サッカー元日本代表の内田篤人や大久保嘉人も絶賛!FC今治の新スタジアムに込められた岡田武史の思い

公開:

サッカー元日本代表監督の岡田武史が、3月11日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)にゲスト出演。岡田がオーナーを務めるFC今治のクラブ哲学を紐解いていった。

今回から、Jリーグ60クラブの哲学や未来に迫る新シリーズ企画「Jリーグ・クラブイズム」が始動。記念すべき第1回目に取り上げられたのはJ3のFC今治で、岡田はクラブの運営会社でもある今治.夢スポーツの代表取締役会長を務めている。3年ぶりの番組出演となった岡田は、MCの勝村政信や解説の坪井慶介らに、まずFC今治の新スタジアムとなる今治里山スタジアムが完成したことをアピールした。

番組では、今年の1月29日に行われた今治里山スタジアムのオープニングイベントに密着。セレモニーには、岡田を慕うサッカー元日本代表の内田篤人大久保嘉人玉田圭司中澤佑二松井大輔らが駆けつけた。インタビューに応じた内田は、今治里山スタジアムについて、「お客さんとの距離も近いですし、新しい風が吹くようなスタジアム」と表現。実際に今治里山スタジアムのスタンドはピッチと近い上に、段差のないシームレスで、選手たちの息遣いまで聞こえてくる距離感だという。

また、スタジアムが壁に覆われていないのも特徴の一つ。エリアごとの仕切りもないため、ホーム側とアウェイ側の応援席を一周することもできる。他にも、子どもが安心して遊べる芝生広場やカフェ、ドッグランやレンタル農地などを設け、自然との共生を目指す。

スタジアムのコンコースには今治の伝統工芸でもある瓦を用いた「里山プレート」が埋め込まれており、このプレートの売上金がスタジアムの設備投資に回される。プレートは一般にも販売されており、価格帯は様々。岡田は「50万円の高いのもあります。本田圭佑は買ってくれました」と明かし、坪井にプレッシャーをかけていた。

さらに、岡田の発案で斜面にぶどう畑を作り、収穫したぶどうでワインを作って販売する計画も。様々なアイデアや工夫が盛り込まれた今治里山スタジアムに、オープニングイベントに参加した大久保は「こんなに素晴らしいスタジアムができて、より一層注目を浴びると思いますし、焦らずに一つひとつ階段を上がっていって、J1の舞台に早く行ってほしい」と期待を寄せていた。

岡田はオープニングイベントに詰めかけた約5000人のサポーターや地元の人々を前に、「地元の人の心の拠り所として、365日人が集まる場所を作りたい」と宣言。この言葉には、岡田のある思いが込められていた。

8年前に今治へやってきた岡田は、過疎化が進む地方の現状を目の当たりにする。今治の人口は40年前と比べて約5万人も減少。危機感を覚えた岡田は、サッカーとスタジアムを地方創生の起爆剤に掲げるも、なかなか地元の理解は得られない。そこで行ったのは、木を切ったり、重い物を運んだりといった無償で地域の困りごとに対応する「孫の手活動」だった。

地道な活動が実を結び、地元の賛同を得た岡田は「ようやく3年くらい前から、皆さんが“今治が変わるかもしれない”と思い始めて、受け入れていただけるようになってきた」と述懐。岡田の思いに応えるように、今治市はおよそ5.7ヘクタールもの広大な土地をFC今治に無償貸与している。

こうして、地域や行政の協力もあり、ついに今治里山スタジアムが完成。竹﨑由佳アナウンサーから「サッカーの監督をしていた頃とどちらが大変ですか?」と聞かれた岡田は「どっちも大変だけど」と前置きした上で、監督は重い荷物を背負っても耐えていればいいし、下ろすこともできるが、こうしたプロジェクトは社員や出資者のためにも途中で止めることができない「命がけだった」と振り返った。

そして、岡田にはいずれ実現したい夢があるという。今治.夢スポーツの「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念のもと、衣食住を補償し合うコミュニティを作りたいと明かした岡田は「そういう共助のコミュニティ作ったら、この国が変わるんじゃないかと。それをみんなでやろうぜっていう。その拠点として、この里山スタジアムっていうのを作ったつもりなんですね」と、新スタジアム建設の意図を語った。

リモートで番組に参加した今治.夢スポーツの社長・矢野将文は、そんな岡田の夢に賛同した一人。右腕としてチーム強化以外の部分を担当した矢野について、岡田は「資金調達を行ったり、タームシートを作ったり、銀行と交渉したりとか、みんなやってくれた。何よりも誠実性が揺るがないので、絶対裏切らないやつらがいる。彼はその象徴で、みんなのおかげで成り立っている会社ですね」と、絶大な信頼を寄せていた。

最後に、FC今治のクラブイズムを求められた岡田は、矢野のような優秀な人材が集まってくるのは「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念があるからだと強調。「これがうちの会社の全て。うちのクラブの全てかなと思います」と締めくくった。

画像ギャラリー

PICK UP