ゴーンの弁護士・弘中惇一郎が語る「ロス疑惑」の真相と司法制度の闇

公開: 更新: テレ東プラス

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米イェール大学助教授の成田悠輔さんと2ちゃんねる創始者の西村博之ひろゆき)さんが、日本や世界の根本的な問題に新しい視点を提供し再定義するトーク番組『Re:Hack』。

今回は、カルロス・ゴーン小沢一郎村木厚子...数々の裁判で無罪判決を勝ち取ってきた無罪請負人・弘中惇一郎さんが参戦。なぜ、日本では無罪を勝ち取るのが困難なのか? 司法制度の闇を語る!

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『ロス疑惑』の真相は腰痛?

まずは成田さんが「どれか1つだけ、これまで担当してきた事件の真相をここで語りたいとすれば?」と質問。数々の闇深い事件に関わってきた弘中さんに打って付けの1問だ。

弘中さんは「ロス疑惑(三浦和義事件)」と即答。事件の詳細は過去の文献に譲るとして、弘中さんはこの事件の弁護で、ロス疑惑が騒ぎになった後に発覚した「三浦夫人殴打事件」の控訴審から関わっていたという。

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弘中さんは殴打事件に関して「そもそも起きておらず、痴話げんかの延長戦で少し怪我をした程度」とみており、銃殺事件については「観光客を狙ったよくある強盗殺人で、真犯人は別にいる」と語る。

その後の三浦さんの万引き事件についても「事実無根」であるとし、すべての原因は三浦さんのひどい腰痛であると主張。腰痛故、癖のあるしゃがみ方をするので、怪しい人間だと思われてしまったことがすべての悲劇であるようだ・・・!

また、連日のマスコミの報道で、"三浦さんは怪しい"という認識が広まってしまい、次々と疑惑をかけられやすい人物になってしまったのではないかと分析した。

検察はHEROではない!?

ロス疑惑の真相で見えてきたのは「状況証拠だけで有罪になってしまう怖さ」「無罪に覆す難しさ」である。ではなぜそのような事が日本の司法制度では起こってしまうのかーー。

弘中さんは「全般的に検察は無罪を出したくないから」と断言。検察は有罪にするためのストーリーを自分たちで組み立てて、そのストーリーに必要な証拠だけを残し、不都合なものは提出しないと話す。

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成田さんも知人の弁護士から「日本の刑事訴訟プロセスは、人権保護の観点でグローバルスタンダードから遥かに取り残された状況にある」と聞いたそうで、「なぜそうなってしまったとのか?」と弘中さんに質問。弘中さんも成田さんの意見に同意し、その理由について私見を述べた。

1つ目は"人質司法"。自白をするまで帰さない、裁判が終わるまで帰さないというスタイルを指す。罪証隠滅・逃亡の恐れを誇大解釈し過ぎた結果であり、誇大解釈が起きるのは、条文よりも運用が問題とのこと。

2つ目は"情報開示の問題"。米国では本審理前に双方が証拠を見せ合う『ディスカバリー』のような制度があるが、日本においては捜査当局がガサをかけて証拠を根こそぎ持っていき、都合の悪い証拠は隠してしまうという。弁護側だけでなく、裁判官すらも全ての証拠を見ることは基本的に出来ないのが実情のよう。

どうやら日本の検察は、真実を探すのではなく、自分たちが考える真実を作り上げることに長けているようだ・・・。

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