ノイタミナ編集長・森彬俊、2014年は「良い結果」、2015年タイトルは?

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オリジナル作品から人気コミックスのアニメ化まで、数々の作品を世に送り続けてきたノイタミナだが、作品選びや楽曲選びはどのようにしているのか。また、昨今問題になっている番組動画の違法アップロードについてのどのように考えているのかを教えていただいた。


<インタビュー>

――ノイタミナの作品選びで必ず考えることはありますか?

“登場感”がないとノイタミナらしくないと思っているんです。タイトルを発表したときに「ノイタミナでこれをやるんだ!」、「ノイタミナらしいね」、「ノイタミナでこれはどうなの?」と、賛否両論どんな形にしても、まず話題になるかを考えますね。

――音楽にも大きな注目が集まるのもノイタミナの魅力だと思います。

これはパートナーのSMEさんが、単純にアニソンを付ける枠ではなく、作品に沿ったものにしたいといってくれているのが大きな要因です。お互いに何がこの作品を象徴しているのかを話して、こちらがオーダーするときもあれば、SMEさんがアーティストを薦めてくれるときもあります。場合によっては作品のためにアーティストが楽曲を書き下ろしてくれることもあるので、必然的に作品にあった音楽を付けることができます。さらに、一つ一つのクオリティも高いので、「ノイタミナイト」などの音楽イベントや、「ノイタミナ10th Anniversary BEST mixed by DJ和」や「ノイタミナ FAN BEST」といった、この枠を中心にしたアルバムをリリースできるまでになりました。

――話は変わるのですが、先日、民放連で「違法動画アップロード」の撲滅キャンペーンがスタートしました。その中でも話されていましたが、アニメに限らずテレビ番組は、映像、出演者、楽曲のアーティストなど、さまざまな権利の上に成り立っていて、その裏には必死に作ってくれた人々がいます。彼らを守ることを考えると、番組を丸ごと違法アップロードされてしまう現状は困ってしまいますよね。

難しい問題です。例えば、ヒットしている番組は否応なしにMAD動画とか出るじゃないですか。あれらは作品の魅力を伝えるきっかけにもなっていると思いますし、今の社会の中では盛り上がりのひとつの基準にもなっていると感じています。また、たまに海外の販売していないような国の方から、「この作品の大ファンなんです」といわれることもあるのですが、嬉しいと思いつつ、どうやって見ているのだろうと考えると複雑な気持ちもあります(笑)。ただ、丸ごと配信されるのは本当に困るので、例えばノイタミナに関してはフジテレビオンデマンドで月額350円(税別)の見放題というリーズナブルなサービスを展開しているので、放送を見逃した方や視聴地域にいらっしゃらない方は、そういった正規のルートでご覧いただけたら嬉しいですね。

――また、テレビアニメはBlu-rayやDVDなどのセルパッケージを販売することが前提になっていますが、ビデオオンデマンドサービスとの棲み分けなどはどう考えているのでしょうか?

パッケージを買ってくださる方々と、配信でご覧になっている方々はお客さんの層が違うと思っています。パッケージはコレクション性が強く、映像特典やイベントなどのおまけ的な要素も複合的に考えて買ってくださる。一方、配信というのは、いつでもどこでも見られるけど、手元には残らないじゃないですか。これってレンタルに近いですよね。パッケージに関しては、引き続き需要はあると思いますが、アメリカのレンタル業界がHULUやNetflixといった配信業者の台頭によって殆どなくなっているように、遅かれ早かれ日本にもその波が来て、配信がメインになると考えています。そのタイミングを見極めていくという意味で、我々は配信の方に舵を切り始めているところです。

――本日は色々なお話をありがとうございました。最後にアニメの魅力とはどこにあると考えているか、改めて教えてください。

アニメの魅力というか、もしかしたらノイタミナの魅力ということになるかもしれないですが、漫画や好きな小説などを映像化するにあたり、実写よりも原作のイメージそのままに映像化できることです。そして、実写ドラマに比べたらコア層との関係が濃くて、原作があるなら原作ファン、オリジナル作品なら、そのジャンルが好きなお客さんを念頭に置いて作っています。それと、よく言われていることですが、実写ではできないことを鉛筆一本で描けるというのは本当に大きな夢があって、アニメならではの魅力だと思います。

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