稲本潤一、カタールW杯に挑む日本代表へ熱いメッセージ「周りの声や批評は気にせずに」

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11月5日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、前回に引き続き、元日本代表の稲本潤一がゲスト出演。カタールワールドカップを直前に控える日本代表へメッセージを送った。

森保ジャパンのメンバー26名も決まり、本番に向けてギアを入れる中、番組では今回も「ワールドカップが持つチカラ」を紐解いていくことに。まず、番組スタッフが訪れたのは、2002年の日韓ワールドカップでアルゼンチン代表のキャンプ地となった、福島県のJヴィレッジだった。

Jヴィレッジは、1997年に開設された日本初のナショナルトレーニングセンターで、日韓大会ではアルゼンチン代表のバティストゥータやシメオネ、カニージャらが合宿を行っている。

しかし、当時は厳戒態勢が敷かれており、選手たちは一切Jヴィレッジの外に出ることができなかったという。そこで、アテンドを担当したスタッフが選手たちにリフレッシュしてもらおうと開いたのが、肉の塊をじっくり焼くアルゼンチン式のバーベキュー「アサドパーティー」だった。さらに、バティストゥータからテレビゲームの対戦を求められたスタッフもおり、次第に日本とアルゼンチンの絆は深まっていく。

その絆は20年近く経っても薄れることなく、2019年のラグビーワールドカップの際に、アルゼンチン代表はJヴィレッジで合宿を実施。地元でも日韓大会をきっかけに、ビッグイベントの際にはアルゼンチン代表に来てもらいたいという期待感が高まっているのだとか。他にも、Jヴィレッジではブラインドサッカーでアルゼンチンと交流するなど、今なお親しい関係が続いている。

スタジオでは、稲本が「違うスポーツにまで影響を与えているのは、Jヴィレッジのおもてなしが素晴らしかったからだと思う。それは日本が誇ることなのかなと思いますね」と指摘。ノンフィクションライターの宇都宮徹壱は、東日本大震災によってJヴィレッジが復興のための前線基地になったことにも触れ、「すべての復旧作業が終わって、元通りになったところに、またアルゼンチンが来てくれたっていうのは本当に素晴らしい」と絶賛した。

続いて番組スタッフは、日韓大会でクロアチア代表がキャンプを張った新潟県の十日町市を取材。当時のクロアチア代表といえば、フランス大会で得点王に輝いたシューケルや、中田英寿のかつての同僚であるラパイッチなどがいたチーム。彼らが合宿を行うために作られたグラウンドは地元住民によって「クロアチアピッチ」と名付けられ、現在は北信越女子リーグ2部で戦うFC越後妻有のホームグラウンドとして使用されている。

また、日韓大会の翌年からは、「クロアチアカップ」と称したジュニア年代による大会も開催。過去にはクロアチア大使館チームも参加し、2018年にバロンドールを受賞したモドリッチもプレーしている。

十日町市とクロアチアの関係はサッカーだけにとどまらない。クロアチアとの絆を深めるべく、クロアチアの国際交流員がアドバイザーを務める民間交流団体が設立され、クロアチアのホストタウンにも認定。クロアチア映画の上映やコンサートの演奏など、交流は多岐に渡っている。

このように、福島や新潟はサッカーの枠を超えた友好関係を築いており、MCの勝村政信も「ほとんどの町で交流が続いているんですね」と感心。そして、番組では選手自身が感じた「ワールドカップのチカラ」にも着目する。稲本といえば、日韓大会で2ゴールを決めて日本を初のベスト16に導いた立役者。当時の状況について聞かれた稲本は、「初めてのワールドカップでしたし、僕とか小野伸二とかは一番若かったので、もう本当に好き勝手やらせてもらった記憶があります」と振り返った。

日韓大会の時点で、稲本はまだ22歳。大会で決めたゴールは、日本代表の最年少得点記録として、今も破られていない。世界最高峰の舞台で強烈なインパクトを残せた理由について、稲本は「騒がれるのに慣れていたチームだったと思うんです。当時のサッカー人気ってすごかったので、リラックスして大会に臨んでいたと思います」と分析。

当時まだ子どもだった今の日本代表メンバーである南野拓実伊東純也三笘薫らにも稲本の活躍は伝わっていたはずだという宇都宮の言葉には、「それだと嬉しいですし、やっぱりそうやって繋がっていくのがサッカー文化になっていくと思うので。代表になって良かったです」と返していた。

最近では、子どもの親世代から声をかけられるそうで、稲本は「お母さんが“稲本選手だよ”って言っても、子どもはきょとんとしているんですよ」という、世代間ギャップを感じさせるエピソードも披露。「お母さん世代には強いです」と胸を張って、笑いを誘った。

そんな稲本が、カタールワールドカップに挑む選手たちへメッセージを送る。「選手からしたら、すごく楽しみなリーグに入ったと思う」と切り出した稲本は、「周りの声だとか、批評だとかは正直気にせずに、全力でやってほしいなと思います」と、自身の思いを伝えていた。

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