なでしこジャパンが再び世界一に輝くには?池田太監督の体を張った“熱い指導”が勝利の鍵

公開:

なでしこジャパンの監督を務める池田太と、かつてなでしこジャパンを率いた佐々木則夫が、10月22日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)にゲスト出演。MCの勝村政信や解説の坪井慶介らと共に、なでしこジャパンの今後について、トークを繰り広げた。

去年からなでしこジャパンを指揮する池田は、これまで数多くのJリーガーや代表選手を育成してきたトップ指導者の一人。元日本代表の坪井にとっては浦和レッズ時代のコーチでもあり、「いろんなことを相談できるし、ウォーミングアップでもいつも先頭を走っていて、うるさくて、声を出しすぎて枯れていました」と証言する。

当時のことについては、池田も「坪井さんが選手の時は、本当にいろんな個性のある選手ばかりだったので、その時の経験っていうのは今にも生きています」と回顧。高い指導力を身に着けた池田は、2017年に女子のアンダー世代の監督に就任し、翌年の2018年には、チームをU-20女子ワールドカップ優勝に導いている。

連覇をかけて挑んだ2022年のU-20女子ワールドカップでも、日本はフランスやブラジルを撃破し、決勝でスペインに敗れたものの、準優勝に輝いた。勝村は「佐々木先輩のチームのように笑顔が多かったですよね。あのプレッシャーの中で」と、ヤングなでしこの活躍に感心。2011年になでしこジャパンを史上初のワールドカップ優勝へ導いた佐々木は、「最初は熱くやっているじゃないですか。そういうところから、今度は俳優になるんですよ。笑顔を見せると選手が安心するから」と、池田の策略を明かして笑いを誘っていた。

佐々木は、今大会で4ゴールをマークし、準優勝にも関わらずMVPに輝いた18歳の浜野まいかを絶賛。「世界の人たちにも、彼女のプレーと献身的な姿勢というのは、目立ったんじゃないですかね」と褒め称えた。

来年7月に行われる女子ワールドカップでは、浜野のような若手の台頭も期待されるが、海外組の存在も見逃せない。今年10月に行われた2つの代表戦では、史上最多となる8人の海外組が招集された。もちろん、WEリーグを引っ張る経験豊富な選手たちも健在。そんな、若手と海外組とベテランをまとめて、力を引き出すのが池田の指導術だった。

2014年に代表デビューして以降、活躍を続ける猶本光は、クロスの練習の最中に池田が守備に入ってスライディングをしてくれたと言い、「すごい体張ってくれるなっていう印象はありました」と振り返る。そして、池田の“熱さ”は試合中も変わらない。猶本は「得点取ったり、スーパゴールが入ったりすると、“ブラボー”って言ってくれるので、結構“ブラボー”待ちしています」と明かした。

選手に「ブラボー」と声をかけていることをいじられた池田は照れながらも、練習中にスライディングをするのはトレーニングにリアリティを持たせたいからだと説明。坪井は池田の情熱に対し、「熱量を相手にちゃんと伝えられるっていうのが素晴らしいところかなと思いますし、そういったものを言語化して伝えることのできる人」と評していた。

池田は、チームに一体感を持たせるためのコミュニケーションも実践。U-20女子ワールドカップでは、池田のある行動がチームをまとめ、選手の士気を高めていた。キャプテンを務めた長江伊吹は「(池田は)盛り上げ役として声を出してくれるし、練習後も必ず選手一人ひとりに“コンディションどう?”っていう風に聞いてくれる」と打ち明け、「チームのお父さん的な感じかな」と表現。練習や試合以外では、選手と一緒になってふざけたり、トランプのババ抜きに興じたりと、池田の人柄がチームの雰囲気の良さにつながっていることを強調した。

池田はチームづくりに欠かせないのは安心感だとし、「自分の持っているものを出すことがチームへの貢献になるという、居場所への安心感というか、そういうことを気にして声かけすることはあります」と打ち明けた。

2021年10月には、アンダー世代と兼任する形で、なでしこジャパンの監督に就任した池田。今後の課題は、海外組の経験をどのように代表へ落とし込むのかということ。8月にイングランドのウェストハム・ユナイテッドFCウィメンに移籍した清水梨紗は、海外選手のボールへの執着心に圧倒されたという。ヨーロッパで2シーズン目を戦う林穂之香は「ゴールに向かう迫力や縦への推進力っていうのはすごいあります。パスと個人で剥がすというところが、うまく組み合わさっている」と、欧州のクラブにおけるチームと個のバランスに言及した。

チャンピオンズリーグの観客数が9万人を超えるなど、海外では女子サッカーが空前のブーム。日本でも2011年になでしこジャパンが世界一に輝いた直後のリーグ戦は、多くの観客が詰めかけている。JFA女子委員長でもある佐々木は、2年目となるWEリーグに対して、「1シーズン目の反省を踏まえて、質の高いもっとスペクタルな試合を展開してくれると思います」と期待し、「それが代表にも繋がってくることになりますので、ぜひスタンドに足を運んでいただいて、観戦していただければと思います」とアピール。

池田も「女子サッカーの素晴らしさや、女子サッカーの楽しさも伝えていければなと思っています」と抱負を語り、なでしこジャパンの王座奪還については、「来年のワールドカップに向けて、勝利の可能性をどんどん高めるために、これから準備していきたいと思います」と意気込んだ。

画像ギャラリー