竹財輝之助、振り切ったストーカー役に「もう僕を見たくないと思ってもらえたら成功」

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倉科カナさん主演の新連続ドラマ『寂しい丘で狩りをする』(テレビ東京系、毎週金曜25:53~)が、4月22日(金)からスタートします。

本作は、芥川賞作家・辻原登の同名小説を初ドラマ化。男たちにより身も心も傷つけられた2人の女性が、絶望から希望を掴むため男たちへ立ち向かっていく衝撃のクライムラブサスペンスです。

今回、主人公・桑村みどり(倉科)への歪んだ愛情を抱え続けストーカーとして異常行動を見せる久我健二郎を演じる竹財輝之助さんにインタビュー。前クールに同局で放送されていたドラマParavi 『部長と社畜の恋はもどかしい』(以下『シャチ恋』)の堤司治部長役とは全く違う人格の“久我”という役への思いや、共演者とのやりとり、本作の見どころなどについて伺いました。

――世の中の恐怖と不条理を抉る社会派エンターテインメントになりますが、脚本を読んだ時、どういう印象を受けましたか?

原作から多少変わっている部分もありますが、脚本は面白かったです。重たい内容ではありますが、その中でも僕が演じる久我はちょっと飛び抜けている存在で。笑ってしまうくらい行動がぶっ飛んでいるので、多少、作品の雰囲気を緩和できればいいなという思いと、映像になった時に、どうなるかな? という思いがありました。

――ストーカーとして異常行動を見せる役柄でのオファーを聞いたときのお気持ちは?

久我という役は、僕のパブリックイメージでは、なかなかやらせていただけないような役なのかなと思っていたので、役者としてそういう役を頂けるのは本当に嬉しかったです。今回はいつも以上に気合が入り、新人のような気分で臨みました。

――撮影に入る前に役作りでご準備されたことや意識されたことはありますか?

ちょっと気持ち悪いかもしれないですけど、久我の気持ちになれるようにと、みどりを演じる倉科さんのことを、とことん調べました。あと、現場に入って毎日みどりに会うようになってからは、久我はカメラマンなので、みどりを劇用のカメラで隠し撮りして、その写真を毎日見ていましたね(笑)。とりあえず、みどりのことを1日1回は考えるようにしていました。

あと、ストーカーされるみどりと野添敦子(久保田紗友)をひどくは見せたくなかったので、久我が最低で最悪な男に見えるように意識して演じました。

すでにYouTubeで配信されている第1話を見てくださったファンの中には、「怖いを通り過ぎて笑っちゃう」という方もいましたが、僕的にも怖すぎて笑っちゃうぐらい怖くなればいいと思いながらやっていて。ただ、久我はすべてにおいてみどりを優先に、みどりのことを考えて自分勝手に行動しているので、その軸はブラさないようにして、自由に現場で暴れさせていただきました。

――久我を演じるにあたって大変だったことや壁を感じる部分はありましたか?

壁と言えば、ストーカー役ということもあり、倉科さんは僕に対して常に壁がありました(笑)。みどりと久我というスタンスがあるので、今回はあまり合間にお話はせず、お芝居で向き合っている感じでした。

テストの段階から、倉科さんは役に入り込んでいらっしゃっていて、僕がやった事に対して気持ち悪い時と感じた時は本当に逃げるので、これ「久我なのか僕自身になのか、どっち?」と思う時もあって(笑)。倉科さん演じるみどりが本気で気持ち悪がり、怖がるような眼をしてくれた時は、この芝居で合っているんだなと思って演じました。

――他の共演者の皆さんとは現場でどのようなコミュニケーションをとられていましたか?

『シャチ恋』で共演していた丸さん(丸山智己)とは、今作では絡みが全然ないので、支度部屋で会った時にはよく話していました。「まだ干し芋食ってんの?」や「竹財くん、役やばいね」と言われました(笑)。丸さんが演じる押本忠夫の芝居は、完成した第1話で初めて見たのですが、ちょっと引きました(笑)。丸さん、目が死んでると思って(笑)。なので、『シャチ恋』も見てくださっていた方には驚いてもらえるんじゃないかな。

みどりの恋人で刑事・浅野龍平を演じる平山浩行さんとは、色々お話させていただいて、役者の先輩としてのアドバイスをいただきました。

――久我を演じていて印象的だったシーンは?

印象的なシーンは、みどりの誕生日祝いのケーキを“つかみ食い”するシーンです。「やるけど……これ大丈夫ですか?」って言いながらやってました(笑)。平山さんもわざわざ現場に残って見てくださっていて、終わった後に監督やプロデューサーさんをはじめ、みんなかけ寄ってきて「よかった」とすごく褒めてくださったんですけど、どうなんだろう。視聴者の皆さんがどういう感覚で見てくれるのか、楽しみでもあり怖い部分でもありますね。

――オンエアが楽しみです。ちなみに、今ケーキの話題もでましたが、竹財さんが本能のままに動いてしまうほど、好きなものはありますか?

今は、干し芋です。芋の種類によって全然味も食感も違うし、スライスしてあるのか、丸ごとなのかでも違うんです。最近コンビニで見つけたのですが、キューブ状のタイプもあって、また味が全然違って美味しくて。今は、干し芋探しにはまってますね。『シャチ恋』を撮っていた時に体を作っていて、常に干し芋を持っていて、そこからハマりました。今は、紅はるかが一番好きですね。製法によっても変わってきますが、火を通さなくても柔らかくて。ちょっと歯にくっつくところが難点ですけど、本当においしいです。

――今まで自分にこないような役で、気合の入った役とおっしゃっていましたが、演じてみて手応えは感じられましたか?

「大丈夫かな」の連続で、正直手応えは無いですよ。もちろん倉科さんはお芝居なので怖がったり逃げてくれたりしますが、本当に逃げさせられているのか、本当に怖がらせられているのか、ちゃんと久我としてみてくれているのかは、今回は特にずっと不安ですね。

――放送されてからの視聴者の皆さんの反響を見て、自分の中で答え合わせする感覚ですか?

自分の中で答え合わせというよりは、やはり見てくださる人の反応ですかね。ちゃんと「気持ち悪い」「もう僕のこと見たくない」「久我が出てきたら消す」みたいな反応があれば報われますね。大成功かなって。

――2004年に『仮面ライダー剣』(テレビ朝日系)で役者デビューされてから約18年。今回、今までにない役を演じることで、役者として糧になった部分はありますか?

それは、すべての作品においてそうです。色々な監督さんや役者さんがいるので、その方たちと話したり、お芝居をしたりという積み重ねで、具体的にここで変わったっていうのはないんです。ただ今回の現場もそうですけど、「こういう演出をするんだ」などの驚きや発見はありましたし、そういうものをどう自分で吸収していくかが役者は一番大事だと思っています。また仕事じゃなくても、プライベートで遊んでいる時の会話や体験からもインスピレーションを受けられるので、大きなことを言うと、人生全てが役者としての糧になっています。

――今回の役を演じたことで、表現の幅が広がったり、自分の中で見え方が変わったりした部分はありますか?

自分の中ではそんなに変わってないですね。周りに表現の幅が広がったってよく言っていただきますが、表現の幅を広げてくれるのはキャスティングしてくださる方なので。今回の役を見て、こういうのもできるんだ、こういうのをやらせてみたいって思ってくださる方が増えると良いなと思ってます。

――では、最後にこの作品の見どころをお聞かせいただけますでしょうか?

どん底から立ち上がる強い女性たちを見ていただきたいです。押本と久我はちょっと種類が違う怖さがあると思うので、怖いのが大丈夫な方は、ぜひ真っ暗な部屋で見てください(笑)。

<イントロダクション>
かつて交際していたカメラマンの久我健二郎(竹財)とのつらい過去の傷を心に抱きながら、探偵として同じ境遇の女性を守ろうしている桑村みどり(倉科)のもとに、7年前に自分を傷つけ服役していた押本忠夫(丸山)の出所後の動向を調べてほしいという野添敦子(久保田)の依頼が。押本が執拗に敦子を追いかけ襲ってくると同時に、みどりの前に久我が現れ、再びみどりを付け狙ってくる。終わりのない地獄に、みどりはいつしか復讐を誓い……。

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