桐山漣、本格時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』で魅せる男の色気!主演映画でも新境地

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群馬県太田市の合併10周年記念事業の一環として企画され、名匠・佐々部清監督の手により良質な青春音楽映画となった『群青色の、とおり道』。本作は、群馬県で先行上映され、ロングラン大ヒット公開中で、7月11日(土)よりユーロスペース他全国順次ロードショー。主人公の真山佳幸を演じた桐山漣さんと佐々部清監督にインタビューを行い、役作りや桐山さんの魅力、撮影秘話などを熱く語っていただいた。

――生まれ育った街の景色を背景に、自分を支えていてくれた人々と、10年の時を経て向き合うというストーリーですが、初めて台本を読んだ際の印象は?

桐山:僕自身、神奈川県出身で田舎という田舎がないのですが、自分自身も音楽やりたいと思っていた時期も役者をやる前はあったので、初めに読んだ時、どこか運命的なものを感じました。

――主演として意識したことや、役作りについて行ったことはありますか?

桐山:佐々部監督の作品で主演か……と思って(笑)。プレッシャーというより「とにかくしっかりやらないとな」という思いがありました。どの作品も毎回そうですが、それ以上に、しっかり準備はしたいなと感じました。

――具体的にはどんな準備を?

今回は、ストリートミュージシャンということで、実際に路上でギターを弾くっていう感覚をじっくり味わっておきたいと思ったんですが、東京や自分の家の近くとかで弾くのがどうしても恥ずかしくて出来なくて(笑)。それで、ちょうどハワイに行くタイミングがあったので、ギターを持って行き、ワイキキのビーチで夜一人で練習しました。ああいう開放的な場所だと、自然と出来て「あ、こういう感覚なんだな」みたいな体験ができました。

――桐山さんと佐々部監督の間で、演出面でお話されたことはありますか?

佐々部監督:おそらく僕は、漣に「こうしろ、ああしろ」ってほとんど言ってないんですね。なんとなく僕が感じた桐山漣を佳幸にしちゃえばいいと思いました。その中で、ちょっと天然みたいなところがあったり、頼りなさげなところを膨らませちゃえと。逆に、妹役はしっかりしているキャラクターなので、そのバランスがうまく保てればいいなと思いました。あとは現場で、例えば漣のアイディアでメッシュしてきたら、メッシュのアイディアを現場の中で活かして、お母さんが「かっこいいね」とか、妹が「ださい」とか、「トニックシャンプーを使っちゃえ」とか。それから兄妹が階段で出くわした時に、階段を妹に譲るとか、それは見立てでやっていきました。

桐山:そうですね。本読みの段階でも、あまりセリフじみていないというか、日常会話のようなやりとりで、というオーダーは受けていたので、日常会話で話せるぐらいの台本の読みで臨もうという気持ちはありました。

――先行公開をご覧になった方から「桐山さんが真山でよかった」「涙が止まりません」といった称賛の声が多く寄せられていますが、それを聞いていかがでしょうか?

桐山:スタッフ・キャスト一同、とにかく熱量持って取り組んだ作品なので、それがこういった形で、声を聞けるっていうのはとても嬉しいです。見ていただいた一人一人の心にしっかりと残ってもらえれば、本当にそれだけで僕は嬉しいです。7月11日から、東京では上映になっていくので、早く全国の人に見ていただきたいという思いはとても強いです。群馬の人の感じ方と、他の県の方はまた感じ方が違うんじゃないかと思うし、僕みたいに電車に乗ればすぐ、東京に行けちゃうみたいな環境で育った人が見たら、どう響いてくるのかっていう感想も知りたいですね。

――監督が思う俳優“桐山漣”の魅力とは?

佐々部監督:難しいね……。難しいっていうのは、おそらく、“桐山漣”っていう人の魅力はこうだ、こうだ、こうだってきちんと説明がつくってことはたいした魅力がないんです。僕は今、彼より30歳ぐらい上で、ピュッと的確にはつかめなくて。だから“つかめない人”で映画が撮りたいと思っていて、カメラの横で芝居を見ながら、「ああ、そうか。そういう感性でこうなるんだ」とかを感じることが面白いんです。だから、的確に桐山漣っていう役者はこうでこんなことがよくできるということじゃないですね。でも、おそらくひとつ言えるのは、こうしようぜ、こんなふうがいいかなっていうことが、わりと、なんなくできていく。ある種勘がいいんだろうね。それから、一つ難しいのは、主演ってどうしても自分が目立ちたがる芝居をやりたがりますけど、基本的に、今回は受けることの方が難しいかな、みたいなことも話しました。自分の感情を出したりすることよりも、主役って芝居を受けたときが大事なんですよね。それがわりときちんとできるから、ひょっとしたら魅力はそこかもしれない。

――監督のお言葉を受けて、いかがですか?

桐山:いや、ちょっと照れくさいです。ありがとうございます。(笑)俺つかみどころないですか?

佐々部監督:(笑)。僕は人を観察することが仕事なんだけど、でも芝居ってハーモニーじゃない? だから、ハーモニーがうまくいかないとどっかで直していかなきゃいけないんだけど、今回ほとんど直さなかったよね。

桐山:はい。

佐々部監督:それは、だいたいうまくいっていたからなんだよ。どのシーンも漣が軸になっていて、他の俳優たちもわりとちゃんと出来てるんだけど、漣が出来なきゃそこは直さなきゃいけないってことだけど、9日間で撮っていく中で、だいたい全部及第点になってるからやれていけたというかね。あとは、あまり窮屈に、無理に芝居をしているということはなかったでしょう?

桐山:ありませんでした。

佐々部:今の芝居、ここでやることが窮屈か?とか、それぐらいしか現場で言ってないんですね。で、やりにくいときは「やっぱりこのセリフじゃいきづらいですかね」って返してきて。漣は、だいたい僕がリアルだったらこうだなっていうことを、きちんと準備が出来てるんですよ。最初に自分が準備をして入ってくる。撮影入る前に、(ロケ地の)太田に一人で行ったこととか僕は知らなかったけど、車を運転してロケ現場を回ったらしくて。でも、俳優ってその準備がだいたい出来ていると、現場でも出来るんです。

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