俳優の松下洸平さんが本人役で主演を務めるTVer初のオリジナルドラマ『潜入捜査官 松下洸平』が現在配信中。
芸能人・松下洸平は実は警視庁の潜入捜査官で、“マフィア幹部”と噂される俳優・佐藤浩市の疑惑解明のため、任務として15年前から芸能界に潜入し捜査をしていた、という設定で繰り広げられるサスペンスコメディです。
本作で、松下さんと同じ芸能事務所に所属する新人女優役で俳優デビューを果たした堀川梨心さんにインタビュー。2022年に開催されたオーディションで見事グランプリを獲得し、その座を掴んだ堀川さんに、初めてのドラマ出演について語っていただきました。

初めてのドラマ出演で感じた悔しさと達成感
――今作は、民放5局が参画するTVer初のオリジナルドラマです。実際に放送されているバラエティ番組も登場しますが、初めて企画を聞いたときにはどう思いましたか?
すごいなと思いました。登場するバラエティ番組がきっかけでこのドラマをご覧になる方もいると思うので、より気合いが入りました。
――最初に台本を読んだときの印象は?
ストーリーがすごく面白かったです! 私の役がすごく明るい性格だったので、「うまくできるかな」と少し心配しました。
――実際に撮影されてみて、いかがでしたか?
「もっとうまくできたな」と、悔しいところはたくさんあります。でも、達成感もありました。クランクイン前は「大丈夫かな」と不安でしたが、スタッフさんもキャストさんも優しく声をかけてくださり、リラックスして臨めました。演じているときはすごく楽しかったですし、終わった後にも「楽しかったな」という気持ちが一番大きかったです。

――現場では松下洸平さん、馬場ふみかさん、佐藤浩市さんとどのようなお話を?
松下さんと馬場さんは、3人のシーンのときに気さくにお話してくださり、緊張がほぐれて嬉しかったです。佐藤さんには、休憩中に昔の映画の話などを聞かせてもらいました。自分から知ることはできないお話を、大先輩の佐藤さんから聞けたのはすごく勉強になりましたし、驚くことがたくさんありました。
――初めてのドラマ撮影現場ということで、イメージと違ったことなどはありましたか?
想像以上にたくさんのスタッフさんが携わっていることにびっくりしました。あとは、緊張ですごく身構えていたのですが、優しい雰囲気が流れていて、スタッフさんもいっぱい話しかけてくださって嬉しかったです。
――唯野(友歩)プロデューサーの誕生日には、とあるエピソードがあったそうで……?
現場にあったチョコレートのお菓子が暑さでかなり溶けていたんですけど、個包装の1個にマジックペンで「唯野さん、お誕生日おめでとうございます」と書いて渡しました(笑)。ただ、唯野さんが食べてくださったかどうかはわかりません(笑)。

一番緊張したのは佐藤浩市にドリンクをこぼすシーン
――今回は本人役ということですが、役作りはされましたか?
ふだんの私も普通に元気なんですけど(笑)、ドラマの中ではそれ以上に明るくムードメーカーのようなキャラクターだったので、近い雰囲気の友達の身振りや喋り方を参考にしました。実際、撮影に入ると緊張してシミュレーションしたことがうまくいかなかったり、テンションを上げたりするのが難しかったです。
――明るい性格を表現するために、どんな練習をされたんですか?
どうすれば標準語で“陽キャ”に見えるのかを考えていました。お母さんもすごく明るい人なので、お母さんの真似もしましたが、家族に見られるのは恥ずかしいので1人、部屋でこっそり練習していました(笑)。
――何度か登場する「干さないでください」という台詞については、どのような練習を?
「干さないでください」は、声の高さを自分なりに考えてみました。どの高さが一番、“干さないでください感”が出るかなって(笑)。
――(笑)。演じる上で、苦労したシーンを教えてください。
やっぱり佐藤さんにドリンクをこぼしてしまうシーンが一番緊張しました。でも、佐藤さんから「思い切りやっていいよ」と言ってもらえたので、思い切りやらせていただきました(笑)。1回目は佐藤さんにうまくかからなかったんですけど、2回目はしっかりかかったので、終わったあとに「どうしよう……」と罪悪感もありました。
――デビュー作でいきなり佐藤浩市さんとの共演は、かなり緊張しそうです。
緊張しました。オーディションのときに古田新太さんとお芝居をさせていただく機会があったので、その経験があってよかったなと思います。このドラマで初めて演技をしたとしたら、もっと緊張していたかもしれないです。

――ドラマの撮影で、印象に残ったシーンを教えてください。
佐藤さんと松下さんが対峙する、最後のシーンがすごく印象的でした。あのシーンは特に見ていただきたいです。本当におふたりの演技に、私も役としてではなくて、1人の視聴者として吸い込まれていく感じでした。
――撮影を通して、主演の松下さんから学んだことはありますか?
たくさん学ばせていただきました。例えば『全力!脱力タイムズ』のギャグを披露する場面でも、俳優さんなのに振り切ってやられていてすごいなと思いました。やっぱり“思い切り”って大事なんだなと学びました。
――今作を経て、どんなところに俳優の面白さを感じましたか?
自分ではない誰かになれることが面白かったです。演じているのはもちろん自分だけど、役によっていろいろな自分が作れるのが不思議だなと思いました。
――もっと違う役もやってみたいですか?
はい、挑戦していきたいです!

――今回、オーディションに合格して事務所所属&ドラマ初出演となりましたが、オーディションを受けたのは初めてですか?
女優のオーディションは初めて受けました。
――あらためて、どのような経緯でオーディションを受けたのでしょうか。
初めは母に勧められて受けました。でも、3次審査のときにグループで1つのお芝居を作り上げていくワークショップ形式のオーディションがあって、それがすごく楽しかったんです。そこからよりやる気が出てきて、「女優になりたい」という気持ちが強くなりました。
――手応えはありましたか?
3次審査は手応えがありました。ダンスと演技の審査で、もともとダンスは習っていたので楽しくでき、演技審査もグループのみんなとたくさん練習して、完成度も高くなっていたので、「みんなと一緒だから大丈夫」と。最終審査では、「ここまで来たから、自分ができることをしよう」という気持ちでした。
――合格したときにはどんなお気持ちでしたか?
びっくりしたし、すごく嬉しかったです。お母さんや、付き添いで来てくれていた“いとこ”に恩返しができてよかったな、と思いました。お母さんはウキウキしてましたね(笑)。
憧れの女優は天海祐希
――今後、「こういう役をやってみたい」という思いはありますか?
学園ドラマの生徒役をやってみたいです。一度、学園ものの台本でレッスンをしたときに、「いじめる方の役がよかった」と言ってもらいました(笑)。
――そんな堀川さんのお芝居も楽しみです。では、共演してみたい方はいますか?
私は天海祐希さんの演技がすごく好きで、本当に憧れの方です。何年先になるかわかりませんが、いつか共演できたら嬉しいです。頑張ります!
――共演シーンはありませんが、天海さんは今作に出演されています。
天海さんが出演されていることを知らなかったので、映像を見て「わぁっ!」とびっくりしました。事務所でのシーンだったので、「ああ~、私が知ってる椅子だぁ」って(笑)。
――(笑)。これから、どんな俳優になっていきたいですか?
毎回毎回、一番ベストな演技ができる役者になりたいです。全部の作品に200%の力を出して、お芝居と向き合っていきたいです。
(取材・撮影・文:nakamura omame)
ヘアメイク:井村曜子(éclat)