『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』二宮和也“誠司”と中川大志“ミズキ”の胸アツ友情展開、二人の関係性を振り返る会話にも注目

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『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』二宮和也“誠司”と中川大志“ミズキ”の胸アツ友情展開、二人の関係性を振り返る会話にも注目

日が暮れ、いよいよ本当の“聖夜”がやってきた。12月4日放送の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系、毎週月曜21:00~)第9話は、クリスマスイブの16時43分から17時48分までの物語。勝呂寺誠司(二宮和也)はアネモネのアジトへ、立葵時生(大沢たかお)はレストランへ、倉内桔梗(中谷美紀)はテレビ局へ。それぞれの居場所で、それぞれの戦いがまた始まろうとしている。

桔梗、時生はそれぞれの決戦の時に向けて進展

撃たれたふりをしたまま緊急搬送された誠司。人質だった時生は事の真相と「約束は守る」という誠司の言伝を桔梗に伝えた。そして時生は「葵亭」へ、桔梗は横浜テレビへと戻っていく。

同じくテレビ局へ戻る立葵査子(福本莉子)は、彼氏の浮気現場に遭遇してしまうバッドなクリスマスになってしまったが、今は仕事に情熱を燃やすいいタイミング。その場でたまたま桔梗に会うことで、自分が今やるべきことを再確認できたようだ。その際、仕事一筋に見える桔梗から「この人だっていう人に巡り合えたら素直にならなきゃだめ」という助言があったのもよかった。そう、恋と仕事は両天秤にかけるものではない。どっちも人生の一部なんだから。

桔梗は報道部のメンバーと作戦会議。ホワイトボードに写真を貼り付け、相関図を描いている様はまさに捜査本部だ。警察によって情報が隠されて降りてこない今、取材で得た情報が一番の頼りになる。しかも、これまでの事件の経緯を整理してくれていて、視聴者としては大変ありがたい。

そんななか、桔梗のもとには今夜の密輸取引の情報が入った。現場を中継しようと画策する桔梗の口からは「私たちの武器はテレビ」という言葉が。桔梗が見せるテレビ局員の矜持はきっと、制作しているフジテレビの人たちも思っていることなんだろう。SMAPが総合司会を務めた2014年の『FNS27時間テレビ』のキャッチコピーが「武器はテレビ」だったことを思い出す(27曲ノンストップライブからの森くんの手紙という伝説回!)。横浜テレビの特番『ミュージックフェスティバル』をジャックして中継するなんて作戦、それはもうワクワクしかない! 地方テレビ局の逆転劇、見せてくれ!

一方「葵亭」では、愛情たっぷりのお弁当は料理の最高峰だとみんなが礼賛する流れになっていた。まさか今夜のクリスマスディナーは、最高の洋食メニューを詰め込んだ松花堂弁当方式か? たしかに第1話で出てきた査子のお弁当は、オムライスにハンバーグにエビフライにナポリタンといった洋食オールスターズ勢ぞろいの完璧な弁当だった。一体どんなスペシャルメニューを作り上げるのだろう。

誠司とミズキの間に流れるおだやかな時間

搬送中の誠司は、付き添っていた狩宮カレン(松本若菜)に銃を突きつけて逃亡。融合していた物語は今回再び、<逃亡編><レストラン編><地方テレビ局編>とそれぞれの持ち場に回帰する。

特に今回新たな動きを見せていたのは<逃亡編>だ。フリーライターを名乗っていた八幡柚杏(中村アン)は、警視庁の監察官だった。蜜谷をアネモネとつながっている疑いで内偵していたものの、内通者はほかにいると気づき始めていた。

その有力な候補は、一課長・一ノ瀬猛(遠山俊也)。蜜谷はそんな一ノ瀬に呼び出しをくらう。蜜谷を告発するという一ノ瀬に、誠司が潜入捜査官だと話す蜜谷。信用して話しているのか、一ノ瀬が内通者だと疑いカマをかけているのかはまだわからない展開だ。

そして笛花ミズキ(中川大志)は、今夜の重要な取引の中止を先方から言い渡され窮地に追い込まれていた。そこに誠司がやってくる。ミズキはすでに誠司のことを疑っているわけだけど、蜜谷との関係を聞かれた際に誠司はうまく辻褄を合わせて状況説明をしていた。やはり頭がいい。

今回見えてきたのは、ミズキのアネモネ内での立ち位置だ。ミズキが組織の二代目ボスとしてやってこれたのは、右腕として誠司がいたから。取引相手がミズキではなく誠司を信用している様子からもそれは伺えた。

ミズキは組織のボスとしてのプレッシャーもある。誠司のことを疑うしかないが、それでもまだ信頼すべき仲間だという思いも捨てきれていない。その詰めの甘さはたしかに犯罪組織のトップとしては致命的だ。でも、本当にいいボスだと思う。

一緒にハンバーガーを食べるシーンの会話からは、そんなミズキと誠司の本音と、これまで築いてきた友情のような関係性がよく現れていた。誠司がここまで穏やかに話をできる相手はミズキしかいない。実はTVerで配信中の「Episode0~逃亡編~」では、事件の前日譚として記憶をまだなくしていない誠司とミズキがハンバーガーを食べながらの仲睦まじい会話劇を公開しているから合わせてみてほしい。今回もミズキはパイナップルバーガー、誠司はピクルス増し増しのバーガーを食べているはずだ。

会話の口調を聞いていると、もしかして誠司、記憶が戻っているのか? バスで撃たれた芝居をしたときに、フラッシュバックを起こしたかのような演出がされていて気になっていたが、そのときに記憶を取り戻したのだろうか。はたまたこれも演技か? 誠司は蜜谷とミズキ、最終的にどっちにつくのだろう。誠司の選択が、この物語の展開を握っている。

(文:綿貫大介)