まだまだ謎が散らばったままの段階、一つひとつピースをはめていこう。10月16日放送の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系、毎週月曜21:00~)第2話は、クリスマスイブの7時29分〜8時36分までの物語。勝呂寺誠司(二宮和也)が警察署へ向かう展開はいきなりヒヤヒヤしたが、この男は動じない。
逃亡犯、警察署へまさかの潜入!<逃亡編>
誠司が向かう先は、難攻不落の警察署。管理官の蜜谷満作(江口洋介)なら自分のことを知っているという、八幡柚杏(中村アン)の言葉を受けてのことだった。

横浜警察署前にはすでに報道陣がずらり。そして愛犬フランを探す真礼(佐藤浩市)の姿もあった。フランが一瞬横切ったが、一体どこへ向かったのだろう。
誠司は報道の腕章を盗み、「クリングル号記念公園けん銃使用殺人事件特別操作本部」のある会議室へと向かう。いるのは蜜谷一人だけ。
しかし多くを聞き出す間もなく、再び追われる身に。逃亡犯が署内にいるのに、取り逃がしたとなればメンツに関わるというもの。狩宮カレン(松本若菜)が刑事の勘で屋上へと向かうシーンには緊張が走ってきた。
もはや誠司に逃げ場なしと思いきや、隣のビルへとジャンプ。前回から思っていたけど、なんという身体能力の持ち主なんだろう。元スポーツ選手? まさか、公安? 警察組織の人間なら躊躇なく署内をうろつける道理も立つが、さすがに『VIVANT』のあとだし、それは避けるか。
誠司はそのまま笛花ミズキ(中川大志)の待つ車へ。自分にGPSが仕掛けられていることに気づいてミズキを利用する誠司、相当のやり手だ。
そして今回明かされた新たな事実は、「逃げろ!」と言った電話の主はやはり蜜谷だったということ。署内でも誠司をあえて逃したが、一体誠司になにをさせたいのだろうか。
査子誕生の秘話が明かされる…<レストラン編>
犯人の報復を恐れ、立葵時生(大沢たかお)はクリスマスディナーの営業を決定。一人では心細いし、警察官の山田隆史(今井英二)は見た目から頼りにならない(対峙していると防弾キョッキをしていない大沢たかおのほうが体格がよく見えるからおもしろい)。

でも秘伝のデミグラスソース喪失問題は解決していない。だいたい継ぎ足し継ぎ足しのソースに開業当時の成分が少しでも残っているかなんて本来謎だけど、そこは歴史を重んじる気持ちが大事。どうするんだろう。
今回の<レストラン編>は、時生と娘の査子(福本莉子)の過去がわかるやりとりもあった。クリスマス・イブは査子の誕生日であり、査子の母の命日。「これが私の最後のわがまま」という母の言葉から想像するに、出産後にそのまま亡くなったということだろうか。時生がそれからどれだけ大事に娘を一人で育ててきたか、その愛情をなんとなく想像してしまう。
「12月24日は、俺が本当にうれしかった日だ。お母さんの願いが叶った日だからな。クリスマスは我が家にとってとってもいい日なんだよ」。この言葉に、ほかのメンバーも万感の表情をしている。その後、山田がクリスマスがいかに素敵な日で、レストランという場がどんなに大切な場所かを説く姿にも思わずうるっときてしまった。

それにしても、レストラン編の笑えるやりとりやカメラワーク、空気感は『王様のレストラン』を彷彿とさせる。さすが、『王様~』と同じ鈴木雅之演出なだけはある。桜井ユキにコメディエンヌの役を与えたのも大正解。「チャカ」呼びのくだりは1話に続き笑ってしまった。
桔梗と査子がバディを組む!<地方テレビ局編>
倉内桔梗(中谷美紀)は誠司と同窓生だった。そして桔梗の記憶によると、誠司は物の配置を一目見ただけで全部覚えてしまうらしい。つまり、瞬間記憶能力があるってこと。『空から降る一億の星』で木村拓哉演じる主人公も事件の容疑者で同じ能力を持っていたことを思い出す。『空から~』は刑事とコック見習いの話なので、どこか類似点を感じる。
テレビ局には拳銃発見の一報が。場所が「葵亭」だと知った桔梗は、すぐに査子へ連絡。独占取材できれば大いに価値がある。「スクープ撮ってきて!」の桔梗の言葉、かっこよすぎた。
しかし、スクープが確約されているのに、畑違いの新社長・筒井賢人(丸山智己)の路線変更はゆるがない。「この局には報道は必要ない」って本気か? 健全な娯楽はもちろん必要だけど、それ以上に報道こそがテレビ局の中心的な社会的役割なはずなのに。キー局のドラマが地方局をどう描くのかも本作の見どころだ。

報道制作局長の折口康司(小手伸也)からこれ以上社長に楯突くな諭されてしまうが、取材から査子が戻ると桔梗は満面の笑みを見せていた。これは、諦めていない証拠。
VTRを確認した桔梗は写っていた時生の姿にはっとしているが、二人も知り合い? 恋仲の匂いがするが……それは『JIN-仁-』だし日曜劇場! いずれにしても、桔梗は3人をつなぐキーパーソンに違いない。
そして桔梗と査子、年の差も考え方もキャリアも全然違う二人が結束する展開はやはり見ていて気持ちがいい。桔梗が大切にしているのは、視聴者。桔梗が掲げるテレビ局員の矜持は、ついに査子にも響いてしまった。局員のバディ誕生には『エルピス―希望、あるいは災い―』の恵那と拓朗を思い出さずにはいられないが、今作、あえて名作ドラマの要素を散りばめている? それなら絶対におもしろいはずだ。
そして桔梗は「これは私の最後のわがまま」と、奇しくも査子の母と同じ台詞を言っていた。そこにも意味があるのだろうか。まだまだ謎はたくさん用意されていそうだ。
(文:綿貫大介)