「神のお告げ」で5億円失った芸能人…巧妙に仕組まれた罠と恐ろしいマインドコントロールの手口とは!?

公開: 更新: 日テレTOPICS
「神のお告げ」で5億円失った芸能人…巧妙に仕組まれた罠と恐ろしいマインドコントロールの手口とは!?
「神のお告げ」で5億円失った芸能人…巧妙に仕組まれた罠と恐ろしいマインドコントロールの手口とは!?

1970年代、人気を博した歌手・辺見マリは、人気絶頂の中電撃結婚し一度芸能界を引退。家庭では一男一女に恵まれたが、結婚生活が9年を過ぎた頃、30歳で離婚。シングルマザーとなり2人の子供を育てることに。

離婚をきっかけに仕事に復帰。その頃、謎の女性が近づき5億円を奪われるという地獄を経験した。本人への取材と再現ドラマでその手口について放送した。

芸能界への復帰から数年後、マネージャーが「マリさんに会わせたい人がいるんです。神様の声が聞こえる人なんです」と持ちかけた。話をするくらいならいいかと軽い気持ちで会うことにしたという。

マネージャーに案内されると、そこには神の声が聞こえるという女性の夫と息子がいた。それは普通の親子に見え、マリは内心ほっとしたという。

案内された先にいたのは40代ほどの女性だった。1時間ほど他愛ない話をした中で、例の「神様の声」に関することは何も言われなかったという。

マリは心地いい時間だったので次も会うことにし、占いの感覚で数千円を払おうとすると「結構よ」と女性は金を受け取らなかった。それ以来、次第に会う回数が増えていった。

一方、家では息子の態度や表情が気になり始めていた。するとある日「お神さんがね、心配しているの」「息子さんが非行に走ってしまうって」と、女性が言い始めた。

女性は「明日タオルを購入してください。ただし使うのは3日おいてから。それから10時になったら息子さんの名前を書き綴ってください」と息子を非行に走らせないというおまじないを告げる。そして「今日はお神さんの声を届けたから」と5万円を請求され、マリは支払った。

半信半疑ながら、女性の言葉を信じ儀式を実行したマリ。その後息子の様子は特に変わりなく、それを女性に話すと「よかった!おまじないが効いたのね!」と言われる。

その後もその女性は、「お父様は、早く亡くなってしまうかもしれない」「お母様が寝たきりになるわ」など神様からのお告げとして両親に降りかかる災難とその回避方法を教えた。そして高額が要求されるがマリは金を渡した。

ある日、「娘さんの目が見えなくなってるとお神さんは言っています」と女性に告げられる。視力に問題があるなんて聞いたこともなかったが、マリが確認すると「最近黒板見えづらいんだよね」と言われ、マリは一気に女性のことを信じた。

そして、「どうしたら娘が失明しなくて済むんですか?」と女性に聞き、回避するためのおまじないを聞くと数百万円を要求され、支払った。

マリが女性と出会って数ヶ月が経った頃、マネージャーと一緒に女性を尋ねることになり、部屋に入ると九州で知り合ったという30代の兄妹を紹介された。そして突然女性は「さ、修行を始めましょうか」と、その兄妹とマネージャーが急に何かを祈り始めた。女性は、この時はマリを無視した。

マリは次第に「どうして私だけ仲間に入れてもらえないの?」と思うようになり、自分から仲間に入れてほしいと女性に伝えた。女性は「あなたが一緒に修行に入ってくれることを待っていました」と、アパートの一室に集まって修行が行われた。

マリはこの修行やお告げを聞くことで、大事な家族が幸せになると信じていた。この頃になると、仕事をしているよりもこの仲間と過ごすことが大切になっていた。例え50万円や100万円を定期的に要求されてもマリは女性の言葉に従った。マリは修行のことは家族にも伝えていた。

そんなある日、女性は突然「お仕事をやめて修行に専念した方がいいって、お神さん言っているわ」とマリに告げ、マリはそれに従った。

女性と出会って約1年で支払った金額は、1000万円ほどに達していたという。

ある日突然、女性は「お神さんの声が聞こえないの」と言い姿を消し、その後も連絡は取れなくなった。が、しばらくすると突然「マリちゃん!喜んで!私、お神さんの声が聞こえたの!」と、一緒に修行していた兄妹の妹が言い出す。

その妹の女性は「お神さんのお告げでは、汚いお金は捨てて浄化しないといけない」「お金を浄化するためには、ギャンブルをします」と告げる。

そして一緒にマカオへ向かい、妹の女性は「私に任せてくれれば、お金はしっかり浄化できるから」とたっぷりバカラを楽しみ500万円を注ぎ込んだ。もちろん資金はマリが出した。

そしてある日、マネージャーが仲間から外された。

その後も、マリの金でその兄妹の妹の女性と何度もマカオに行くことになり、マリは貯金をどんどん取り崩した。定期預金や生命保険も解約した。

さらに妹の女性は「お神さんが、お社を建てろと言っているの」「お金を集めなきゃね。お社を建てたら私たちも、私たちの家族も幸せになれるって言ってたよ」とさらにお金を要求。マリは知人に借金をし1億円を集めたが、それでも足りず。

マリはえみりの契約金にも手をつけた。さらには家族で住んでいた自宅も売却。

マリは女性に言われるがままに自叙伝を出版、さらに必死にダイエットをして42歳にしてセクシー写真集を発売。

もちろんそれらの契約金は全て妹の女性の手に渡った。写真集のために痩せたことが話題になっていたマリのノウハウを活かしてのダイエットサロンの提案をされ、これがきっかけでマリは支配から解放されることになる。

サロンの会員は直接マリから食事方法をレクチャーされ、体重の変化を報告。マリはこうして久しぶりに人と関わる生活で毎日が充実していた。そして自分で考え行動する生活の中で、正常な感覚が戻っていく。それまでの日々が思い起こされ、「私、何やっていたんだろう」と思うようになっていた。

そんな時、兄妹の女性の兄が「あいつがいなくなった」「(ダイエットサロンの)入会金、全部持っていかれた」という。妹が2000万円を持ち逃げしたというのだ。

マリは「許せない」と初めて怒りの感情が沸いたという。

「最初の入り口は何でもないこと。だけど一歩入っちゃったら本当に抜けられないようにうまく仕組みがなされてて、人の弱みにもつけ込む。(子供達は)関わりたくない時もあったと思う。よく親子の縁を切らず、そばにいてくれた」とマリ。

マリは2年前に心臓の手術をしたものの、現在はリハビリもしながらステージに立っている。ステージでは娘・えみりも辛い経験をあえて笑いに変えている。マリは、大好きな家族と今はかけがえのない日々を過ごしている。