TBSでは現在、山田裕貴主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(毎週金曜よる10時)を放送中。同じ電車の一両に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが、未来の荒廃した世界へワープし、生き抜くためにサバイバル生活を繰り広げる予測不能のヒューマンエンターテインメントだ。
今回は電車に乗り合わせた専門学校生・米澤大地を演じる藤原丈一郎にインタビュー。役への向き合い方や、撮影現場の様子などについて聞いた。
Jr.時代から磨いてきた“フリップ芸”が芝居に!?
――撮影現場の雰囲気について教えてください。
第1話、2話あたりを撮影しているときあたりは特に、生死を分けるようなシリアスな場面が続いたので、ドラマをご覧になっている皆さんもさぞや撮影現場には緊張感が漂っていただろうと想像されていたと思います。でも実際の撮影現場は、最初からわちゃわちゃしていましたね。劇中で本当に大変なサバイバルをしているのか分からなくなるくらい(笑)。
たとえば、直哉役の山田裕貴さんと優斗役の赤楚衛二さんは、僕がセリフを言うシーンの撮影のとき、関西弁と全く違うイントネーションで僕を惑わすんですよ。そもそもお2人は愛知県出身なので、関西弁っぽいイントネーションでも話せるはずなんですけれど、米ちゃんを真似して、“エセ関西弁”を使ってくるんです。しかも本番始まるギリギリまで! あるとき僕がつられて、標準語になっちゃったことがあって。もちろんNGになったんですが、2人にさわやかな笑顔で「大丈夫やで」って言われました(笑)。
――序盤は緊迫したシーンが続きましたが、米澤が出てくるとホッとします。
ありがとうございます! 僕が演じる米澤大地は、ゲームが好きなポップカルチャーを学ぶ専門学校生。関西出身で、よく喋るキャラクターで、僕自身と似ている部分もあるなと自分でも思います。どんなときも場を明るくする人物で、その部分はしっかり演じたいなと思っています。たとえば乗客のみんなが落ち込んだ度合いを「10」とすると、僕はその「10」につられてしまわないよう半分ぐらいで止めることを心がけています。もし今後、米澤がほんまに落ち込むエピソードが出てきたときに、視聴者の皆さんにも「米ちゃんが落ち込んでいるってことは、ほんまに深刻なんやな」って伝えられると思うので。
また僕、関西ジャニーズJr.の頃から配信動画などでスケッチブックを使った“フリップ芸”をしていたのですが、今回、ドラマでそのときの経験を生かすことができています。自分の武器が生かせたので、すごく演じやすいです。
――放送後の反響は、いかがですか?
プロデューサーさんたちから、放送を見た“ペントレ”ファンの方たちがこんな考察をしてくれているよ、と教えてくださいます。「今、米ちゃんが犯人になっているよ」とか(笑)。共演者の皆さんと一緒にそういう話を聞くたびに、うれしくなりますし励みになります。事件の真実がついに6話で明らかになるので、そこも注目してほしいです。
友達やなにわ男子のメンバーの考察も半端ないんですよ。特にみっちー(道枝駿介)は、めちゃくちゃ聞いてきます。「これからどうなるんすか」とか「あれってどういう意味なんすかね」とか。もちろん知っているので、言いたいけれど濁しています。
――本作の出演を通して、どのようなことを感じていらっしゃいますか。
5号車の乗客は60人以上。ペンディングされてしまったという緊迫感や臨場感を出すためには、キャストだけでなくカメラマンさんや監督さんなど、全員の息を合わせてお芝居をつくっていかないといけません。セリフを言っている人だけではなく、みんなでワンシーンずつお芝居をつくりあげていっているというのがこの作品の肝。たとえば誰か1人でも疲労度やお腹の空き具合が合っていないと、すごく不自然になってしまうんです。これが今回、一番勉強になった部分ですね。
――もし藤原さんが本作のような事態に陥ったらどうなると思いますか?
この作品の撮影を経験したかしていないかで全く変わったはず。撮影に参加していなかったら、誰かが仕切ってくれるのを待つんやないかな…。でも今なら、マジで生きている自信があります(笑)。これは僕だけじゃなく、作品にかかわった全員が口を揃えて言うと思います。それくらい今の僕らは、生き残るためのノウハウを得ていますから。今の僕なら、優斗のようなポジションで仕切ると思います。「皆さん、『ペンディングトレイン』って見ていましたか?」って。「僕、あの作品に出ていて、知識あるんで、皆さん安心してください」って。
人はどうしても極限状態に陥ると弱音を吐きたくなると思うんですけど、米ちゃんと同様、場がマイナスな雰囲気になったときに、できるだけプラスに持っていこうとするんじゃないかなと思います。
――ちなみに何が一番つらいと思いますか?
飲み物や食事も十分に取れないことはもちろんつらい…。でも僕たち世代はまず、スマホが触れなくなる時点で多分すごいフラストレーションが溜まるんじゃないかと思います。あと電車内に人がたくさんいるっていうのも嫌だと思う。多分落ち着くまで、ずっとイライラしちゃうと思います(笑)。
いつでも喉を潤すことができる、暗ければ電気を付けられる、冷暖房がある…。そんな、今まで当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないという状況で、例えば雨が降ってきたら、それはドラマ同様、希望の光になるはず。そんなことを考えていると、改めて今、自分が生活する環境をありがたいと感じることができました。

――最後に第6話の見どころをお願いします。
ドラマも中盤を迎え、偶然乗り合わせただけで仲違いをしてばかりだった乗客たちとも、回を増すごとに絆が深まってきました。第5話で出会った6号車の乗客たちは、米澤たちにとって「希望」なのか「絶望」なのか。第6話では乗客たちの人間性を問うシーンが多くあります。僕のお芝居がキーポイントになる場面もあるので、そこに向けてどう気持ちを持っていけばいいのか、監督さんたちとも相談しながら撮影に挑みました。ぜひご覧ください!
■番組概要
[タイトル]
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
[放送日時]
毎週金曜よる10時~10時54分