菊池桃子「歌番組は戦いの場...ランキングのプレッシャーがつらかった」ハロプロのようにグループで活動してみたかったという思いも

公開: 更新: テレ東プラス

芸能人としての生き方や仕事のしかた、公私ともに裏切りたくないという想いがずっとあります

――桃子さんは80年代を代表するトップアイドルです。今のアイドルと80年代アイドルの共通点はどこにあると思いますか?

「共通点と言えるかどうかわかりませんが、撮影でハロプロのメンバーがパフォーマンスをしているところを拝見させていただき、私自身、なんだかとっても元気になっているんです。彼女たちの元気が伝わってくるというか...。みんなの笑顔が眩しくて、『アイドルってこんな存在なんだ!』と再確認させていただきました。とにかくキラキラ輝いているんですよね。見ているだけで笑顔になり、心もほどけるし、高揚するし...『あれ? 私もかつてはこういう感じだったのかな?』と思ってしまいました(笑)」

――当時、キラキラしている姿を自分ではあまり意識してなかったと...。

「そうですね。私自身、幼い頃からアイドルを目指す夢は持っていなかったのですが、たまたまスカウトをされて芸能界に入りました。今振り返ると、私にはスタート時の熱量やアイドルとしての心構えが少し足りていなかったように思います。お仕事をさせていただく中で、少しずつ責任感とプロ意識、アイドルになろうという気持ちが芽生えていきました。ハロプロの皆さんのように、生まれた時からアイドルになるべくしてという光の放ち方を最初は出来ていなかったな...と反省しながら、彼女たちの眩しさや力強さを感じています」

――桃子さんご自身も、"ハロプロのようにグループで活動したかった"という思いはありますか?

「あります! 昨日もパフォーマンスを見ていて、『私もあの中の一人になりたかったな』と思いました。でも、今からだと年齢的にも体力とかいろいろ追いつかないなと思いつつ(笑)、ただただ眩しく見ていました」

――80年代は、生放送の歌番組が全盛期でした。大変だったことはありましたか?

「学校にも通わなくてはならないので、忙しすぎて無我夢中という感じでした。受験もありましたし、親もずっと芸能界にいるとは思っていなかったらしく、『備えとして勉強しておきなさい』とすごく言われたので、悪い成績も取れない。毎日めちゃくちゃ頑張っていました。
あと、仕事場に行くと、周りが大人だらけだったので、それも大変でした。大人の世界はシビアで、常に(シングルレコードの)ランキングのことを気にしなくてはならなかったので、そのプレッシャーがつらかったです」

――桃子さんにとって、歌番組の存在は?

「戦いの場ですね。毎週ランキングがつきますし、周りの大人たちが戦モードだったので、私もそう思っていました。遊ぶ場所ではなかったです。特にシングルをリリースした週は、ドキドキしながら出演していました」

――アイドルに必要な要素は何だと思われますか?

「仲間に聞くとそれぞれ違うんですよね。『テクニックを磨くこと』『美容に気をつけることが大事』など、みなさんいろいろありますが、歌を聴いてくださる方や見てくださる方の目線で言うと、推しのアイドルとの"出会いの瞬間"って必ずありますよね。私自身、『たくさんいるアイドルの中で、私を選んでくれた方を裏切りたくない』という想いがすごくあって...。芸能人としての生き方や仕事のしかた、公私ともに裏切りたくないというのがずっとあります。
つんく♂さんが思春期の時、ファンクラブに入ってくださって、ずっと応援してくださったそうなんです。そういう方たちに『自分は少年・少女の頃から人を見る目があったんだ』と思ってもらえるような生き方をしたいというのが私の想いです」

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――マリコが営むゲストハウス「サンプラザ朝沼」には、さまざまな悩みや葛藤を抱えた旅人が訪れます。桃子さんも、今後一人旅をしてみたいという思いはありますか?

「今後はぜひ経験したいと思っています。今まで一人旅をする時間がなかなか取れませんでした。アイドル時代があり、その後母親になって子どもたち中心の生活を送っていたので、『一人旅をする暇があったら子どものサポートをしたい』という毎日でした。
でも、おかげさまで息子も25歳、娘も20歳になりました。これは私の中ですごく大きくて、ひとつやり遂げたという思いがあります。これから子どもたちは自分自身で好きなことを栄養に、親とは違った感覚で自分の道を探していくことになります。そうなった時、いつまでもそばに付きっきりなお母さんというのは、私としては違う気がして...。今回のドラマをお引き受けしたのも、その気持ちが強くて、『もうお母さん、ドラマに集中しますよ』と。ですから、今後はもう少し自分の人生を見つめる時間を大切にして、一人旅もしてみたいと思っています」

――桃子さんの2022年の抱負は?

「とにかくこのドラマを多くの方が観てくださるといいなと思っています。プライベートで言うと、今はドラマや他のお仕事があり、家族サービスができていないので、夫や高齢の親と一緒に旅行して、いろんなものを見せてあげたいなと考えています。もうひとつ! この髪型も流行るといいなって(笑)」

――最後に、読者へのメッセージをお願いします!

「ハロプロが来るというのが大きな見どころですが、毎回『サンプラザ朝沼』を訪れる来客の皆さんが抱える悩みや葛藤に、きっとどこかしら共感していただけるのではないでしょうか。『悩んでいるのは自分だけじゃない』と思える作品でもあるので、このドラマを観て、ぜひ明日への活力にしてください」

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菊池桃子 プロフィール】
東京都出身。B型。女優、歌手として活動し、戸板女子短期大学の客員教授も務める。84年に映画『パンツの穴』でデビューし、同年「青春のいじわる」で歌手デビュー。当時のキャッチフレーズは「It's Real Fresh 1000%」。清純派アイドルとして爆発的な人気を博し、1985年には当時の最年少公演記録となる17歳で日本武道館公演を大成功させた。女優としても活躍し、「君の瞳に恋してる! 」(1989年)、「ヴァンサンカン・結婚」(1991年)、「山田太郎ものがたり」(2007年)、「エール」(2020年)など多数出演。「人生の楽園」(毎週土曜夜6時)ではナレーションも担当、ラジオ「菊池桃子のライオンミュージックサタデー」(毎週土曜午前10時)にレギュラー出演中。

【「テレ東プラス」の現場から...】
インタビューにあった「私を選んでくれた方を裏切りたくない」という言葉――。
個人的ではありますが、高校3年間スクールメイツ(バックダンサー)として活動していました。
今回の撮影時、カメラマンのフリもあり、恥ずかしながら「『夜のヒットスタジオ』で桃子さんの『Say Yes!』を踊らせていただきました!」とお伝えし、当時の振り付けを覚えていた私が少し踊ってみると、桃子さんはあの頃と変わらない素敵な笑顔で「軽やか!(笑)」と返してくださいました。取材が終わると、リモート画面越しに「私の曲で踊っていただいてありがとうございます!」と、一生忘れられないありがたいお言葉まで...。
やはり桃子さんはファンの期待を裏切らないお方! アイドル時代からファンの方もそうでない方も、ぜひドラマで桃子さんの魅力を体感してください。

撮影/uufoy  取材・文/中村祐海子)

【第1話あらすじ】

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漫画家のあずみは、ゲストハウス「サンプラザ朝沼」にカン詰めで宿泊している。しかし、共有スペースから聞こえてくるオーナー・マリコ(菊池桃子)とその娘・ミサキ(大原優乃)の賑やかな声が気になって仕事に集中できない。「サンプラザ朝沼」の評判をネットで調べると、悪評が並んでいたが、その中に「扉が、開く」と謎のコメントを見つける。そして、仕事で行き詰まった時、あずみの前に突然現れた「扉」はハロプロの楽屋に繋がっていたのだった...。

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