそうで、「それ食べろって言われました。『これなんや?』って聞いたら、大蛇やって言われて。『おお~そうか、いただきます』って言って、いただきました」と話す稲本に、MCの勝村政信ら出演者一同も驚いていた。

そんなエムボマやソングらカメルーン代表は、地元に暮らす高校生の人生も変えてしまっていた。大会前の練習試合でカメルーン代表と一戦を交えた当時高校生の生口明宏さんは、選手たちの体格やスピードに圧倒される。その影響もあり、高校卒業後も地元大分でサッカーを続け、社会人チームのHOYO AC ELAN大分に所属。実はこのHOYO AC ELAN大分こそ、2020年にJFLを制したヴェルスパ大分の前身となるチームだった。

現在、ヴェルスパ大分のGMを務めている生口さんは「カメルーンが来たことによって、高校3年生だった私のサッカー熱に火が点きました。同じような経験を未来の子どもたちにしてもらいたいし、そういったことが大分を盛り上げるための力になれば」と熱く語る。

カメルーン代表が地域に与えた影響の大きさに、勝村も「なんかすごいことになっていますね、この20年で。ああいうチームが強くなってJリーグを目指したり、代表を目指す選手が生まれはじめたりしているっていうのはすごいですね」と驚き、稲本も「子どもたちにとってはすごく貴重な財産になっているなと思いますし、やっぱりワールドカップが残したものは大きいのかなとは思いますね」と締めくくった。

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