3万円の寿司を4000円で提供”最高のおいしさ”を届ける挑戦:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

4月22日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「"憧れの味"を身近に!~『安くて美味しい』秘密を探る~」。生活スタイルの変化で外食離れが進む中、少しでも飲食店に足を運んでもらうきっかけを増やそうと挑戦を続ける企業や料理人に密着。「食」を通じてできることは何なのか...。その原点に立ち返り、奮闘する人々の挑戦を見つめる。

高級店の味を安く提供できる理由

毎年話題となるマグロの初セリで、ここ2年「一番マグロ」を競り落としているのが、マグロ専門の仲卸「やま幸」。全国で水揚げされる天然のマグロの中でも極上のものだけを扱うことで知られ、代表の山口幸隆さんは「日本一のマグロの目利き」と言われている。

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そんな"神様"が選んだマグロが向かった先は、高級店ではなく回転寿司の店。「やま幸」のマグロを使った握りは、銀座で食べれば1貫2000円は下らない憧れの逸品だが、東京・表参道にある「廻転鮨 銀座おのでら本店」では、「やま幸 本まぐろ中トロ」が620円、「やま幸 本まぐろ大トロ」が930円という値段で味わえる。そのため常に客が殺到、店の平均客単価は約5000円だという。

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この店を手がけているのは、東京・銀座の高級寿司店「鮨 銀座おのでら」。海外にも店を構え、そのうち2つでミシュランの星を獲得している。夜はおまかせコースのみで、ひとり2万7500円。マグロは当然「やま幸」から届けられた極上のものを使う。

市場でほかのネタを仕入れる時も、高級店や安さがウリのチェーン店が好まない大きな天然魚や、閉店間際に店で売れ残っている魚を半値で取引するなど、さまざまな工夫が。これにより、質の良いネタを低価格で提供することができる。

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高級寿司と回転寿司、2つの店を運営しているのは「オノデラ グループ」(東京・千代田区)という年商1000億円以上の企業。柱は社員食堂の受託運営や病院食のメニュー開発といった事業で、プロサッカーチーム「横浜FC」のオーナーでもある。

「オノデラ グループ」が外食事業に参入したのは2013年。「オノデラ フード サービス」社長・長尾真司さんは、「外食でうちの名前がちょっとずつ知られていって、"そこが手がける給食会社"という風につながれば」と外食事業参入の狙いを話す。

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最近、東京・世田谷区の二子玉川に、銀座本店のセカンドライン「鮨 銀座おのでら 弟本店」をオープン。価格の二極化が進む寿司業界の"超高級"と"格安"の空白地帯を攻め、客単価は銀座本店の約半分となる1万5000円。もちろん場所も違うが、食材のコストを抑え、一工夫することでこの値段を実現したという。

「オノデラ グループ」は今、"第4の矢"を放とうとしていた。舞台は銀座本店のすぐそばで、最大の売りは、ひとり約3万円の本店とほぼ同じネタが味わえること。それなのに客単価は、表参道の回転寿司よりも安い約4000円だという。

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そこには3つの安さの秘密があった。まずは立ち食い式で回転率をアップさせること、そして店の地下に設けたセントラルキッチンで一括してネタを仕入れ、本店の分とまとめて仕込みを行い、作業を効率化すること。そして最大の秘密は、本店ではお客さんに握ることを許されていない、まだ経験の浅い職人が握るということだ。

今、寿司業界は職人不足に悩まされており、長い修行に耐えることができず、辞めてしまう若者があとを絶たない。そこで「オノデラ グループ」は、彼らをいち早くデビューさせるこの舞台を作った。店の名は「登龍門」。腕を認められれば、本店で握ることもできるという。

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お寿司は約60種類、値段は200円台から。発案した「鮨 銀座おのでら」坂上暁史総料理長は、「好き勝手にやっていい、安くするから何でもいいというわけではない。お客様からお金をいただいている以上、しっかり真剣にやってくれと。安くしたいというお客様への思いと人材育成という両面から店を支持してもらえる。ビジネスモデルとしてはまれば面白い」と話す。

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3 月下旬、「オノデラ フード サービス」の長尾社長や社員が客となってチェックする実践形式のテストが行われたが、果たしてその結果は...。

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