元日本代表・中村憲剛、サッカー低関心層を振り向かせるための挑戦「本当にズタボロでした」

公開:

元日本代表の宮本恒靖中村憲剛が、2月4日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)にゲスト出演。サッカー人口を増やすための取り組みについて、MCの勝村政信らとトークを繰り広げた。

今年の2月1日に、宮本はJFA(日本サッカー協会)の理事から専務理事に昇格。会長、副会長に次ぐナンバー3となった。2020年に現役を退いた中村は、翌年の2021年4月1日にはJFAグロース・ストラテジストに就任。JFAの登録制度改革を進める中で、サッカー人口を増やすための活動に注力している。

サッカーに携わる人の割合は、欧州などと比べると日本はまだまだ低く、サッカー人口の増加が喫緊の課題となっている。そこで、JFAではサッカーファンの定着を狙った初の公式アプリを開発。昨年11月にリリースされた「JFA Passport」は、各カテゴリーの試合結果が分かったり、オリジナル動画が楽しめたりと、JFAの提供するサービスを総合的に利用できるアプリなのだという。

また、JFAが主催するイベントにアプリを通じて参加することも可能に。アプリの開発に携わった宮本は「最初はホームページとアプリの内容が一緒だったので、もっと違うものを作ろうとしました。開発にはお金がかかりますが、それを置いておいても本当に魅力的なものを作っていかなきゃいけないと思っています」と言葉に力を込めた。

実際に、アプリによってサッカーファンがサッカーに触れる機会は増えたが、問題はサッカーに興味がない人をどう振り向かせ、アプリを利用してもらうのかということ。その任務を託された中村は、昨年の4月に母校の中央大学を訪れる。目当ては、サッカーに興味のない低関心層。中村は、あえて低関心層の学生たちから意見を募り、アプリの開発に役立てようとしていた。

しかし、出てきた意見は辛辣なものばかり。ある学生は「サッカーって他のスポーツと比べて点が決まりづらい。90分とちょっと長めなので、見る価値がないって言いすぎですけど」と述べ、一言、「コスパが悪い」と付け加えた。また他の学生は試合の楽しみ方について「素人にはちょっと分からない」と主張し、「テレビで試合をやっていても、違う番組にしちゃう」とバッサリ。学生たちの声を受けた中村は「本当にズタボロでした。あの空間結構しんどかったですよ」とショックを受けつつも、「けど、あそこで取り繕われるよりも、よっぽど良かったなって僕は思っていて」と前向きにとらえていた。

その後も中村は学生たちとのディスカッションを重ね、ついにアプリがリリース。すでに12万人以上の利用者が登録しているが、現状の登録者数は伸び悩んでいるのだとか。学生たちからは「登録が面倒くさい」「見た感じが使いにくそう」などのネガティブな意見も噴出。中村はリリース後も学生たちと議論を重ね、アプリがより良くなるための方法を模索した。

こうして、今年の1月には学生たちからJFAにアプリの改善案が提出される。「ポイント機能を使ったアプリへの導入」や「メタバース(仮想空間)でのサッカー疑似体験」など、学生ならではの発想に、中村も「僕らの世代ではたぶん出ないアイデア」と絶賛し、「彼らは日常的にアプリも含めてサクサク使っている世代なので、彼らならではのオリジナルの意見がたくさん出た。ありがたかったですね」と感謝した。

そして、JFAではアプリ以外の取り組みにも注力。実はJFAは、2003年からプロの指導者を幼稚園や保育園、小学校に派遣し、子どもたちにサッカーの楽しさを伝えていた。去年だけでも全国120か所を回り、各地域にサッカーの普及を行っている。

同時に、昨年の11月からはポケモンとのコラボ企画も始動。動きの基礎から、ボールを使ったテクニックまで、子どもたちがサッカーに関するチャレンジを一つずつクリアしていき、全てクリアするとポケモンとコラボしたバッグとサッカーボールがもらえるという。宮本は「サッカーだけじゃなくて、子どもの健康とか成長にもつながるところも意識はしていますね」と、企画の狙いを明かす。

また、「やっぱり普及をしっかりやってきたから、今回のワールドカップみたいな成績につながるんですよ。選手が生まれ育つ環境を我々は絶やしてはいけない。少子化になってはいきますが、子どもたちにプレーをしてもらえるような環境づくりを続けなきゃいけない」と、子どもたちのサッカー環境の向上に意欲を示した。

一方で、こんな問題点も。中村は「土日は試合とJリーグが被るじゃないですか」と切り出し、小学校から中学、高校、大学まで、原則的にサッカーの試合は土日に行われるため、同じく土日に開催されるJリーグの試合を子どもたちは見ることができないと訴える。中村は「12歳くらいまでは大きく影響を受ける世代でもある。一番見なきゃいけない世代が見られなかったりするんですよね。それをなんとかできたらいいなって」と問題提起。勝村は、JFAの専務理事に昇格したばかりの宮本に期待を寄せていた。

日本サッカーの未来を背負う宮本と中村の2人は、番組の最後にメッセージを伝える。中村は「サッカーが続けられる場所っていうのをサッカー界で作っていかないといけない」と改めて意気込み、「いろいろな層のいろいろなカテゴリーの方たちが、もっとサッカーに日常的に触れられるようにするべきだと思いますし、いろいろな方たちの知恵を借りながら、もっとやっていけたらいいなと、今日話していてすごく感じました」と、今の思いを明かした。

宮本は、勝村の「Jリーグも地域の子どもたちの試合もみんなが見に行くような、サッカーを“生活”にしていきたい」という願いに、「土壌を広げるというのはすべてつながっていることだと思う」と反応。続けて、「ブームじゃないものにしていくことが大切だと思います」と締めくくった。

画像ギャラリー

PICK UP