『不適切にもほどがある!』まさかの本人役・小泉今日子が昭和と令和を結ぶ!阿部サダヲ“市郎”は「金妻」の世界へ?

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『不適切にもほどがある!』まさかの本人役・小泉今日子が昭和と令和を結ぶ!阿部サダヲ“市郎”は「金妻」の世界へ?

パティオはスペイン語で中庭のことらしいです。3月15日放送の『不適切にもほどがある!』(TBS系、毎週金曜22:00~)第8話は、世間を騒がす不倫問題がテーマ。小川市郎(阿部サダヲ)は“金妻”の空気感が漂うホームパーティーで地獄を目撃することに。さらに八嶋智人松村雄基に続くスペシャルなご本人登場!

1回しくじったらダメですか?

市郎の元に相談にやってきたのは、過去に不倫スキャンダルを起こして干された入社7年目のアナウンサー・倉持猛(小関裕太)。相手はオリンピック選手。東京オリンピックとワードが出るたびに阿部サダヲが反応していて、『いだてん』で演じた田畑政治(オリンピック誘致の立役者)を思い出した。田畑は愛煙家だったし市郎も昭和ではどこでもタバコを吸っていたが、この日の市郎は空気清浄機を発動させて指だけのエアタバコ。令和のマナーをすっかり身につけたよう。

倉持は復帰の目処が立っていたにもかかわらず、リスクマネジメント部の部長が栗田一也(山本耕史)に変わったことで白紙に戻されてしまったという。昭和の不倫は男の甲斐性。でも、現在は大バッシングの的。世論が許さないというわけ(世論とは?)。

でも市郎は、1回の過ちで3年も閑職に追いやるのは、「権利濫用による不当な配置転換と過少要求、すなわちパワハラに該当するのでは」と栗田を非難。こっちに来てからすごい成長している! 

ただ、テレビの影響力を舐めてはいけない。朝5時台の街頭ロケで復帰にもかかわらず、書き込みからコタツ記事が書かれ、拡散され、さらなるコタツ記事が書かれる。そのせいで見てない人たちがいっせいにご意見番と化すのは現代の闇。もはやテレビが向き合うのは視聴者ではなく、見てない人間なんです。

「こんなのおかしい!」と市郎が端を発したので、これはミュージカル開幕か? と思いきや、市郎の歌に誰も乗らない。まさか不発展開があるなんて。ただ不倫問題、有名人だから見せしめにあってバッシングされるというだけではない。栗田が市郎と倉持を誘ったホームパーティーは地獄。栗田も17年前に不倫をして、それを今でも妻の友人らに責められ続けていた。これが「世間」の実態か。

神妙な顔をしたら「辛気臭い」と叩かれ、ネタにすれば「調子に乗っている」と叩かれる。ほとぼりが冷めれば、誰かが必ず蒸し返す。当事者同士で解決しても、それを許さない人がいる。そのことを誰よりも知っている栗田だからこそ、倉持の復帰に反対していたのだ。

たしかに昭和の銀幕スターは贅沢・豪快・破天荒なエピソードがてんこ盛りだったけど、今はそんなの許されない。品行方正がなによりも大事。今はそういう時代なんです。いや、本来、いつの時代も品行方正でいいんだけど。

小泉今日子彦摩呂のサプライズ出演

今回のミュージカル本番は市郎の思い出のシーンから。妻・ゆり(イワクラ蛙亭)とのやりとりで、エイプリルフールの“浮気工作”事件を歌っていた。原曲は「3年目の浮気ぐらい大目にみろよ」と開き直る昭和のデュエットソング「3年目の浮気」。実はこの曲、「5年目の破局」という続編も発売されていることはあまり知られていない。浮気したら、結局破局。肝に銘じよう。

娘の純子(河合優実)といえば、わかりやすくいい子になって昭和に戻ってきた。可愛い子でいたほうが得だと気づいたらしい。たしかに令和にスケバンはいない。それに向坂サカエ(吉田羊)には未来が楽しみで「年取るのが嫌じゃなくなった」とまで話していた。10代の少女が未来の希望を語るっていいなぁ。それは女性の年齢呪縛からの脱却も意味していた。

純子にとって、未来は最高だったよう。些細な不満はどんな時代にもあるけど、いつだって過去よりも未来が一番素敵になっていると信じたい。でも、私たちは9年後に純子が亡くなる運命を知ってる。だからこそ、余計にせつない。

一方、令和へとやってきたムッチ先輩こと秋津睦美(磯村勇斗)は息子の真彦(磯村二役)とも対面。最後には令和の小泉今日子とも会えるというサプライズ展開となった。昭和パートでは若かりし頃の小泉今日子が「喫茶&バーすきゃんだる」を訪れていたが、令和の「CAFE&BAR SCANDAL」にも来ているなんて! 本人出演、待ってました! 40周年おめでとうございます!

昭和から令和までずっと第一線で活躍する“キョンキョン”は、本作では過去と未来をつなぐ重要な芸能人として存在していた。そして令和の“キョンキョン”は、さきほどの純子の発言さながらに、年を重ねても自分らしく輝き続けている。一種の希望の姿だ。

そしてもう一人のサプライズゲストが、令和のムッチ先輩役で登場した彦摩呂。こちらもいい年の取り方をしている。今やグルメレポーターとして有名だけど、その経歴は華やかで、モデル、アイドル、俳優とイケメン街道を歩んできているから磯村勇斗の晩年役にも説得力がある。キリッとした顔立ちはふっくらしたものの、だからこそ別の魅力をまとい愛されている。そう、「あの頃は良かった」なんてことはない。今が、未来が一番いい。そんなメッセージを2人からも受け取った。

(文:綿貫大介)

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