桐山漣、本格時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』で魅せる男の色気!主演映画でも新境地

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――本作では、10年以上の月日を経て佳幸と唯香の思いが結ばれますが、この描写には監督の体験が反映されていますか?

佐々部監督:本当は男が割とそういうのを引きずって、女性は新しい恋に次から次に行けちゃうんじゃないかと思うんだけど、今回は唯香もずっと佳幸を思っているっていうのはあるでしょ? それは難しいんだけど、僕は57歳ですが、みんなが演じたキャラクターぐらいの時って一番そんなことがありそうな気がして、あってほしいなって。例えば同窓会で、初恋だった子が「この会に来てるのかな」っていうだけで、すごくドキドキする感覚。そんなことがこの二人の関係でやれればいいなあと思ったり。それはきっと、誰にでもありそうかなって思ってるんだけどね。

桐山:そうですね。小学校の時にそんなに目立たなかった子が、10年ぶりとかに会うと、「めっちゃかわいくなってる!」みたいな話、ありますよね。

佐々部監督:いい女になるっていうのはあるんだよな(笑)。

――劇中歌「電車の窓から」の印象は?

桐山:僕はback numberさんが好きで、この「電車の窓から」はもともと知っていました。聴けば聴くほど好きになっていくというか。この作品と出会ってこの曲をより深く聴くきっかけになったので、自分にとっても思い出深い曲ですね。「電車の窓から」って、この作品の物語を歌っている感じがするので、そういう気持ちでやらせてもらいました。

――今作の前日譚であるエピソードゼロを描かれているのは、「のだめカンタービレ」の原作者で、桐山さんのファンだという二ノ宮知子さん。桐山さんは「のだめカンタービレ」にも出演されていましたがすごいご縁ですね!

桐山:僕は「のだめカンタービレ」が初めてのドラマだったんです。セリフ一言をいうのにとっても緊張して、監督にめっちゃ遠いところから怒られて(笑)。肩落としながら帰ったなあ、なんて……。そういうのも含めて考えると、自分が初めてやったドラマの原作者の二ノ宮さんが、こういう形で協力してくださって、いろいろなことを考えていくと運命的というか、ただの偶然ではないような、そういうものを感じます。

――最後に、本作の見どころとメッセージをお願いします!

桐山:本当にたくさんありますが、家族とのやり取り、10年経って帰ってきたら妹よりも立場が下になっていたりというような兄妹間のやり取りなど、普段の何気ないところがこの作品をより深くしていると思うので、細やかな部分を、見逃さずに楽しんでいただけたらと思います。

佐々部監督:『群青色の、とおり道』という作品は、特異なことが何も起きません。殺人が起きる訳でもなきゃ火事が起きる訳でもない。ありきたりな物語がありきたりな風景の中で、家族の物語や友情の物語、初恋の物語がつづられている、淡々とした映画です。でも、それがどこか、今生きている人に、何かが突き刺さるように作ったつもりです。それを感じてもらって、映画っていいな、家族っていいな、人っていいな、ということを、自分の周りを見渡しながら、映画と照らし合わせながらご覧いただけたらと思います。些細なことだから1回目発見できなかったことが、2回目、3回目にもっと新しいことが発見できているみたいなところがある。生きてる中に、こんなことがあるんだ、こんなこともあるんだっていうことを感じてもらえるのが、この映画の楽しさです。すごく地味な映画かもしれませんが、心にはすごく豊かな映画だと思います。そんな楽しみ方をしてもらえるといいですね。

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