ラグビー元代表キャプテン・廣瀬俊朗が日本の躍進には欠かせない“ONE TEAM”の作り方を伝授!

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ラグビー元代表キャプテン・廣瀬俊朗が日本の躍進には欠かせない“ONE TEAM”の作り方を伝授!

9月9日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、ラグビーの元日本代表キャプテン・廣瀬俊朗をゲストに迎え、“ONE TEAM(ワンチーム)”の作り方について、MCの勝村政信や解説の坪井慶介らとトークを繰り広げた。

5歳からラグビーを始め、ラグビーと共に生きてきた廣瀬は、高校・大学・トップリーグの所属チームで常にキャプテンを務め、東芝時代にはリーグ連覇を成し遂げるなど、輝かしい結果を残してきた。2012年には日本代表のヘッドコーチとなったエディー・ジョーンズに請われる形で、代表のキャプテンに就任。2013年には格上だったウェールズからの歴史的勝利など、大きな結果を残す中で、今に通じるワンチームの礎を築き上げていった。

2019年に日本で開催されたラグビーW杯では、多国籍の選手たちが集まるラグビー日本代表がワンチームとしてまとまり、日本中にラグビーフィーバーを巻き起こしている。廣瀬はいったいどのように、文化も習慣も異なる選手たちを一つにまとめ上げたのか。一つは「複数のリーダーで物事を決める」という画期的な取り組みだった。

廣瀬は「日本代表の中で7~8人くらいで、“どうやったらかっこいいチームになれるか”“憧れの存在になれるか”というようなことを定期的に話し合うリーダーシップグループというのがあったんです」と説明。選手たちに当事者として意見を出してもらい、共有することでチーム全体の意思統一を図っていたという。このリーダーによるミーティングは、現在の代表にも受け継がれており、チームの一体感を高めている。

また、廣瀬はより良いチームづくりのために、国歌斉唱の練習会や、国歌の意味を理解してもらうための勉強会なども開催。これらもリーダーシップグループの発案によるものなのだとか。廣瀬はワンチームを体感できる時間が大事だといい、試合前には選手全員による控室でのスパイク磨きなども実践。現役時代にスパイクを磨くのが好きだったという坪井は「僕は1人で部屋で磨いていたので。みんなが共有できるものを作り上げるという、ラグビーのチームの素晴らしさを見ました」と、廣瀬の取り組みを絶賛した。

ベテランの選手と若い選手が2人1組となって、練習の前後に話し合う時間を設ける「バディシステム」も、ワンチームのための取り組みの一つ。「アウトプットの機会を設けることで、チームミーティングでも発言できるようになるんじゃないかなと思って、このシステムを作りました」という廣瀬の説明に、坪井は「これはサッカーでも取り入れた方がいい。ピッチ上で声を出すことも大事なんですけど、それ以外の部分でコミュニケーションを取っておくと、結局はピッチ上でスムーズな意見交換するのに役立つ」と主張していた。

そして、出場機会に恵まれないベテラン選手の居場所ができるというのも、バディシステムの大きなメリット。勝村が「サッカーの日本代表でもチームが一つになってるときって、試合になかなか出られなかったベテランが盛り上げたりしていたもんね」と指摘する通り、日韓W杯のときの中山雅史秋田豊らベテラン選手の存在が、出場機会の減っていた廣瀬の2015年の代表入りに繋がったそうで、廣瀬は「サッカーの皆さんのおかげ」と感謝していた。

ワンチームになるための取り組み、最後は「ビジョンを定める」こと。ラグビー日本代表が掲げたビジョンは「ファンを幸せにする」「新しい歴史を築く」「憧れの存在になる」の3つ。廣瀬はこうした目標を設定することで、試合に出られない選手もファンへの対応などでラグビーの存在感を高めることに貢献できると語った。

さらに廣瀬は、“オン・ザ・ピッチ(ピッチ内)”だけではなく、“オフ・ザ・ピッチ(ピッチ外)”も重要だと強調。実際に、2019年の大会スポンサーだった三菱地所は、当時のラグビー熱を冷まさないように、今もオフ・ザ・ピッチでの取り組みを行っていた。

三菱地所は東京・丸の内のオフィス街の中心に、ピッチを模した芝生ゾーンや、ラグビーボール型のベンチ、15台のHポール型のブランコゾーンなどを備えたスペースを開設。日常的にラグビーに触れられる街づくりを進めていた。

今大会を控えたお盆休みには、ラグビーボールを使ったゲームやラグビーボール型のスーパーボールすくいなどが楽しめる縁日を開催。地域と人を繋ぐ三菱地所のアプローチに、ラグビーのコアファンも「ラグビーを知ってもらうきっかけになる」と喜んでいた。

他にも、ラグビーの輪を広げるために、キャンペーンの車が日本全国を走り回り、地図上に、GPSで「ONE TEAM」の7文字を描きながら、道中で出会った人々に日本代表へのメッセージを書いてもらうというプロジェクトも実施。エールを受け取った日本代表の稲垣啓太は「今回はホームじゃなくて、敵地で戦うので、日本の皆さんの声が本当に力になると思います。たくさんの方が届けてくれたので、その力を持ってフランスでやっていきたいと思います」と意気込んだ。

プロジェクトによって最終的に集まったのは、1万を超える応援メッセージ。これは、9月10日にチリとの初戦を迎えるラグビー日本代表への期待の表れでもある。発起人として各地を巡った廣瀬も「プロジェクトを通して“ラグビーW杯があるんだ”とか、“応援しよう”とか、そういう機会を作れたのはすごくよかった」と笑顔を浮かべていた。

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