【3行まとめ】
・ドラマ24「雪女と蟹を食う」第6話「熊」をプレイバック
・ついに北海道までたどり着いた北と彩女だったが、札幌の地ではぐれてしまう。彩女は一人教会で、夫・一騎との過去を思い出す
・一方の北は、札幌の街をさまよい自暴自棄になっていた。死ぬ前に、無銭で蟹を食べようとするが...
毎週金曜深夜0時12分からはドラマ24「雪女と蟹を食う」(主演:重岡大毅 ジャニーズWEST)を放送!
「テレ東プラス」では、第6話「熊」をプレイバックする。
※下記ネタバレあり
痴漢冤罪により全てを失い、人生に絶望した男・北(重岡大毅)は自殺を図ろうとするが、あと一歩踏み切れずにいた。
テレビでグルメ番組を見た北は「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、図書館へ。そこで見かけたセレブ妻・雪枝彩女(入山法子)に狙いを定め、家に押し入り、金を要求するが、彩女に促されるがまま情事を交わしてしまう。彩女に「私も食べたいです、蟹...」と告げられた北は、戸惑いながらも2人で不思議な旅を始めることに。
旅の途中、北は彩女が死ぬために自分についてきたこと、夫で小説家の雪枝一騎(勝村政信)との間で孤独を感じていることを知る。
ついに北海道に到着した2人だが、気持ちがすれ違い、はぐれてしまう。彩女の行方がわからず途方に暮れる北は、ひとり札幌の街をさまよっていた。
一方、彩女はホテルをチェックアウトした後、近くの教会に来ていた。椅子に座り、鞄から太宰治の『斜陽』を取り出すと、女学院高等学校時代のことを思い出す。
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彩女(坂口風詩)と一騎は、国語教師と生徒という関係だった。ある日の授業終了後、黒板を消している一騎に、文芸誌を手にした彩女が声をかける。
「雪枝先生、大賞受賞おめでとうございます」
「そんなマイナーな文芸誌、よく見つけたな」
「私もこの賞に応募したんです。もちろん全然ダメでした」
片付けの手を止め、彩女を見る一騎。先日の授業で、彩女がすらすらと『オダマキ』についての解釈を述べたことを思い出す。
「そうか...。この前の君の『オダマキ』についての解釈だが、私は花に疎くてね。全く考えつかなかった。私の勉強不足だな」
「そんな...。すみません、失礼しました」
片付けの邪魔をしてしまったと立ち去ろうとする彩女を、一騎が呼び止める。そして机の引き出しから一冊の本を取り出す。太宰治の『斜陽』だ。
「この本はもう読んだかな?」
「いえ...」
「では持っていきなさい。解釈が男女でかなり分かれるラストなんだ。君の意見を聞かせて欲しい。それと...」
表紙に目を落としていた彩女が、顔を上げる。
「花のことは、君に尋ねることにするよ」
嬉しそうに微笑み、一騎を見つめる彩女。
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別の日。彩女は一騎を学校の屋上へと呼び出した。
「どうしたんだ、こんなところに呼び出して」
「『私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消し去ってください』」
一騎に背を向けながら、本の一節を口にする彩女。
「『斜陽』を読んだんだね」
彩女は持っていた『斜陽』を一騎に返す。
「流れるように美しい文体...先生の文章は、太宰治の影響だったんですね」
「まだまだ足元にも及ばないけどな。確かに返してもらったよ」
立ち去ろうとする一騎に彩女が駆け寄り、背中に抱きつく。
「ねぇ、先生。私、先生の文章を読んで、いけないことをしてしまいましたわ...」
そう囁く彩女に、何も言えない一騎。
「マイ・チェーホフ...私、先生のヒロインになりたい」
一騎は彩女に向き直り、その肩を抱く。見つめ合う2人。
「君は...恋の秘密を守れるか?」
「一生守ります...」
屋上でキスをする一騎と彩女。
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