ノイタミナ編集長・森彬俊、2014年は「良い結果」、2015年タイトルは?

2005年4月期に「ハチミツとクローバー」でスタートし、昨年10年目を迎えたフジテレビの深夜アニメ枠“ノイタミナ”。これまでに50作品以上のテレビシリーズが放送され、「東のエデン」や「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」(以下「あの花」)、「PSYCHO-PASSサイコパス」は劇場版も公開され人気を博してきた。

今回、昨年からノイタミナ編集長に就任した森彬俊さんにインタビューを実施。編集長としての2014年度を改めて振り返りながら、最終回を迎えた「四月は君の噓」(以下「君嘘」)と「冴えない彼女の育てかた」(以下「冴えカノ」)の手応えや、4月にスタートする新番組「パンチライン」の見どころ、2015年に公開されるノイタミナムービーについてなど、“ノイタミナ”や“アニメ”に対する様々な思いを語っていただいた。


<インタビュー>

――ノイタミナ10年目の年に編集長に就任されましたが、どのような1年でしたか?

昨年はノイタミナの集大成といえる1年になったと思います。ノイタミナがスタートしたとき“アニメの月9になる”と公言してきました。“月9”には、女性向けとか恋愛作品というイメージがあると同時に、連続ドラマのトップを走ってきたブランドイメージみたいなものがあると思います。そういった意味でノイタミナが目指した“月9”像は後者の意味合いが強かったと思っています。その中で、「PSYCHO-PASS」は、テレビで人気を博して、コミカライズなどのメディア展開、最終的に劇場に繋がっていくという、フジテレビドラマの王道のパターンともいえる形で大ヒットさせることができました。これをアニメというメディアで実現できたことで、アニメ業界をリードする、いわゆる“月9”的な存在に近づけたのかなと思います。

――1月期の「四月は君の噓」と「冴えない彼女の育てかた」が最終回を迎えました。前者はノイタミナのど真ん中の作品として登場し、後者はノイタミナでこれまで扱ってこなかった“萌え”というテーマが描かれました。この両極端な2作品の放送を終えて手応えはいかがですか?

この2作品を同時期に放送するのはノイタミナとしても挑戦でした。「君噓」は作品としてのクオリティも素晴らしく、最終回まで非常に良い具合に進み、きちんと結果も出ています。「冴えカノ」に関しては、僕らも自信を持って送り出してはいるのですが、ノイタミナの視聴者の皆さんに受け入れてもらえるかわからない部分もありました。最初は「ノイタミナらしくない」という声がネットから聞こえてきていたのですが、放送を重ねるうちに「ノイタミナで萌えをやるとこういう感じになるんだね」という風に徐々に受け入れられてきて、結果を残すことが出来ました。もちろん、これはクリエイターたちがギリギリまで頑張ってとても高いクオリティにしてくれたことが大きな要因だと思います。

――昨年のノイタミナ発表会でお披露目した「冴えカノ」の初出し映像でも、「こんな作品をノイタミナで放送するなんて……」という自虐的なナレーションが入ったものでした。視聴者の反応は変わっていった印象がありますか?

「冴えカノ」は1週目にいわゆるサービス回を0話として放送して、本編は2週目から始まると位置づけていました。普通だったらキャラクターに感情移入してきた中盤から終盤にかけてああいった話数を挟むのですが、それを敢えて最初に持ってきたことで、見ているお客さんに「何だこれ?」、「いきなり直球のやつが始まったけれど全然感情移入できてないぞ」というどよめき感を与えたかった。実際に放送後は「ノイタミナでこんな媚びた作品やって良いのか?」とか「逆にノイタミナらしい」とか賛否両論がわき起こったのですが、僕たちが奇襲作戦を仕掛けたのは本筋の物語に自信があったからなので、最初に話題作りできたことで、これは成功したと思いました。1週目を見て「女の子はかわいいしエロかったけど、感情移入できなかった」と思った人にも、2週目で「意外と物語が面白いんだ」と感じてもらえた。そして「これから、あの子たちはどういう風に出てくるんだろう?」と惹きつけていくことが出来たと思います。

――そういう意味では、4月期の「パンチライン」も今までのノイタミナ作品とはひと味違う印象を受けています。ただ、正直どんな作品なのかわかりません(笑)

「パンチライン」はゲーム企画が最初にあったんです。それをゲーム会社の方からお話をいただいて、物語を読ませていただいたところ、キャッチ―でトリッキーな始まりから、すべてが収束する熱いオチがあるというストーリー展開になっていたんです。いきなり「パンチラ」アニメとして始まる物語がどのように収束していくか。お楽しみいただけると確信しています。それに「パンチライン」というタイトルは当然「パンチラ」とかけているんですが、英語では「物語のオチ」という意味もあるらしいんですよ。そのダブルミーニングをとても面白いなと直感しました。

――「パンチライン」を一言で説明するとしたら、どのような言葉になりますか?

「少しHで、笑えて、勢いがあって、最後は泣ける」ですね。今、視聴者の皆さんにはどんな作品なのか伝わっていないと思うんですよ。それは当然で、1話2話はパンチラやギャグを中心に色々な要素がごった煮になっています。物語の輪郭はわからないけど、なんだか勢いはめちゃくちゃあるといった印象を与えると思います。スタッフに「フリクリ」や「天元突破グレンラガン」、「キルラキル」とかのメンバーが集まっているのですが、これらの作品も、ごった煮のサブカル感がありながら、最後にはごちゃごちゃしていたドラマが収束していく様子がしっかりと描けていましたよね。「パンチライン」もそういったところを目指しているアニメですね。

――音楽が小室哲哉さん、OPがヒャダイン×中川翔子×でんぱ組.incのコラボレーションということでも注目を集めています。

小室さんがアニメの音楽をやるのは、「シティハンター」とか「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」以来になるかもしれないですね。どうして今、小室さんなのかというと、監督とかの世代がもろにその世代だったんですよ。いろんな音楽が作れて、ちょっと外しつつも王道も押さえている人って誰なんだろうと考えたとき小室哲哉さんの名前があがったんです。久しぶりに小室さんがアニメの音楽をやるというだけでも楽しそうですし、それがオファーのきっかけでした。それと、ヒャダイン×しょこたん×でんぱ組.incって、それぞれが独立したアーティストじゃないですか。それがごちゃってなるのも「パンチライン」という作品を表していると思っています。ぜひ、ごった煮感を楽しんでいただきたいです。

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