清水のレジェンド・澤登正朗が「絶対に強くなる」と断言!“サッカー王国”静岡の復活に期待

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清水エスパルスのレジェンドであり、元日本代表の澤登正朗が8月20日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)にゲスト出演。MCの勝村政信や解説の戸田和幸らと、サッカー王国の復権を目指す静岡について語り合った。

6月の代表戦、日本代表選手の出身県を見てみると、神奈川県が最多の7人で、3人の大阪府と2人の埼玉県がこれに続いている。かつて日本代表には、三浦知良中山雅史名波浩高原直泰小野伸二など、錚々たる静岡県出身者が名を連ねていたが、今は伊藤洋輝ただ1人。Jリーグでも静岡県のチームは良い成績を残せていない。

清水市(現・静岡市)をホームとする清水エスパルスは、1993年のJリーグ開幕初年度に3位の好成績を収めると、1996年にはナビスコカップで優勝し、チームとして初のタイトルを獲得。その後も、J1での2ndステージ優勝を果たし、2002年には天皇杯王者に輝くなど、リーグ屈指の強さを誇っていた。しかし、それ以降、20年近くタイトルからは遠ざかってしまっている。

1996年~2002年まで清水エスパルスに所属していた戸田は、チームの黄金期について、「試合になったら、ピッチ内からの圧とスタンドからの圧に負けないようにプレーをしていました。要求度は高かったですし、勝つのが当たり前の土地だったんです。日本一じゃなきゃダメだし、強くなきゃダメだった」と振り返った。

当時、清水エスパルスと共に静岡を盛り上げていた磐田市をホームとするジュビロ磐田も、1997年に初の年間王者に輝き、2002年にはJリーグ完全優勝を果たしている。しかし、今シーズンはJ1の最下位に転落。降格の瀬戸際にまで追い込まれていた。

戸田と共に、清水エスパルスの中盤で活躍した澤登は、サッカー王国の衰退について、「ちょっと心が痛いなという感じがする」と心境と吐露し、「ジュビロやエスパルスがなかなか成績を残せていないという状況が大きいのかなという印象です」と言及する。

戸田は「他の都道府県が指導者層も含めて努力をして、逆に静岡が遅れを取り、逆転した感じになっている」と、他のチームの躍進を指摘。「日本サッカー全体でいえば底上げがされている」としながらも、「静岡からすると、ずっとナンバーワンだった立場ではなくなってしまったわけで」と複雑な心境をのぞかせた。

そんな中、サッカー王国の輝きを取り戻すべく、静岡全体で様々なプロジェクトが始動。その一つが、クラブの垣根を超えた前代未聞の取り組みだった。藤枝MYFC、アスルクラロ沼津、清水エスパルス、ジュビロ磐田という県内4つのクラブの選手会が手を取り合い、2020年に「ONE SHIZUOKA PROJECT」を発足。子どもたちを招待してサッカー教室を開催するなど、選手が主体となって静岡を盛り上げようとしている。

クラブ単体でもサッカー王国の復権を目指し、地域に根ざした取り組みを実施。清水エスパルスでは、2017年に現役を引退した高木純平がクラブ広報となり、認知度向上を目指した広報活動を行っていた。高木が手掛けるのは、シェアサイクル事業のパルクル(PULCLE)。クラブのマスコット・パルちゃんを自転車にあしらうことで、サッカーを身近に感じてもらおうと考えた。この取り組みは、クラブの社会連携を表彰する2021年の「シャレン!アウォーズ」でパブリック賞を受賞。チームの認知度向上に貢献している。

7月にはクラブの創設30周年を記念し、新たなるファン獲得のために新国立競技場でホームゲームを開催。清水が舞台の国民的漫画「ちびまる子ちゃん」とコラボしたエンターテインメント性あふれる試合前の演出は大好評を博した。この日の観客動員数は、なんと清水エスパルスのホームゲーム歴代最多となる5万6131人を記録。この数字には、澤登も「あれだけの人が応援に来てくれたということを背負って戦えば、選手たちにも間違いなく変化は見られると思います。ここから先、期待したいと思います」と目を輝かせた。

また、静岡ではサポーターによる取り組みも活性化。磐田市の選手やサポーター御用達の定食屋では、元日本代表の守護神・川口能活が実際に食べていたオリジナル定食を再現。サバの塩焼きやだし巻き卵などが中心のメニューに、勝村も「選手がどうやって体を作ってるかっていうことを認識するのはとても大事なこと」と感心する。

川口のように、かつて日本代表を彩っていたのは静岡県出身のスター選手たちだった。再び静岡の時代を取り戻すカギとなるのもスター選手の存在に他ならない。清水エスパルスでは、次世代のスター選手育成のため、2018年に長年チームを支えた森岡隆三をアカデミーアドバイザーに招聘。今年には澤登もユースの監督に就任し、育成からの改革に乗り出している。

サッカー指導だけではなく、人間教育も重視しているという澤登は、「(ユースの選手は)まだ高校生なので、意外とそこでつまずいてしまうことも多い。サッカーだけではなく、人間力を上げていくことで、サッカーも自然と伸びてくる。そこが実際にユースを指導して感じたことです」と打ち明ける。

そして、「清水エスパルスの中心になれる選手を作っていかなければならない」と意気込む澤登は、「近々って言っていいのかどうか分かりませんけど、絶対に強くなると思います」と断言。勝村から「澤登さんが戻ったということは王の帰還ですから。復活すると思います。しなかったら、澤登さんのせいですから」と振られると、「任せてください!」と力強く返していた。

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