経済をバラエティー感覚で学ぶ!MCはひろゆきと成田悠輔。YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」が目指す先

公開: 更新: テレ東プラス

2021年4月、「本格的な経済・ビジネスを、もっと楽しく学ぶ」をテーマに、日本経済新聞社とテレビ東京コミュニケーションズがコラボしたYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」(※登録者数37.7万人 3月28日現在)がスタート。

両社のデジタル事業部が一緒にプロジェクトを立ち上げるのは、初の試み。そこで、動画制作をテレビ東京の制作局に依頼。チャンネルの企画・製作統括を、『家、ついていってイイですか?』などを手掛けたテレビ東京・高橋弘樹プロデューサーが務めている。

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チャンネルを代表するメインMCは、ひろゆき成田悠輔、入山章栄教授ら錚々たる顔ぶれ。岸田文雄首相(※出演時は総裁候補)から華原朋美に至るまで幅広いジャンルの豪華ゲストを迎え、討論番組はもちろん、経済情報を気軽に楽しめるコンテンツを続々配信している。

「テレ東コンシェルジュ」は、番組製作統括を務める高橋さん、日経テレ東大学プロジェクトを手がける日本経済新聞社・佐々木康さん(プロデューサー)、テレビ東京コミュニケーションズ・曹ちゃおさん(プロデューサー)を取材。ビジネスが立ち上がるまでの経緯や苦労、コラボ成功の秘訣など、話を聞いた。

nikkeitvtokyo_20220329_2_02.jpg▲左から、佐々木さん、高橋プロデューサー、曹さん

正直、キャスティングに懸念がなかったといえばウソになる

――「日経テレ東大学」はどのようにして生まれたのでしょうか。

佐々木「きっかけは、『日本経済新聞 電子版』のユーザー数や層をさらに拡大したいと考えたことです。データを見てみると年齢の高い読者が多く、一方で、若年層ビシネスパーソンが少ない。改善したかったのはそこです。
とはいえ、この現象は日本経済新聞に限ったことではなく、若い世代で『こういう難しい内容を読んだりするのが苦行です』と話す方もいました。実は経済やビジネスは、最高のエンターテインメント。食わず嫌いしていたけど、本当は楽しいものなんだということをより多くの人に伝えたかった。
そこでSNSや動画を使った取り組みの充実を考えていたとき、グループ会社であるテレビ東京のことが頭に浮かびました。『なんだ、映像のプロがすぐそばにいるじゃないか』と。ただし"楽しく見てもらう"がテーマなので、報道ではなくバラエティーの制作陣に話を振るという変化球を投げてみました。制作の皆さんは意外と興味を持ってくださり、一際乗り気だったのが高橋さん。『今日からやりましょう!』とまで言ってくれましたよね(笑)」

高橋「あの日本経済新聞社が報道じゃなく、エンタメのところに来るって相当変わっている(笑)。面白そうだなと思いました」

――これまで、どのようなご苦労がありましたか。

高橋「スタート当初、再生数は散々で...。"深くて教養のある内容なら受け入れてもらえる"と思っていましたが、そんなに甘いものではないと痛感しました。テレビの場合、いいものを作ればそれなりに手応えがありますが、YouTubeにはさらなる工夫が必要だなと。
最初から笑いの要素などエンタメの技法を取り入れていましたが、それだけではダメ。工夫を重ねるうちに『いったい誰がこのゲストを推薦しているのか』が大事だと気づきました。なので今は、"この人がレコメンドするなら話を聞きたい"という目線を強く入れる番組作りを心がけています。その『誰』は、今ならひろゆき(西村博之)さんと成田悠輔さんですね」

「"苦労は?"と聞かれて真っ先に思い浮かんだのが、今ではチャンネルの名物キャラになり、冠番組まで持つようになった着ぐるみ『ピラメキパンダ』です。この着ぐるみが登場したのは、『FACT LOGICAL』や『Re:Hack』の前身番組『FACT&BEYOND』からですが、実は当初、日本経済新聞社とテレビ東京コミュニケーションズは真面目な討論番組を制作しようとしていました。そこへ高橋さんが、『ありきたりではつまらないから着ぐるみを出そう』と。もちろん最初は大反対です(笑)。 結局出演が決まりましたが、今や"ピラメキパンダ 中の人"と検索され(笑)、コアなファンがつくほど。正直想定外で、高橋さんの発想のすごさを思い知らされました」

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――先ほど、ひろゆきさんや成田さんの名前が出ましたが、キャスティングした理由は?

高橋「成田さんは人づてに『変わった人がいる』と聞いたので、出演動画を拝見し、成田さんが執筆した文章も読みました。そこで『この人はヤバい』と感じ、すぐにオファーしました。なんというか...成田さんは詩人だと思います。言葉を使って社会を変えようとしている。配信動画では、耳から入る情報も強力な武器になるので適役です。
ひろゆきさんは、そもそも僕が2ちゃんねる(現5ちゃんねる)が好きだったということもあります。僕の中で彼はネットのカリスマ。ですから自然な流れといいますか、"やるなら声をかけたいな"と。

お2人は他の人にないものを持っていると思います。それは、日本に対してしがらみが少ないこと。成田さんは日本のアカデミー業界に忖度する必要もないし、ひろゆきさんは、最悪全ての日本国民に嫌われても構わないとすら思っています。だからこそ、誰にも気を使わず、しがらみなく意見できる。そこが痛快だし、面白い」

佐々木「ひろゆきさんは過激な発言をするイメージがあったので、正直キャスティングについて、懸念がなかったといえばウソになります。ところがひろゆきさんは、初収録の場で、誰よりも番組の趣旨を理解し、その上で発言されていたのでとても驚かされました。一気に印象が変わりましたね。ひろゆきさん、成田さんは自分勝手なイデオロギーではなく、世の中のデータをもとにお話をされるので、番組を任せても大丈夫という安心感があります」

高橋「とはいえ『Re:Hack』では、一時キャスティングに苦労しました。MC2人による遠慮のない意見が原因なのか、永田町界隈の方々が一斉に潮を引いたように出演を拒否するようになったのです。ですが、実際にゲスト出演した方の多くは、かなり満足して帰っていただいています。特に竹中平蔵さんは、出演後、番組を気に入ってくださり、ひろゆきさんのことを評価する発言も増えています」

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「バチバチしている部分はありますが、番組の基本スタンスとして、ゲストの魅力を引き出す努力を忘れてはいません。結果今では、国政政党の党首が自ら出たいと連絡をくれるようなメディアに成長することができました」

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