堺雅人&福澤克雄監督『VIVANT』の快挙に「ホッとしました」「TVerアワード2023<特別賞>」

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堺雅人&福澤克雄監督『VIVANT』の快挙に「ホッとしました」「TVerアワード2023<特別賞>」

堺雅人さんが主演した日曜劇場『VIVANT』(TBS系)が、【TVerアワード2023】<特別賞>を2部門で受賞。2023年にTVerで配信されたドラマのうち、『VIVANT』第5話(2023年8月13日放送)がもっとも多く見られたエピソードとなったほか、Yahoo! JAPANにおいて“TVer”とともに検索された番組名の中で、“VIVANT”の検索数が第1位となりました。

『VIVANT』は主人公・乃木憂助を演じる堺さんをはじめ、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、二宮和也さん、役所広司さんら豪華俳優陣が集結したアドベンチャードラマ。長期のモンゴルロケを敢行し、まるでドラマとは思えない壮大なスケールで描かれた本作は、放送がスタートするなり日本中を席巻。地上波放送の高視聴率はもちろん、TVerでも第5話の再生回数が配信開始後8日間で410万回(※)を突破するなど、多くの視聴者を魅了しました。(※株式会社ビデオリサーチ調べ)

TVerでは今回の受賞を記念し、『VIVANT』が3月1日から期間限定で配信。このたび授賞式に出席した堺雅人さんと福澤克雄監督が、作品への思いや裏話を語ってくれました。

――TVerアワード2部門の受賞おめでとうございます。まずは受賞の感想からお願いします。

堺:何度見ても楽しめる作品の証をいただいたような気持ちで、とても誇らしく思います。すごく頭を使いながらご覧になる方もいらっしゃって、僕は“考察”という言葉も初めて知りましたし、「すごく感動した」「あのキャラクターがとてもいい」と“気持ち”で愛してくださる方もいらっしゃって。本当にみんなで一生懸命作った作品なので、みなさんにいろいろな楽しみ方をしていただけたことが、とても嬉しいです。

福澤:お金の面に限らず、やっぱりいろいろと大変なんですよね(笑)。でも、「そろそろやらないと」と思っていたので、あぁ、やってよかったなぁって。作っている時は「大丈夫、大丈夫」と言いながらやっていますけど、こういう作品は基準がないから、どうなるかわからないんです。正直、『半沢直樹』の時もよくわからなかったけど(笑)、なにか新しいことをやる時そういうことなんだなと思いました。

堺:基準がないと、点数を付けられないですもんね。

福澤:そうなんですよ。なにか成功した例に基づいて同じような作品をやるなら自信満々でいられるけど、こんな作品は他にないですからね。ヤギが走るとか、どうなるのかなと思って(笑)。

堺:あははは。撮影は1日がかり、リハーサルを入れると2日かかりましたもんね。ヤギも頑張った(笑)。

福澤:堺さんもね(笑)。全然違う役を2つやっていただいて、説明もないから何がなんだかわからなかったと思うんですけど、うまくいってよかったです。このキャストを集めていますから……いやぁ、ホッとしました。

――地上波放送だけでなく、配信でも大変多くの方がドラマを楽しまれていました。

福澤:地上波と配信の“いい関係性”ができてよかったなと思います。TVerで配信することで視聴率が取れないという意見もありますけど、僕は「これからは世界が違うな、共生していくしかないな」と思うようになりました。それでも正直、(1話あたり)200万回再生ほどだと思っていたんですが、倍の400万回も見てもらえて。きっと今でも、日曜劇場を毎回見ている方は録画して何度もご覧になっていると思うので、評判になることでふだんテレビを見ない方々が見てくれたんじゃないかなと。そう考えると、とてつもない視聴者数だったような気がしますよね。

堺:テレビだからこういう作り方をしようとか、映画だからこういう演技でいこうとか、そういう時代じゃなくなって来ているんでしょうか。“これくらいの規模で、これくらいの予算で、これくらいの撮影日程で、これくらいの演技をしておけば、大体これくらいになるだろう”ということをずっと続けていても面白くない。それが今回の『VIVANT』で監督が求めていたことだと思います。本当に初めてのことばかりでしたが、僕もそういった挑戦に参加させていただいて、とても嬉しく思いました。

――堺さんは役作りで工夫した点や、監督とのお話で印象に残っていることはありますか?

堺:乃木って、本当に面白い役ですよね。「2つの人格がある」と言ってしまえば簡単だけど、そこばかりに焦点を当てすぎると、ステレオタイプになっちゃって、見落としてしまう乃木の複雑さがあるような気がします。だから、その時、その時で演じ方も変わっていった感じがします。あとは初日に、福澤さんと「F(エフ)のキャラクターが違いますね」という話になったんです。

――Fはもともと、どんなキャラクターだったのでしょうか。

堺:もうちょっとひねくれた人のイメージでした。でも、実際はものすごく少年でしたね。すごくピュアで、いいヤツだなと思いました。Fが出てくるまでの乃木少年はなんだったのかなって考えるのも面白いです。いろいろなものをFに背負わせることで、自分自身が生きられた。残った乃木本人には、優しさや良心が色濃く残っているんですけど、一方でズルく立ち回ることもできる。考えれば考えるほど面白い役だなと思います。

福澤:今回は、第5話、第6話と台本が仕上がっていくたびに、堺さんにもTBSに来ていただいて、いろいろとお話させてもらいました。でも、まだまだわからないところがありますよね。「この乃木は演技だったのかな?」とか、今になって思うこともあったりして。

――福澤監督は、本作を制作する上で「大変だったけど、どうにか乗り越えた」というエピソードはありますか?

福澤:やっぱりヤギの暴走ですよ。本当に勝負の場面だったので、うまくいってよかったです。あとは肥溜めのシーンもそうですね。あれは単純に、ちょっと毒が必要だなと思って入れました。とはいえ日曜の夜なので、“子供が絶対に見ないドラマ”になってしまうのはイヤだなと思って、ドラムという愛されるキャラクターを作りました。結果として、そんなに視聴者に嫌われなくてよかったなと思います(笑)。

――あらためてTVerで見返したい、お気に入りのシーンを教えてください。

堺:モンゴルのシーンは、全部あそこでしか撮れないですよね。ビルの上に僕が立っているシーンがあるんですけど、柵もないし、風も強いし、普通はあんなところに立たせてくれませんから(笑)。あの日は雪だったので凍えながら撮影して、その後、灼熱のゴビ砂漠に行きましたけど(笑)、すごくいいシーンになったと思います。モンゴルでは、寒さや目を開けられないほどの砂埃、乾燥によってヒリヒリする感覚、手にこびりついた家畜の臭い。頭ではないカラダの反応というところで、とてもいい経験をさせてもらいました。なので、モンゴルで撮影したシーンはすべてお気に入りです。それから肥溜めのシーンも、すごく印象に残っていますね。実際には五感を刺激するじゃないですか。でもセットだと、どんなに想像しても想像しきれない部分が残って、僕の場合はアンモニアの刺激臭が足りなかったなと。きっとツーンと目が痛くなるはずで、「目(の芝居)を忘れていたな」と思いました。そうとう考えて演じたつもりでしたけど、まだまだ至らないところがありますね。

福澤:僕のお気に入りは、Fが「よう、山本(迫田孝也さん)」と言う格納庫のシーンですね。あそこをとちったら大変でしたけど、バッチリ決まったので本当に良かったです。それからアリ(山中崇さん)を懲らしめるシーンは、あまりにも熱量がすごすぎて、「早く撮りきらなきゃ」と心配になるくらいでした。

堺:山中さんのお芝居を間近で見られて幸せでした。またFは、迫田さんの受けの芝居があってこそのFなので、お二人には本当に感謝しています。

――福澤監督にとっても、堺さんにとっても、本当に思い入れのある作品になったのではないでしょうか。

堺:そうですね。本当にありがたいことです。

福澤:僕の場合、やっぱり原作も自分でやったというのが大きいですよね。今までの人生でたくさんの方にいろいろなことを教えてもらう中で、「絶対に監督は書けなきゃダメですよ」と橋本忍先生に言われたんです。

堺:福澤さんは、「会話から書くようにしている」というお話がすごく面白かったです。

福澤:でも、自分で「決まったぜ!」と思って書いても、やってみると台詞が綺麗すぎて全然しっくり来ないんです。なので現場で、何度も何度も書き直しました。それでも今回の作品は、基本的にそんなに大変じゃなくて。いや、大変でしたけど、役者さんが“ブワーッ”と進めてくれるから楽なんですよ。途中からは、もう勝手に動き出す。第1話を撮ったり、第10話を撮ったり、順撮りじゃないから大変だろうなと思いましたけど、みなさんスムーズに撮影されていて。大変だったのはドラムくらいです(笑)。

堺:(笑)。チンギス役のバルサー(バルサラハガバ・バトボルド)さんは、途中で福澤組の芝居にググッと変えていました。より大きく、より生き生き、という表現を福澤さんが求めていることを現場で感じていらして。いろいろと考えてお芝居される方でしたけど、それを全部捨てて“ブワーッ”といく方向に持っていきましたよね。

福澤:モンゴルの役者さんは、ボソボソ喋る方が多いんですよ。

堺:演技の仕方がロシアの影響を強く受けているのかな。バルサーさんも、すごく分析して、考えて作っているイメージでした。けれども福澤組は、「走るなら走れーっ!」みたいな(笑)。

福澤:僕は基本的に、『七人の侍』とか『寅さん』シリーズとか、日本特有の“ブワーッ”と勢いのある映画が好きなんです。

堺:日本特有なんですかね。もしかするとサム役のマーティン・スターさんも、モンゴルにいて3、4日すれば、“ブワーッ”と福澤組らしい芝居をされていたかもしれませんね(笑)。

――最後に、作品ファンへメッセージをお願いします。

福澤:年末に一挙配信された時にもたくさんの方に見ていただけましたが、きっとまだまだ見ていない方も多いと思うので、是非是非TVerで一度は見ていただきたいなと思います。

堺:一回ご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、ご覧になっていない方がお知り合いにいる方も(笑)、みなさんに見ていただきたいです。TVerでの再生回数が、きっとこれからのドラマ作りのかたちを変えていくんじゃないか、まさにその過渡期にあるんじゃないかと思っているので、清き一票ではないですが、たくさんの方にご覧いただけたら嬉しいです。

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