草彅剛『罠の戦争』で6年ぶりのドラマ撮影現場に充実感「なんだかんだ言いながら、好きなんだな」【連載PERSON】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、2023年1月16日(月)スタートのドラマ『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系、毎週月曜22:00~)で主役・鷲津亨を演じる草彅剛さんが登場します。

『罠の戦争』は、『銭の戦争』『嘘の戦争』に続く“戦争シリーズ”第3弾。愛する家族を傷つけられた議員秘書が知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快なエンターテインメントです。6年ぶりの連ドラ主演となる草彅さんに、本作にかける思いを聞きました。

ギターやジーンズのように“年を重ねた味”を出せたら

――6年ぶりの連ドラ主演ということで、意気込みをお願いします。

頑張りまーす! 嬉しいです! 精一杯やります!! そんな感じです(笑)。

草彅剛
草彅剛

――タイトルを聞いたときの感想は?

最初は「罠」のところがなんて言ってるのか聞き取れなかったです(笑)。でも、字で書くとすごくハマッていて、インパクトがバーンッとある。そこから、だんだん最初に耳で聞いた印象と重なって深みを増して、3部作の中で一番大きな復讐劇になるんじゃないかなと、じわじわくるような印象を持ちましたね。

内容もじわじわくるというか、“銭”と“嘘”は頭からパンチがある感じだったんですけど、今回はすごく普通のキャラクター。でも、だからこそ親近感を持っていただけるんじゃないかと思います。やっぱり後藤(法子)さんが書かれる本なので、涙するような感動的なシーンもあるし、こっちが罠をかけているのか、それとも自分が罠にはまっているのかっていうドキドキ感もあるし、台本を読んでいておもしろいです。

――『嘘の戦争』の後、「3作目ができたらいいな」という思いもありましたか?

そうですね。同じカンテレさんの『僕の生きる道』は僕の中で大きなドラマで、それも3回(『僕の生きる道』『僕と彼女と彼女の生きる道』『僕の歩く道』)できたので、二度あることは三度あるみたいなところがあって(笑)、ちょっと期待はしていました。

――6年ぶりということで感慨深い思いも?

こういうお仕事は自分が望んでもできるわけではなくて、いろいろなタイミングが重なってできることなので、期間はそんなに気にしていなくて。でも、むしろちょうどいい感じなのかなと思いますね。“銭”から“嘘”みたいに2年くらいでできるのもいいけど、またそれとは違ってちょっと間を置いた、寝かせた味がにじみ出てくるといいな、なんて思っています。

――6年間で成熟した草彅さんが見られそうですか?

やっぱり出さないとね。僕もビンテージのジーンズやギターが好きなので、年を重ねた味というか、年を重ねているがゆえの魅力が出ればいいなと思っています。

草彅剛
草彅剛

――クランクインして、「“復讐シリーズ”に帰ってきたな」と感じる瞬間はありましたか?

初日は感動しました。ドラマのセットが久しぶりだったので「今もやっぱり、こういうことやってんだぁ」って(笑)。朝早く起きて、夜遅くまでやるという時間のルーティンもそうですね。ロケに関しても、借りる場所のみなさんに本当に協力していただいていて、そういうところにいちいち感動しています。

――懐かしくもあり、新鮮でもある?

うん、まさしくその通りなので、そのまま僕の言葉としていただきたいです(笑)。意外とすぐに感覚を取り戻してきて、やっぱり撮影はおもしろいなって。「なんだかんだ言いながら、好きなんだな、俺」と思いながらやっています。お芝居することもそうですし、基本的に僕は1秒でも早く現場から帰りたいんですけど、そんなことを言いながらも、「俺、好きなんだなぁ」ってちょっと思います。

馴染みのスタッフと作り上げる物語「漣さん、見ててよ」

――撮影現場で、三宅喜重監督と演出についてお話されることもありますか?

三宅監督とは“復讐シリーズ”を全部一緒にやっているので、ディスカッションすることもあります。他のスタッフも何度か一緒に仕事をした方がほとんどなので、何も言わなくてもスムーズに進んでいくところがありますね。その中で、政治の世界に僕はあまり詳しくないですし、今回は3部作において一番身近な役どころということで、(三宅監督と)ちょっと擦り合わせて。「あまりやりすぎない方がいいのかな」と僕が言うと、「いやいや、剛くん。ここはポイントとして、ちょっとやっておこう」みたいな感じで、“罠感”を出していくんです。「監督、ちょっと“罠感”出しすぎじゃない? わざとらしいよ。俺やりたくないんだけど」と言っても結局やらされちゃってます(笑)。

――(笑)。草彅さんの意見が採用されることもありますよね?

いや、僕はいつも何もやらないので、監督がちょこちょこ来るんですよ。「いいんじゃないですか? ここはボーッとしてて」と言っても、「いや、それじゃあ……」と言われるので、「あ~、ボーッとしたいなぁ」と思いながらやっています(笑)。

――感情をあらわにするシーンも多いですが、ご自身の中から熱量を引き出すために大切にしていることを教えてください。

一番は睡眠ですかね。寝てりゃあなんとかなるっていう(笑)。あとはもう現場に入ってアクセルを踏むというか、台詞をただ大きい声で言う。難しく考えないでやるのが一番、僕の中では熱を帯びたお芝居になるんじゃないかなと思っています。

――これまでの“復讐シリーズ”では、大杉漣さんと共演されていました。

やっぱり漣さんは、僕の中で本当に大きな存在です。僕の出演するドラマにはほとんど漣さんがいらっしゃる、というくらい縁があって、たくさんのことを楽しませてもらいました。僕は漣さんの温かさに包まれて、大変なドラマを乗り切れたところがたくさんあります。会うたびに褒めてくださるのが、すごく嬉しかったですね……今思えば、おだてられてたのかもしれないですよね、漣さんに。今、撮影していても、本当によく漣さんのことは考えますよ。『罠の戦争』も走り始めたばかりですけど、「漣さん、見ててよ」という気持ちでやっています。

草彅剛
草彅剛

――草彅さんとテレビの関わり方についてもお聞かせください。草彅さんが影響を受けた俳優さんを教えてください。

韓国映画が好きです。パク・ソジュンさんなどが大好きで、ソン・スンホンさんも超好きで影響を受けています。出演作品もよく見ています。

――今現在よく見ているテレビ番組はありますか? その際TVerは活用されてますか?

最近は動画配信サービスとかそういうものが多いかも。でも『罠の戦争』に出演するから、またちょっとテレビも見ると思います。番宣でいろいろな番組に出演する予定もあるので。TVerは自分が出演する番組とかは見ていますよ。

――まもなく2023年を迎えますが、2022年を振り返っていかがですか?

今年は舞台をやったり、ドラマで海外に撮影で行けたり、そして、またこうやって連続ドラマがあったり……コロナ禍の大変なときに、いろいろな良い経験ができました。今年は寅年だったので、私は吠えてましたね。舞台を2本やって、本当に吠える舞台だったんですよ。こんなに吠える舞台もないだろう、と思うくらい吠えまくりまして。いろいろな監督やキャストの方から刺激を受けたので、来年はそれを自分のパワーに変えていきたいです。2023年はうさぎ年だけに、罠からぴょんぴょん跳ねて、ステップアップできればいいなと思っています。

取材・文:nakamura omame
写真:松本理加

ヘアメイク:荒川英亮
スタイリスト:細見佳代(ZEN creative)
スーツ、シャツ、ネクタイ/LAD MUSICAN(ラッド ミュージシャン)

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