『寄生獣 完結編』ピエール瀧×山崎貴監督 スペシャル対談

公開: 更新:

――この作品はお二人にとってどういう存在になりましたか?

山崎監督:やれたなっていう感じです。ある程度乗りこなせたと思うのでよかったです。昔、遠くから憧れていた作品ですし、この映像化権は1回アメリカにわたっていて。それが日本に戻り、自分が監督として、映画を一応成立させることができたというのは、本当に嬉しいことです。またこんな作品をやっていきたいですね。

ピエール瀧:僕は、極端かもしれませんが、みんなの血と汗の結晶だと思います。限られた予算の中でクオリティーもクリアしているというところはすごいことだと思うので、是非多くの方に見てほしい作品です。昨日、僕なりに、なぜアメリカで映画化出来なかったのかをいろいろ考えたんですよ。だって、派手で変形する化けものとかが沢山出てくるし、ハリウッドが得意そうな題材なのに、なぜ実現できなかったのか……。これはやはり人間ドラマの部分が、日本人特有の心理というか、相手を慮る感じがすごく多いからじゃないかと。パラサイトさえも自分じゃない種族のことを慮っていますし、出てくる登場人物たちもそう。自分じゃない他者のことを慮ることにより行動するということが、乱暴な言い方ですけれども海外ではよくわからなかったのでは?

山崎監督:そうかもしれませんね。

ピエール瀧:そういう行動原理みたいなものを描かないと成立しない作品というのは、日本人にとても合っていると思うし、それを山崎さんみたいな、人情ストーリー+CGに長けている方だからこそ実現できたのかなって。今日、会ったら絶対伝えようと思っていたんです。

山崎監督:『寄生獣』は、敵と味方といった二つに分かれて進む話ではないのでね。多分、脚本を書いてプロデューサーに提出しても「ちょっとわかんないね、これ」ってなってしまうんでしょうね。細かい部分をそぎ落として、単純に敵と味方という話にしてしまうと、全然面白くなくなっちゃうんですよ。だから、日本的というか、アジア的な話なのかな。

ピエール瀧:そう。主観で動いているキャラクターが少ないですよね。三木は主観で動いていますけど(笑)。

――最後に映画を楽しみにしている方へメッセージを!

ピエール瀧:僕と同世代の人たちにとっては、非常に大事な作品です。僕が言うのもおこがましいんですが、この作品をここまで映像で表現できたのは、奇跡だと思っています。漫画で体験なさった方、そして、タイトルだけは知っているけど、まだ読んだことがない、見たことがないという方は、ぜひこの作品をご覧になっていただきたいと思います。そして、映画を見てから漫画を読むもよし、漫画を読んでからこの映画の世界観を深く味わうもよしという、奥深い作品となっております。

山崎監督:もうピエール瀧さんが、言いたいことは全て語ってくださいました。試写会では意外と女性からの評判がよくて。母性を刺激されるところや、グッとくる場面がすごくたくさんある映画なので、「気持ち悪い映画じゃないの?」と思わずに、ぜひ女性の方にもご覧いただきたいと思います。

ピエール瀧:ぜひ皆さん、劇場でご覧になってください。