柄本時生、本郷奏多との再共演に喜び「何年かぶりに一緒になって楽しい」【連載PERSON】

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柄本時生、本郷奏多との再共演に喜び「何年かぶりに一緒になって楽しい」【連載PERSON】

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、現在放送中の金曜ドラマDEEP『消せない「私」ー復讐の連鎖ー』(日本テレビほか、毎週金曜24:30〜)に出演している柄本時生さんが登場します。

黒田しのぶさんの「消せない『私』~炎上しつづけるデジタルタトゥー」(ぶんか社)をドラマ化した本作は、志田彩良さんが初主演を務める、家族も友達も奪われ人生を台無しにされたヒロインが数年の時を経て濃密な復讐を遂げるリベンジ・エンターテインメント。志田さんが演じるのは、卑劣な同級生たちの悪意の連鎖でどん底まで叩き落とされる主人公・灰原硝子。そして、柄本さんは迷惑系配信者の綿貫健を演じる。

この度、柄本さんにインタビューを実施。一癖も二癖もある綿貫をどのように演じているのかを聞いたほか、「一番好き」だというテレビ番組についても話を聞きました。

『消せない「私」』綿貫健と『真犯人フラグ』ぷろびんの演じ分け

――「デジタルタトゥー」「誹謗中傷」などを扱うセンセーショナルな内容の本作ですが、台本を読んだ時はどのような感想を持たれましたか?

「厳しい」「きつい」「寂しい」……。そんな感情が増えたような記憶があります。

――厳しい、きつい……具体的にはどのような感情だったのでしょうか?

志田さん演じる硝子に起きたことがきついですし、その次に起こることが厳しいなと。さらにそのあとに移す行動が寂しく感じるんです。人の本質などにそこまで興味はないのですが、その行動に寂しさを感じてしまう感じでしょうか。ただ、そうしないと無理だろうとも思いますし、その気持ちがわからなくもないという感情もあります。

――柄本さんが演じる綿貫はちょっと癖のある人物です。演じる上でこだわった点などはありますか?

こだわりは特にないんです。楽しくできればいいかなという感じです(笑)。ただこのような役をやるのは実は2回目なんです。日曜ドラマ『真犯人フラグ』で超迷惑系YouTuberのぷろびんを演じたのですが、あれは僕の俳優人生の中でも歴史に残る役でして(笑)。となると……今回の綿貫役はどうしようかなと。自分の引き出しの中でもう一度ぷろびんを出してもしょうがないしなと思いながら、どう差別化できるかということを考えつつ演じています。

――綿貫役に対して監督からこうしてほしいというリクエストはあったんですか?

たまに「この部分はこういう雰囲気が欲しい」という要望を伝えてくださいます。言われた台詞の部分は大切なんだろうなというのはわかるので、そういう具体的な指示をいただく部分はその通りに演じています。

――志田さんや本郷奏多さんと現場で共演してどんな印象をお持ちですか?

志田ちゃんは明るいです。現場でいろいろな方と話して、スタッフさんともすごくコミュニケーションをとっていて、気さくな方だなと。共演者にもスタッフさんにも好かれる方なんだろうなと思います。

――本郷さんはどうですか?

僕、奏多のことは“かなぴょん”と呼んでるんです。ただ、かなぴょんとは、(今回の現場で)ほとんどまだ絡んでいないんです(笑)。でも、すごく何年かぶりに、一緒になって楽しいですよ。年齢が一つ下で、僕のことを“時生”と呼んでくれる数少ない年下の一人なんです。何年かに一度お仕事できるというのは嬉しいです。

――志田さん演じる灰原硝子と、その硝子の運命に大きな影響を与える本郷さん演じる徳道仁の関係性については、台本を読んでどんな感想を持たれましたか?

すごく表現しにくいですよね。贖罪であり、愛情にも似た何かを持っていて……。先に進むことはないんだろうなという感覚で見てしまいます。それも悲しく見えますよね。

――綿貫は「炎上はチャンス」という考え方をしていますが、そういう心理はどこからくるのかという分析をしたりはしましたか?

したことはないですが、「炎上はチャンス」という理由も言っていることもなんとなく理解はできます。ただ、やり方の問題のような気もします。

――10話以後で綿貫の見どころとなるようなシーンは?

あんまりないかも……自分のことを見てくれとはあまり言えない性格なんです(笑)。ただ、作品が面白いので作品を見てください。そうしたら僕が出てくるので。そこでみなさんが絶対に楽しめるようになっていると思います。監督、カメラマンさん、照明さんを信じてぜひ見てください。

――この作品が視聴者に伝えたいことはなんだと思いますか?

いろいろな要素があると思うんです。「みんなそういうことはやめよう」という注意喚起でもないですし。「みんな、考えようよ」というような問題提起の仕方だと思います。

M-1グランプリ』を流しながら寝るくらいバラエティ好き!?

――ここからはテレビについて聞きたいのですが、ご自身が影響を受けた番組を教えてください。

楽しんで見ていたのは『ダウンタウンのごっつええ感じ』です。DVDも全部持っています。あと『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』も全部DVDで持っています。影響を受けた作品となるとドラマやテレビより映画が多いです。でも、バラエティは本当によく見ていて、『M-1グランプリ』の映像を流したまま寝るなんてことも(笑)。

――(笑)。でも『M-1グランプリ』の映像を流したまま寝られるんですか?

全然寝られますよ(笑)。聞こえてくるのがオチで、頭の中で言えます。あとザ・ドリフターズの出ている番組や、『志村けんのバカ殿様』も見ていました。それもDVDでも持っています。

――今放送されているような番組だと何を見ていますか?

今、パッとこれというのは正直浮かばないですが、最近は、アニメにハマっています。

――アニメだとどんなものを見られるんですか?

やっと『僕のヒーローアカデミア』を見終えたばかりです(笑)。この後、『呪術廻戦』『アンダーニンジャ』『ドロヘドロ』なんかも見ようと思っています。見たいものがたくさんあります。

――役者として大事にしていること、信念、軸となるようなものはありますか?

軸はなるべく“底辺”(=ベース)だけは持っていようと思っています。自分が底辺の部分を持っていると大丈夫な気がするんです。役者としてだけでなく人生でもそうですが、自分の底辺を持っていないというのはあまり好きではないです。

――座右の銘や、大事にしている言葉もあればぜひ教えてください。

いっぱいありますね……。そんな中でも、いつもうちの母(角替和枝さん)がよく言っていた「この仕事はがっかりすることと待つことに慣れること」という言葉を大切にしています。

取材・文・撮影:名鹿祥史

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