ノイタミナ編集長・森彬俊、2014年は「良い結果」、2015年タイトルは?

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今年1月に第一弾作品として公開された「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」が大ヒットを記録し、今後も伊藤計劃の「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」や、「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」のスタッフが集結して制作される「心が叫びたがってるんだ。」と、多数の公開作品が決まっているノイタミナムービーについて、語っていただいた。


<インタビュー>

――ノイタミナムービー第1弾として公開された『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』は大ヒットになりました。

おかげさまで興行収入が8億円を突破しました。これは深夜アニメのオリジナル作品に限れば歴代3位 の記録なんです。これがどの程度すごいかというと、1位が「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」、2位が「けいおん!」、そして3位がこれまでは「涼宮ハルヒの消失」だったのですが、ちょうど8.5億円で「劇場版 PSYCHO-PASSサイコパス」が並んだということで、深夜アニメの劇場化としては大成功だったと思います。

――そして、伊藤計劃さんの3作品「虐殺器官」と「ハーモニー」、「屍者の帝国」について伺います。まず、「Project Ito」と題して3作品を映画化しようと思ったのはどうしてですか?

伊藤計劃さんは2000年代のSF作家の中で伝説的な地位だと思います。「虐殺器官」は伊坂幸太郎さんや宮部みゆきさんといった重鎮の方々が大絶賛し、「ハーモニー」はフィリップ・K・ディック記念賞を日本人で初めて受賞するなどSFのお墨付きもあります。それに伊藤計劃作品は、硬派でありつつSFアクションの王道を突いているので、アニメ化したいという話は僕ら以外にもあったと思うんです。しかし、手を出すのが恐いというか、難しい作品なのも間違いない。でも、そこに攻めていくのがノイタミナのアイデンティティだと思っているので、前編集長が伊藤計劃をプロジェクトとして、やらせて欲しいとオファーしました。

――例えば「虐殺器官」はタイトルもさることながら、内容もかなり硬質ですよね。やはりこれを表現するのは映画である必然性があったのでしょうか?

テーマが非常に尖っていますし、戦争の話なので必然的に描写も過激になります。テレビでもやりうると思うのですが、もしかしたら表現を抑えたり、テーマをまろやかにしたりすることになるかもしれない。それを考えると、この作品に関しては映画の方が、原作の持つ魅力を最大限に発揮できると思いました。それに、毎週楽しみにして見るというよりも、劇場という空間で集中して見ていただく方が、伊藤計劃が残した物語の意思をしっかりと描くことに繋がると思いました。

――制作スタジオも、昨今の話題作を手掛けている3社ですよね。

3作品とも物語が全然違いますからね。「虐殺器官」はアクションが多くて、「ハーモニー」は終末論的なところで女の子たちが対峙する姿、「屍者の帝国」は冒険モノの感じが強い作品です。ひとつのスタジオでやるのも選択肢のひとつだと思うのですが、得意なジャンルのスタジオさんに振り分けて、それぞれの監督に表現してもらう。それでいてキャラクターデザインなどで一本の線を通すことを目指しています。

――そして、もうひとつのタイトル「あの花」チームが制作する「心が叫びたがってるんだ。」についてお伺いします。今作も秩父が舞台となりますが、これには何か意図があるのでしょうか?

秩父というのが特別な場所なのかはクリエイターにしかわからない部分ですが、「あの花」という作品は、秩父だからこそ描けた作品だと思います。彼らが次に作る作品が秩父になったのは自然な成り行きというか、必然だったのかなと思いますね。

――先日の「Anime Japan2015」では、お客さんを前にPVやキャストを発表されましたが、手応えはありました?

お客さんも「あの花」ファンの方が多くて、次回作がどんなものになるのか知りたいと思っている方々の前で初めてPVなどを解禁させていただいたのですが、温かい雰囲気で迎えられ、期待に添うものになっていたと思います。

――まだ物語の全容や多くは語られていませんが、公開されたPVでは、タイトル発表時から出てきていた玉子が動いていました。ファンタジー的な要素が入ってくるのでしょうか?

それはですね……。まだ秘密です(笑)これからの発表に注目してください。

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