花江夏樹が語る声優の醍醐味「自分の見たかった作品」が“答え”である理由【連載PERSON】

花江夏樹が語る声優の醍醐味「自分の見たかった作品」が“答え”である理由【連載PERSON】
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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、TVアニメ『ラブオールプレー』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週土曜17:30~※一部地域を除く)で、主人公・水嶋亮の声を務める花江夏樹さんが登場します。

花江さんは、2011年に『ゴールデン☆キッズ』の俊太役で声優デビュー。それから様々な作品に参加、数多くの主演を重ね、2019年には社会現象ともなった『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎を務め、同年度の第14回声優アワードで主演男優賞を受賞。現在も『ヴァニタスの手記』『サマータイムレンダ』など主演作品が途切れない、人気声優です。

今回、花江さんが主演を務める『ラブオールプレー』は、小瀬木麻美の小説(ポプラ社)が原作で、スマッシュの初速は400kmを超え「世界最速のスポーツ」ともいわれているバドミントンが題材のTVアニメ。バドミントンで中学時代は無名だった主人公・水嶋亮(花江)が、インターハイ優勝を目指し、トップアスリートへと成長していくというストーリーが展開します。

小・中学校とテニス部に所属していたという花江さんが感じるバドミントンの魅力や、“声”で演じる難しさについて、さらに水嶋亮という人間を作り上げるのにどのような苦労があったかなど、ご自身の話を交えつつ語っていただきました。

――(取材時)アフレコは始まったばかりと伺いました。収録現場の雰囲気はいかがですか?

他キャストの皆さんがすごくストレートなお芝居をされていて、僕もアニメより実写に近いような空気感を出す方が良いのかなと作品の雰囲気を見て思っていたので「こういう風に読もう」「こんな感じにしよう」という意識はあまり持たず、その場で感じたものを音として出すことを重視しました。なので、掛け合いがとても楽しいです。ご時世的に大勢で一緒に収録はできないのですが、その中でも一緒に収録する方と、あまりアニメ的ではない、自分のしゃべりやすい尺でアフレコできているのが、すごく気持ち良いです。

――物語を最初に読んだ時の印象も聞かせてください。

キャラクターたちのバドミントンにかける情熱が素晴らしい! 物語には亮のようなバドミントン経験者から、高校から始めた初心者も登場するのですが、みんなバドミントンに対する思いが一向きなんですよ。その気持ちが伝わって来て、全員応援したくなってしまう。学生の部活ならではの泥臭い部分もきちんと描かれていて、高校生に戻ったような気持ちで読める作品だと思いました。

――演じる水嶋亮について最初に抱いた印象は? またどんな風に演じようと思いましたか?

最初はオドオドしていてあまり意見をはっきり伝えられないのですが、バドミントンを始めて徐々に意識が変わっていき、自分の意思もはっきり伝えられるようになっていく亮。それと同時に「上手くなりたい」という気持ちも大きくなっていくので、その気持ちの面での成長を上手く表現できたらと思いました。

――そんな亮とご自身の共通点はありますか?

基本的にはあまり似てないと思いますが、「これをやろう」と思ったらとことんこだわるタイプなので、そこは唯一似ている部分かな。僕はスポーツではなく、ゲームなのですが(笑)。ハマるゲームがあればクリアするまでとことんやりますし、掃除も始めたら徹底的にやってしまいます。

花江さんが注目しているキャラクターは?
花江さんが注目しているキャラクターは?

――収録現場で他キャストさん、竹内浩志監督らとどのようなお話を?

ご時世的にみんな一緒に収録するという機会はないのですが、亮の同級生・中野静雄役の松風雅也さん、門田博人役の土屋神葉くんとは掛け合いが多いので、一緒に収録しました。その3人に向けて、監督から「本当に(自分を)学生だと思って、くだけたしゃべり方にして、よりリアルな距離感を意識して」というようなディレクションがありました。

――小・中学生の時にテニスをしていたという花江さん。その頃の経験は今回活かされていますか?

活かされていると思います。打つ時はどれくらい力が入って、どうやって息を抜くのか。同じラケット競技なので、おそらくそんなに違いはないと思ったので、学生時代の経験を思い出しながら演じた部分はありました。

――演じる上で、バドミントンとテニスの違いを感じますか?

先ほど「アニメ的ではない」とは言いましたが、やはりアニメなので、打つ描写などリアクションがあれば都度声を入れていました。しかし、僕がやっていたテニスは打つ時に声を出す人もいれば、出さない人もいて。自分の学生時代は声を出さない方だったので「これで大丈夫なのかな?」と思っていたところ、先日わたがしペア(※『東京2020オリンピック』バドミントン混合ダブルスで銅メダルを獲得した、東野有紗選手と渡辺勇大選手)と対談させていただける機会をいただき、直接聞いてみました。バドミントンだと声を出す人が多いらしくて「打つたびに声出しても変じゃないですよ」と言っていただけたので、参考にさせていただきましたね。

――先ほど全員応援したくなると言っていましたが、花江さんが特に注目しているキャラクターは?

梶裕貴さん演じる内田輝です。バドミントン強豪校の部活に初心者で入部したので、最初はスマッシュも打てず、周りから「すぐやめちゃうだろうな」と思われていたんです。でも輝本人は「今は一番楽しい」「もっと上手くなりたい」と、とことん前向きで。そのシーンを見て胸を打たれて、それからずっと応援しています。

たくさんの作品に出演されている花江さんが語る声優業の醍醐味とは?
たくさんの作品に出演されている花江さんが語る声優業の醍醐味とは?

――ありがとうございます。続いて、花江さんとテレビとの関りについてお聞きしたいです。昔好きだったテレビ番組は何ですか?

小さい頃は『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』、小学生に上がってからは『ポケットモンスター』や『ワンピース』など……子供が絶対に見るであろう“王道”というアニメは見ていましたね。アニメ以外だと、一番見ていたのは『志村けんのバカ殿様』。ビデオに録画して、擦り切れるまで何度も見ていました。

――たくさんのアニメの名前が挙がりましたが、やはりアニメが好きだったから声優に?

いや、実はそうではないんです(笑)。僕の人生の中で、出演作以外でアニメ作品を最後まで見たという経験が、数えるほどしかなくて。どちらかというとゲームの方が好きだったので、そこで“声優”という職業を意識しましたね。

――その最後まで見たアニメの中で、特に印象深い作品は?

高校生の頃に見た『桜蘭高校ホスト部』。おそらく初めて見た深夜アニメだったと思います。絵がすごくキレイで、実際にありそうなファンタジーというところも新鮮でした。それまであまり恋愛要素のある漫画・アニメを見てこなかったのですが、ラブコメのコメディ部分が強い作品だというのも惹かれた要素だと思います。

――最近見た番組で、何か印象に残っているものは?

それが、子供が生まれてからテレビをほぼ見なくなってしまって。本当に見る暇がないんです。『有吉の壁』や『水曜日のダウンタウン』が好きでよく見ていたのですが、それも最近では流し見になってしまって……。そんな中でも、意識して「見よう」としているのは、やっぱり「ニュース番組」。自分が子供の頃にバラエティやアニメを見ていて、その隣で両親が「ニュース見たい」と言っていたんですよ。当時は「なんでニュースなんて見たがるんだ?」と思っていましたが、大人になってようやく理解できました。

――なるほど。まだお子さんは小さいですし、花江さんが出ている作品を見る機会ももう少し先になりそうですね。

そうなんですよ。まだ言葉や内容が理解できない時期なので、これからですかね。僕が出ている作品を娘に見てもらうことが、今後の一番の楽しみなんです。

――そんな花江さんがお仕事をするにあたり、大切にしている“軸”は?

「そこに実在する人」として演じるということ。初めてレギュラー出演した『TARI TARI』の出演者さんたちみんながそういうお芝居をされていました。画面に映っていなくても呼吸はしているし、その間にもキャラクターは何か考えている。全編通して繋がりのある演技ができたらということは、常に意識していますね。

――そうした意識を持ち、たくさんの作品に出演されてきました。そんな花江さんが思う、声優業の醍醐味とは?

実際のオンエアで、自分の声、他のキャストさんの声、絵、音楽など全部合わさった時に、自分が想像していた通りのものが出来上がっていた時は、毎回感動してしまいます。答え合わせというか……「自分の見たかった作品だ!」と思ってすごく嬉しくなりますね。

――その“答え”とは、花江さん自身の中にあるものですか? それともファンからの声?

これはもう、自分を答えにしています。もちろんファンの方からの意見は大切ですが、それを全て気にしていたらいつまでたっても答えは出ないと思うので。まずは「自分の見たかったもの」を答えにしています。

――今後ますます活躍の場を広げていく花江さん。ズバリ、次なる目標は?

もちろん、これまでのようにいろいろな作品に出続けていきたいのですが、先ほど言ったように「自分の子供に楽しんでもらえるような作品に出たい」ですね。そんな作品に出られるよう、今後も声優として精一杯頑張っていこうと思います。

(取材・文:米田果織)

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