川澄奈穂美も絶賛!女子W杯で世界を驚かせたなでしこジャパンの快進撃「予想以上なんてもんじゃない」

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川澄奈穂美も絶賛!女子W杯で世界を驚かせたなでしこジャパンの快進撃「予想以上なんてもんじゃない」

8月26日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、女子W杯で世界中から称賛されたなでしこジャパンの戦いぶりを様々な視点で分析。日本女子サッカー界のレジェンド・川澄奈穂美をゲストに迎え、今大会を振り返りながら、女子サッカーの未来についてトークを繰り広げた。

先日行われたばかりの女子W杯でベスト8敗退ながらも、その快進撃が世界に衝撃を与えたなでしこジャパン。特にグループリーグでは全チーム最多の11得点を奪い、優勝したスペイン相手にも4得点で勝利するなど、圧倒的な強さを見せた。

2011年の優勝メンバーである川澄は、今回のなでしこジャパンのグループリーグでの活躍について、「こんなに結果出せるもんかっていうぐらい、いい結果ですよね。予想以上なんてもんじゃないですよ。もうちょっと正直苦戦するかなっていうのはありました」と驚き、「この結果は本当に素晴らしいなって思います」と絶賛。これだけの結果を出せた理由については、海外組の影響も大きいとしながら、「WEリーグが始まって初めてのW杯なので、サッカーにかけられる時間が増えたという選手が多くなった。24時間をサッカーのために使えるようになったことが、この結果にもしっかり表れている」と指摘した。

川澄の言う通り、今大会では5得点をマークして、澤穂希以来の得点王に輝いた宮澤ひなたを筆頭に、2ゴールを上げた植木理子田中美南、W杯では男女を通じて初となる10代で得点を決めた藤野あおばなど、WEリーグで活躍。世界の舞台でその力を示している。

また、大会前に番組に登場した長野風花長谷川唯は「言い合いやぶつかり合いのできるチームになりたい」と悩みを吐露していたが、ピッチでは見事な結束力を発揮。川澄も「点を取った選手がベンチにあれだけ駆け寄っていくって、なかなかない。みんなすごくチームのために頑張ってるなっていうのが伝わってきますし、ピッチに立ってる11人だけではなくて、ベンチメンバーも全員で戦ってるっていうのが本当に見えるので。そういったチームは強いなって思いますね」と、選手同士の絆の強さに着目していた。

今大会が終わり、パリ五輪や次のW杯に向けて動き出したなでしこジャパンだが、これ以上の結果を残すためには、さらなる成長が必要となる。そのカギとなるのが、日本にもムーブメントが押し寄せているアメリカの育成システムだった。

アメリカ国内では女子サッカーの人気が高く、リーグ戦の観客動員数はドイツやイングランドを抑え、世界のトップ。長年アメリカでプレーしてきた川澄は「入る試合は本当に観客が入る。例えば杉田妃和選手が今いるポートランド・ソーンズFCなんかは毎試合1万人、多いときで2万人近く入ります」と説明し、「歓声があると、しんどいときに体が動く。やっぱり大勢の方に来ていただいて、スタンドで見ていただきたい」と訴えた。

日本人選手だけではなく、アメリカのリーグには今回のW杯に出場した国のうち、18か国のスター選手が所属。なぜ世界中から選手が集まるのか。その要因の一つが、アメリカ独自の育成システムだった。アメリカでは大学を経由してプロになるのが主流となっており、そこで生まれた「大卒ドラフト」という育成システムが、女子サッカーを活性化させているという。

大卒ドラフトとは、大学に所属していれば国籍問わず、クラブが指名・契約できる制度のこと。そのレベルの高さからアメリカの大学に世界中から選手が集まってきており、解説の北澤豪も「トップと大学が連携しながらお互いの役割を果たしてる」と感心していた。

また、アメリカでは男女の育成格差をなくす制度があり、男子同様に充実した設備や奨学金制度が女子サッカー選手にも適用されている。川澄は「アメリカは環境を整えるのが先っていう考え方なんですよね。結果を出してからとか、強くなってから、だんだん良くなるよではなくて、先にこういう環境を準備します、だから強くなってくださいねっていう感じ」と強調した。

レベルの高さや環境面から、日本でもアメリカへのサッカー留学を目指す女子高校生年代が急増しており、番組ではアメリカのサンタクララ大学が日本で行ったトライアウトに密着。サンタクララ大学は、2021年に全米の大学女子サッカー選手権を制した名門で、チームを指揮するグレッグ監督は「日本人選手のプレースタイル・テクニック、そして真面目に学ぶ姿勢がとても好きです。今日は皆のプレーを見るのが楽しみ」と期待を寄せていた。

トライアウトに参加したのは、高校のサッカー部やWEリーグ・日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織の選手など約30名。チームを作り、3試合ずつ行うゲーム形式でのテストが行われ、グレッグ監督は「私の希望どおりのプレーが見られてよかった」と結果に満足しながら、「直接連絡を取りたいと思った選手は3人。1人の選手は事前に知っていたのですが、興味深い選手がさらに2人見つかった」と明かした。

トライアウトのVTRをスタジオで見ていた川澄は「こんなに貴重な経験はないですね。チャレンジする選手がどんどん増えて、世界各国の強豪たちと日々戦って成長していってほしい」とエールを送り、MCの勝村政信も「こういうのを見てると、日本がようやく開国し始めたのかなっていう。スポーツを通じて個人が外に出て、こっそり開国してくれてる。これは頼もしいなと思いますね。夢がある」と声を弾ませていた。

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