竹垣を愛するアメリカ男性が伝統の技を学び、驚きの進化!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

続いて紹介するのは、ポーランドに住む、「ラーメン」を愛してやまないバルトシュさん。

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今では海外進出も目覚ましい、世界に誇るニッポンのグルメ、ラーメン。業界の市場売上は年間約6000億円ともいわれ、喜多方ラーメンや博多ラーメンなど、全国各地の郷土色を持つ「ご当地ラーメン」にも注目が集まっています。

バルトシュさんがラーメンに出会ったのは、日本食レストランでアルバイトをしていた18歳の時。ワルシャワで初めて食べ、こんなに美味しい食べ物があるのかと衝撃を受けたそう。そこで、インターネットの情報を頼りに材料を集めて再現してみたものの、美味しくなかった上に1杯6000円もかかってしまったとか。

ショックを受けたバルトシュさんは、その後もレシピの開発に没頭。大学を中退し、2年前、21歳の若さでラーメン店をオープンしました。ところが開店4日後、コロナ禍でロックダウンに。1500万円の借金もあり、1年間デリバリーをして乗り越えたそう。

どんなラーメンを作っているのか見せてもらうと、お客さんの好みに合わせた結果、カレー豚骨や担々麺など定番から外れたものばかり。まだニッポンに行ったことのないバルトシュさん、本場の味は未体験ですが、本当は昔ながらのニッポンの醤油ラーメンを作るのが夢なのです。

ここで、独学で覚えた醤油ラーメン作りを見せてもらうことに。スープには、豚の背のガラと鶏の胴のガラ30キロを使います。スープが濁らないよう、豚骨はスジを取り除き、鶏ガラの臭みが出ないよう、血溜まりを取る下処理を。目指すのは、濁りがなく透明な清湯(チンタン)スープです。

豚骨は鍋の縁に沿うように入れます。熱が真ん中から上がり、均等に行き渡るそう。鶏は豚骨より早く火が通るため、上に置きます。中火で約1時間、アクを取ったら弱火にして8時間煮込めば出来上がり。よどみのないスープがこだわりだそう。

続いて案内されたのは、店舗近くに借りた、ラーメンの研究をするための部屋。ここには、1年前に390万円かけてニッポンから取り寄せた製麺機が! ニッポンから取り寄せた小麦粉で中太麺を作り、冷蔵庫で一晩寝かせます。

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ネギ油と醤油ダレに清湯スープを注ぎ、麺を入れ……肩ロースのチャーシュー、ネギとメンマをのせれば、バルトシュさんの醤油ラーメンが完成! 見た目は、ニッポンの醤油ラーメンとそっくり。現地コーディネーターが試食すると、ちゃんと醤油ラーメンの味がします。

「ニッポンに行けたら、醤油ラーメンの麺、スープ、タレの作り方を学びたいです」と語るバルトシュさんですが、多額の借金返済のため、今は店を休むわけにはいきません。
そこで、なんとかして醤油ラーメン作りの腕前を上げてもらおうと、ニッポンのラーメン店に相談。熱意を伝えたところ、あるお店が協力してくださいました。

そのお店は、東京・飯田橋にある創業46年の「支那そば びぜん亭」。ご主人の植田正基さんが25歳の時に作り上げた昔ながらの醤油ラーメンを、650円という庶民的な値段で提供し続ける名店です。
アメリカ人の映画監督が、お客さんを虜にするラーメンと愛されキャラのご主人に惚れ込み、「びぜん亭」のドキュメンタリー映画を製作したことも。

植田さんにバルトシュさんのラーメン作りを観ていただくと、「(スープが)透き通っているのはいいね。(本格的で)すごいよ」と感心。会ったこともなく、来日も叶わないバルトシュさんですが、なんとか上達してほしいと、特別に秘伝の味を教えていただけることに。
遠く離れたニッポンとポーランドを中継で結び、醤油ラーメンの作り方を教えていただきます。

まずはスープから。「びぜん亭」では、豚のゲンコツ(ひざ関節)5キロとタマネギ、ニンニク、ショウガを使います。ゲンコツの骨髄からは上質な旨味が。香味野菜は動物系の臭みを消し、甘みを生む効果があります。完成までは、ガス全開の強火。この火加減を見たバルトシュさんは「清湯は弱火だと思っていました」とびっくり。

豚骨から出たアクを丁寧に取り、ひと煮立ちしたら、次はチャーシューの作り方。なんと、チャーシュー用の豚バラ肉をスープの中に投入! 肉がスープを吸うと同時に、スープへバラ肉の脂の旨味が溶け出す相乗効果があるそう。これが、「びぜん亭」のチャーシューの美味しさの秘訣なのです。

2時間炊いたところで、香ばしい風味をつける鶏油(チーユ ※皮から抽出した脂)も鍋へ。さらに、「これが決め手だ!」と青ネギも入れて完成。青ネギも脂の臭みを消す効果があり、甘味のある出汁が出ます。澄んだスープを目にし、「強火でもこんなに透き通るんですね」。

スープが完成したら、チャーシューの味付け。別鍋にラーメンスープを少し加え、醤油、酒、みりんとともに、6時間煮込めばチャーシューの出来上がりです。なんとこの煮汁は、そのままラーメンの醤油ダレになるそう。素材の味を逃さず、全て取り込んでいるのです。

ラーメンの主役である麺は、スープによく絡む、昔風の縮れた細麺。製麺所の方によると、縮れが強くても切れない、丈夫なコシのある麺だそう。小麦粉は2種類をブレンドし、加水率は標準で湿度に応じて調整しています。

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46年変わらない麺を醤油ダレとスープに合わせ、チャーシューをのせれば、お客さんを虜にする「びぜん亭」のラーメンが完成。ここまで見せていただいたバルトシュさんは、「大きな違いはスープとタレです。ラーメン全体が一体となっているレシピだと感じました。植田さんのレシピで作ったラーメンを、ぜひ見てもらいたいです」と話します。

というわけで、後日、植田さんのレシピで作ったラーメンを見ていただくことに。
スープは、鶏の脂を鴨の脂にした以外、材料も分量も忠実に再現。植田さんに「どうだった? 自分のスープと比べて」と聞かれ、「どんな味になるかと思ったんですけど、美味しかったのでびっくりしました」とバルトシュさん。

チャーシューも、このスープと醤油などで煮込み、「びぜん亭」のレシピ通りに作りました。煮汁の醤油ダレを見ていただくと、「いいんじゃない!」と心強い言葉が。「それを聞けて良かった」と一安心。

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こうして、植田さんのレシピで作った東京醤油ラーメンが完成。バルトシュさん自ら試食し、「チャーシューを作った煮汁をそのまま醤油ダレにすることで、自分がこれまで作ってきたものと別次元の美味しいスープができました」と味を伝えます。
植田さんから「びぜん亭より美味しそうだなぁ」という言葉をいただき、「そんなことないですよ」と謙遜しながらもうれしそう。

お店で試しに出してみると……「この醤油ラーメンは素晴らしい」「深い味わいなのにさっぱりしていて美味しいよ」と、ポーランドのお客さんに大好評! 2時間半で40杯も売れました。

植田さんは「あとは自分の舌を信じて、頑張ってください」と激励、バルトシュさんも「ポーランドで僕のラーメンを食べてほしいです」と呼びかけます。「俺は今すぐにでも行くよ!」と応じてくれた植田さんに、「会える日が楽しみです」と手を振りました。

ラーメンを愛するポーランドのバルトシュさん。1日も早く、ニッポンにご招待できる日が来ることを願っています!


月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」“ご招待で人生変わっちゃった!”を放送!

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