中村憲剛も感謝!日本フラッグ界のパイオニアが手掛けた「GO!KENGO!!」の誕生秘話

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8月6日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、選手を鼓舞し、プレーを後押しする応援フラッグを特集。日本フラッグ界のパイオニアであり、旗専門店・染太郎の代表を務める影山洋と、フラッグによる“応援の力”を紐解いていった。

もともと百貨店の垂れ幕を取り扱っていた影山は、サッカー好きが講じて、Jリーグ開幕と同時期に応援用のフラッグを手掛けるようになる。2001年には「埼玉スタジアム2002」のこけら落としで使われた浦和レッズのビッグフラッグも担当。1辺が45mもある巨大なフラッグは、日本初のもので、影山は「僕自身も初めて手掛けたビッグフラッグ。2か月ぐらいと読んで始めたんですけど、終わりそうもなくて、同業者に手伝ってもらいました」と明かした。

また、影山が手掛けるフラッグで有名なのが、勝利の女神が描かれた「ヴィーナス・フラッグ」。オリジナルの女神をあしらったデザイン性の高いフラッグで、影山は「もともとロックが好きで、会社のブログにロックっぽい絵を上げていたら、サポーターからこの絵をフラッグにしてくれないかと言われたところから始まったんです」と、誕生までの経緯を語った。

さらに、大久保嘉人のJ1での通算ゴール記録更新を見据えた「YOSHI-METER(ヨシメーター)」も当時は大きな話題をさらった。大久保が得点を決める度に数字が増えていく可変的なフラッグは、メジャーリーグで活躍したイチローの「ICHI-METER(イチメーター)」から着想を得たものだという。この「YOSHI-METER」による応援もあり、大久保はJ1歴代最多となる191ゴールを達成する。

他にも、「GO!KENGO!!」と書かれた横断幕も忘れられないフラッグの一つ。ブラジルW杯直前、代表入りが確実と思われていた中村憲剛が落選してしまう。影山は6日後に行われるJリーグの試合で、中村のために何かできないか考え、わずかな時間で全長40mの巨大な横断幕を作り上げたのだとか。影山らの思いが詰まったフラッグには、中村本人も「2014年のときですかね。あと怪我をしたときも同じフラッグでしたし、引退が決まってからもすごい短期間でいっぱい作っていただいたんですよ」と振り返り、「きちっといい作品を毎回作ってくれる」と感謝を伝えていた。

選手はもちろん、サポーターからの信頼も厚く、スタジアムを訪れた際にはサポーターから直接フラッグの発注を受けることも。番組MCの勝村政信は、「不思議な人ですよね。サポーターにも愛されて、話しかけられて。選手からも愛されてっていう。なかなかそういう人はいないですよね」と感心。これに対し、影山は「最初に思ったのは運営側からはやりたくないということ。運営側にいるとやんちゃができない。ロックが好きなので、そこで出せる力がサッカーに必要だと思いません?」と問いかけていた。

ロックなマインドで日本サッカー界にフラッグ文化を広めてきた影山には、長年胸に秘めている夢があるという。それは、富士山に巨大な日の丸のフラッグをあしらうということ。影山は「ワールドカップの決勝、いずれ日本はいきますよ。決勝戦の朝に全国のサポーター、集合しません?」と呼びかけ、「リアルな富士山にリアルな日の丸をつけて世界に発信したら“日本のサッカーサポーターはやばいぜ”って言われるんじゃないかな」と構想を明かす。その壮大なアイデアに、解説の北澤豪も「これはやばい!」と喜んでいた。

番組ではそんな影山が、どのようにフラッグを作成しているのか、埼玉県にある工房に潜入。リポーターの佐藤美希が工房を訪れると、ちょうど引退した大久保のイベントに使用するビッグフラッグを作っているところだった。大久保のフラッグは、プリンターから出力された布を縫い合わせるという手法だったが、影山の工房では手染めも行っており、今回は特別に番組オリジナルのゲートフラッグを手染めで作成することに。

サイズに応じてある程度のスペースが必要になる手染めだが、影山は「最近は主流ではないんですけど、サポーターの中には手染めにこだわっている方たちがけっこういまして。要するに魂が入るっておっしゃるんですね、皆さん。そういう要望もあるので、手染めをやれるスペースを残しています」と説明する。

下絵の描かれた型紙の貼り付けや、カッティング、色付けなどの工程を経て、勝村の顔を模したゲートフラッグの最終形が見えてくる。最後は、スタジオで勝村が目の部分を塗り、ついに完成。その出来栄えには勝村も「11年間頑張ってきた甲斐がありました! すごい!」と感動していた。

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