ボウガンの矢が考察官の背中に...事件現場は死の館、十二角形の屋敷の秘密

公開: 更新: テレ東プラス

考察一課に柳沢がやって来て、ホワイトボードにパーティー出席者の写真を貼り出す。考察官の名取悠(名取裕子)が「犯人が絞れたって本当なの?」といぶかしげに尋ねると、内藤が「現場第一主義だった俺から言わせてもらえば、最前線っていうのは、一番証拠を見落とすんだよ」と続ける。

「現に俺がそうだった、間違いない」

「内藤、胸張って言うことじゃねぇよ」

「『言うことじゃねぇよ』って…一課長、誰に向かって話してる?」

立ち上がって凄みを効かせる内藤に、思わず怯む柳沢。

「内藤…さん」

「よし。俯瞰の目で考察するのが不可欠だと言ってるんだ」

「ああ…いや、実は被疑者は絞られてるんだけど、正直言って手こずってるんだよ」

「ほーらね」

「先にそれを言え」

うれしそうな考察一課の面々。事件が起きたのは、今日の午前10時頃。東京・港区にある二階堂犬千代の屋敷で、二階堂の喜寿を祝う食事会が開催された。西村はこれに出席していたが、正午過ぎに二階の一室でボウガンで撃たれ、倒れているのを使用人が発見した。

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徳永が現場の写真を見せると、考察一課随一の勘の良さを誇る名取が「この部屋、壁の角度が斜めじゃない?」と言う。

「さすが! この屋敷は特殊な形なんだよ」

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平面図を見ると、屋敷は十二角形をした珍しい建物で、山村が「十角館ならぬ、十二角館の殺人ね!」と目を輝かせる。

「おい! 殺人って、西村は"まだ"死んでねぇんだよ」

「"まだ"なんて言ったら、これから死ぬみたいですよ」

「で、その十角館とか十二角館って、何なんだよ?」

「『十角館の殺人』、綾辻行人のデビュー作にして『館シリーズ』の第一作。新本格のマスターピースとも呼ばれる名作よ〜」

「私もいくつか読んだことあるわ。十角館でしょ、それから迷路館、時計館、暗黒館…」

名取がそう話していると、考察一課課長の船越慶一郎(船越英一郎)がやって来て続ける。

「公民館、国技館、出前館、そして俺の好きなカラオケ館。♪モーニンモーニング、きみの朝だよ~」

名曲になぞらえて挨拶する船越に、「カラオケ、何歌うの?」と山村。

「あれだよ、タイトルが出てこない」と言いつつ、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の振り付けを踊ってみせる。

「ほらアレだよ! お菓子食べると中から占いが出てくるやつ。せんべいか? いや違う」

すると山村が、「これじゃない?」とテーブルの上にあった月餅を手に取る。

「でも月餅ってさ、俺たちくらいの年になると、これ一個でお腹いっぱいになっちゃうよな」

「"かもめの玉子"とか"ままどおる"とか、あれくらいのサイズがちょうどいいだろ」

「私は生八つ橋」

「ええなぁ、京都よろしいなぁ」

「ねぇ、誠子ちゃんはどこのお土産が好き?…って、あれ?」

お土産談義に盛り上がりながら、高島がいないことに気づく一同。

「高島さんは、今日発売の『ムー』を買いに新宿の本屋さんに行きました」

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船越は呆れつつ、皆が何の考察をしていたのか聞く。そして西村が死にかけていると知ると驚きの声を上げ、考察に入る。

パーティー主催者の二階堂犬千代は、十角館へのオマージュで自分の屋敷を十二角形に設計するほどのミステリーファン。2階の各部屋は干支にちなんだ名前が割り振られており、西村が発見されたのは美術品の部屋として使われていた『ウマの間』だった。

「十二角形に、十二支の部屋…まさに人殺しが起こるべくして起きた、死の館!」

目をキラキラさせている山村に、「西村さん、死んでないんですよ〜」と徳永。

船越は現場写真を見て、「この部屋に飾ってるいろいろ、何だ?」と尋ねる。
ミステリーマニアで美術収集家でもある二階堂は、集めた美術品をこの屋敷に展示していた。犯行現場も展示部屋の一つで、普段から美術品が並べられている。

凶器となったボウガンは、この部屋に展示されていた現代アートで、パーティー出席者の千原イアン(橋本悟志)の作品であることが分かる。作品のタイトルは「行き過ぎた欲望の破壊」。

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「アートって難しいわね〜」

「いずれにしても、作者の千原は怪しいな。その凶器の使い方に一番長けていたってことだろ?」

「それがそうとも言いきれなくて。この作品は、スイッチを押すだけで簡単に発射できるように改造されているんですよ」

「じゃあ、誰でも操作可能だったの?」

「はい。ただ、普通のボウガンと決定的に違う点があるんです。スイッチを押すと必ず1時間後に矢が発射されるという仕掛けになってるんです」

「時限装置?」

「はい。千原いわく、この装置は『自殺するための芸術』なんだと…。自分に矢が刺さるまでの1時間、欲にまみれた己の人生を振り返り、後悔しながら矢が放たれるの待つ、という作品なんだそうです」

「……」

船越が「これ、あんまり言いたくないんだけどさ…」と口を開く。

「千原って…」

「サイコパスじゃねぇか?」

すると徳永が立ち上がり、「それ禁止ですよ」と船越を睨む。

「すまん」

「じゃあ、千原に限らずそのスイッチを押した人物が犯人ってことだな」

「ちょっと待って。誰かがスイッチを押したとして、矢が放たれるのはその1時間後ってことでしょ? 確実性に欠ける殺し方よね」

「不可解なんだよ。俺たちが手こずるのも分かるだろ?」と顔をしかめる柳沢。

「一旦凶器の話は置いておいて、犯行時刻のアリバイから攻めてみるのはどうだ?」

「西村が撃たれた正午から遡ること1時間前、その前後に凶器のスイッチを押すことができた人物が犯人ってことか」

「当然それは調べたよ。その時刻は一階の大広間でパーティーの最中だった。これがその証拠だよ」

出席者たちの集合写真を見せる柳沢。そこには主役の二階堂が写っておらず、カメラマンがテストで撮ったものだという。

「この写真が撮られたのが午前11時頃。犯行推定時刻ちょうどです」

「ということは、この中に写ってないヤツが…」

「ああ、この5人だ」

ホワイトボードに5人の容疑者の写真が貼られている。その時2階にいたと証言しているのは、二階堂と千原、使用人の柏十四郎(勢登健雄)の他に、二階堂の甥・風祭龍一郎(熊木陸斗)、陶芸家の郷間悟朗(春海四方)だ。

「西村を撃ったやつを見つけ出せ、いいな!」

絞られる5人の容疑者たち…果たして犯人は誰なのか! 西村との意外な接点とは!


【第6話】
柳沢慎三(柳沢慎吾)からの新たな依頼は、アプリ開発で大儲けした有名ITセレブ上杉健二(永沼伊久也)の遺体が、奥多摩の野天風呂で見つかった事件。昨晩IT仲間2人と温泉宿に集まっていたが、調べによると彼らはアプリの利権配分でかなり揉めていたという。さらに野天風呂には戦国武将の霊が出るという噂があって…。内輪モメか呪いか――