ワールドクラスの指導者が高校生を指導!淡路島で世界を見据えた選手育成を実施

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5月14日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、創部からわずか3年で大躍進を遂げた相生学院高校サッカー部を取り上げた。

昨年の全国高校サッカー選手権兵庫県予選で、特に注目を集めたのは決勝戦の滝川第二高校と相生学院高校の試合だった。岡崎慎司を筆頭に多くの日本代表を輩出している名門・滝川第二をあと一歩のところまで追い詰めた相生学院は、惜しくも優勝は逃したものの、その奮戦が一躍注目を集めることとなる。

今シーズンからヴィッセル神戸に加入した高卒ルーキー・日髙光揮の出身校でもある相生学院は、週に1回の授業参加とレポート提出が必要な通信制高校で、サッカー部は淡路島を拠点に活動中。番組スタッフは、大自然に包まれた淡路島の練習場を訪問。そこには、アーセナルFCで15年間に渡ってゴールキーパーコーチを務めたジェリー・ペイトンが、46名の部員を指導していた。

名将アーセン・ベンゲルと共に2003・2004シーズンには、プレミアリーグ無敗優勝を達成。世界的ゴールキーパーのペトル・チェフや、ヴォイチェフ・シュチェスニーを指導してきたペイトンが、無名の日本の高校を指導していることに、MCの勝村政信も驚きを隠せない。家族旅行で来日したことが縁で、相生学院のゴールキーパーのアドバイザーに就任したペイトンは、2021年6月から監督として采配を振るっている。

ペイトンがシュートの練習に取り入れているのは、アーセナルFCと同じ、パワーを50%にしてコースを狙うという練習法だった。ペイトンいわく、高校年代の選手は1対1の局面で力任せにシュートを打ちがちだが、パワーに頼らず、コースを狙うテクニックこそが重要だという。逆にキーパーは、相手にプレッシャーをかけ、りきませた方が有利。キーパートレーニングでは、ストライカーにプレッシャーを与え、甘いコースにシュートを打たせる練習を行っていた。

ペイトンはこれらの練習だけではなく、ピッチの外でも選手たちをサポート。淡路島にある選手寮では、選手一人一人をより知ろうと寝食をともにしている。ワールドクラスの指導者でありながら、高校生の育成を手掛けるペイトンについて、解説の都並敏史は深く感心。「世界はトップレベルの指導者が育成年代の指導を行っている。それは今の日本の課題でもあります」と指摘した。

そして、ペイトン以外にも清水エスパルスなどで監督を務めたゼムノビッチ・ズドラブコが2022年3月から相生学院のヤングプレイヤー監督に就任。高校サッカー史上初となる世界を知る2人の監督が、相生学院の育成を支えていた。

2人の指導のもと、今年も目指すのは全国や優勝かと思いきや、選手たちからは「選手権優勝は通過点」「プロになることが一番」など、意外な言葉が飛び出す。相生学院の目的は、あくまで世界で通用する選手を育てること。充実の練習設備も、ワールドクラスの指導者の招聘もそのための施策だった。

他にも、ペイトンとのやり取りには英語が使われ、選手同士のミーティングでは互いを尊重しながらも、自己主張を徹底。相生学院では、世界的なプレイヤーになるための様々な取り組みが行われていた。

また、相生学院では週3回、月3000円で部員たちが小学生を教えるサッカースクールを開校。実は、これも練習の一環で、子どもたちに教えることで、自身の成長につなげるというものだった。スクールのお金の管理や入会の手続きなど、運営の一部も選手が行っており、選手らはサッカーだけではなく、社会人としての基礎も学んでいる。

さらに、選手たちはスポンサー集めも行っている。現在、スクールのコートを子どもたちが怪我をしないよう、人工芝に張り替える予定があり、その資金を寄付してもらえないか島内の企業を回っているという。スポンサー集めには、コミュニケーション能力を向上させる意味合いもあり、高校サッカーの粋を越えた“人財育成”も、相生学院の強みとなっている。

これら、相生学院が行っている選手主体の取り組みについて、都並は「自分のためになるぞ、肥やしになるぞと思いながらやれている感じがすごい」と絶賛。勝村は「コミュニケーション能力もそうですけど、完全にセカンドキャリアにもつながるわけじゃないですか。ちょっと長く見ていたいですね」と期待を寄せていた。

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