『寄生獣 完結編』ピエール瀧×山崎貴監督 スペシャル対談

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岩明均氏による伝説の漫画が、「永遠の0」などで知られる山崎貴監督によって実写映画化! 2部作として、昨年11月公開の『寄生獣』に続き、『寄生獣 完結編』が4月25日に全国公開される。本作は、パラサイトと呼ばれる新種の寄生生物が人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を捕食し始める、という設定で始まるストーリー。右手にパラサイトのミギー(阿部サダヲ)を宿す高校生の泉新一(染谷将太)は、要注意人物として人間からもパラサイトからもマークされていた。いまや新一の住む東福山市は、市長・広川(北村一輝)を中心に組織化されたパラサイト達が一大ネットワークを作り上げていた。一方、人間側も対パラサイト特殊部隊を結成。アジトと化した東福山市庁舎に奇襲を仕掛けようとしていた。そんな中、母親を殺された事件がきっかけで寄生生物への憎悪を募らせる新一とミギ―の前に、最強パラサイト・後藤(浅野忠信)が現れる。生き残るのは人間かパラサイトか。そして「寄生獣」とはいったい何なのか。新一とミギー、最後の戦いがついに始まる。

『寄生獣 完結編』の公開を前に、後藤の右腕として働くパラサイト・三木役で出演のピエール瀧さんと、脚本・VFXも手掛けられた山崎監督に、本作品の魅力や見どころなどについて語っていただいた。

――まずは山崎監督、公開を直前に控えた今のお気持ちをお願いします。

山崎監督:原作がすごく好きで、ようやく映画化の機会が訪れまして。様々な難題をねじ伏せるような戦いでしたが、何とかねじ伏せられたと思います。映画というのは、完成してしまうと監督がやれることは本当にわずかで、キャンペーンを頑張るぐらいのことしかできません。あとはこの作品が持っている力を信じるしかない、という気持ちです。

――ピエール瀧さんは、完成した作品をご覧になられていかがでしたか?

ピエール瀧:SF原作の映画化は、出来上がると「あー、そうなっちゃったか……」っていうのがたまにあるじゃないですか。(この作品が)そうではないことは確実だし、山崎さんも“ねじ伏せた”とおっしゃっていますが、逆にこれだけのものをねじ伏せるって容易なことではないと思うので、いろんな山をいくつも越えられたのだろうなと思います。このクオリティーでこの仕上がりにたどり着くのはすごいことだなと、シンプルにそう感じました。

――原作のエッセンスを前編、完結編に盛り込むのは大変なご苦労もあったかと思いますが、工夫された点や苦労されたことは?

山崎監督:市庁舎での戦いと動物園でのエピソードは、個々のストーリーとして描くとものすごく長くなってしまいます。でも両方ともすごく大事なシーンだし、しっかり描きたいところなので、どうしようかと悩んでいた時に、脚本の古沢良太くんが「一緒にしちゃいましょう」と提案してくれて、シーンを交錯させることになりました。そうすることで、お互いがお互いを補完し合うみたいな意味を持ち、すごくいい感じになりましたね。そもそも漫画でも交錯していたような気がしたので、この前読みかえしてみたら、別々のエピソードだったから逆に驚きましたよ(笑)。

――それほど自然な流れに仕上がったということでしょうか?

山崎監督:あそこはうまくいきましたね。意味がある縮め方だったなと思います。でもそうすると、“市庁舎”と“動物園”がすごく強いシーンになってしまったので、クライマックスをどうもっていくか、という問題も出てきて。映画の後半、新一と最強パラサイト・後藤との戦いのシーンがこれより弱くなってはいけないので、ゴミ処理場という非日常的な場所を使い補完するなど、そういう点での苦労はありました。

――映画全体を通しての感想はいかがですか?

ピエール瀧:おぞましいシーンでも何か心情的にホロリとさせられるような瞬間がありまして、前編の最後、新一の母親のシーンもそうですし、なぜ涙腺が緩むのか、自分でもよくわからないという非常に奇妙な体験が出来る作品です。そんなシーンが意外に多かったので驚きました。あと、パラサイトのアジトなんかは、全編通してコンクリートの無機質なイメージと青っぽくまとめられている感じが、すごくいいなと思いました。

山崎監督:そうですね。パラサイトがいる場所は、イメージに合うコンクリート建築を求めて、日本中いろんなところでロケハンをしました。逆に人間がいるところは、ごちゃごちゃした生活感が出るようにしています。そして、その二者が出会う(戦う)ところは、命を感じる場所、例えば水族館や動物園、魚市場とか、“生物”を感じるところといったように決めて撮影を行いました。

――ピエール瀧さんへオファーをした理由は?

山崎監督:きっと『寄生獣』を大好きだろうなと思って(笑)。むしろ、瀧さんを、キャスティングに入れておかないと失礼だろうと思い、お願いしました。この作品を映像化するのに、「瀧さんはどのキャラクターにしようかな」と、まず出てもらうことを前提に考えていたくらいですよ。三木を演じると面白いかもしれないな~、という感じで出演依頼をしました。

ピエール瀧:俺もね、マネージャーから「寄生獣の映画のオファーが来てますよ」って聞いたときには「出る!出る!出る!なんでもいいから出る!!」って即答(笑)。「スパーっと切られてすぐ殺されてしまう役でもいいです、なんでもいいから出る」っとか言っててさ。『寄生獣』は出ておきたいでしょう?

――実際キャラクター作りなどはどのように進めたのですか?

ピエール瀧:漫画に出てくる三木は、ちょっと80年代後半の雰囲気というか、柄シャツを着て、髪型も真ん中分けっぽい感じで、陸サーファーのような軽いノリなんですけど、それを今出してもなぁと思ったので、僕がやるんだったら中身と外見が全然違うキャラクターで、“笑顔”が全然馴染んでないような部分を気持ち悪くできないか、というところを意識しました。攻撃シーンよりも、“笑顔”が浮いていて違和感を出せたらと思って演じました。

山崎監督:ずっと不気味、不気味って言われてへこまないで下さいよ(笑)。

ピエール瀧:全然大丈夫です(笑)。

――瀧さんの“三木”はいかがでしたか?

山崎監督:いや~気持ち悪かったですね~(笑)。最強寄生生物の後藤からすると、三木に対して思うところがいろいろあるかもしれませんが、三木だって十分強いパラサイト。腕試しに人間を襲うシーンも、撮影している時はアクションの流れに沿って相手が倒れていきますが、これにCGを足していくと、だんだん迫力が増し、どんどん怖くなるなぁと思いながら映像を作っていました。その“浮いた笑顔”と“強さ”のギャップがすごくよかったです。

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