濱正悟、テレビっ子だった少年が“魅せる側”になり衝撃を受けた人物とは!?【連載PERSON】

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濱正悟、テレビっ子だった少年が“魅せる側”になり衝撃を受けた人物とは!?【連載PERSON】

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回はドラマ『民宿のかくし味』(CBCテレビ・毎週木曜日25:00~)で主演を務め、ドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ/テレビ朝日系・毎週日曜日22:00~)でレギュラー出演する濱正悟さんが登場します。

特撮ドラマ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の宵町透真/ルパンブルー役で注目を集め昨年、連続テレビ小説『舞いあがれ!』にも出演した濱さん。端正なルックスはもちろん、さまざまなキャラクターを自在に操る演技力も大きな魅力です。

『民宿のかくし味』では、大自然に囲まれた奥飛騨地方でのんびりと民宿を営むオーナーの緑川春陽(みどりかわ・はるひ)を演じ、宿に訪れるお客さんの悩みに寄り添いながら、おいしい料理でもてなす。一方の『何曜日に生まれたの』では、野島伸司脚本の世界観で、主人公・黒目すい(飯豊まりえ)の高校時代の同級生・サッカー部のキャプテン・城崎健人を演じます。

そんな濱さんに、作品の見どころや「テレビっ子だった」という青春時代に影響を受けたテレビ番組やドラマなどのお話をうかがいました。

野島伸司脚本に出演できる喜び!

――野島伸司さんが脚本を務める連続ドラマ『何曜日に生まれたの』への出演となりますが、濱さんは“野島脚本”にはどんな印象をお持ちでしたか?

僕は『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』や『聖者の行進』などを見ていて、ストーリーにすごみを感じていました。すべての作品を拝見しているわけではありませんが、役者としてご一緒できるというのは、とても嬉しかったです。

――本作の脚本を読んで、どんな印象を持ちましたか?

一言でいうなら“カオス”だなと(笑)。登場人物一人ひとりにしっかりとした背景があり、台詞もすごく興味深い。ミステリーやサスペンスの要素がありつつ、恋愛要素もある。いろいろな部分が二重構造になっていて「こういうドラマです」と一言では言い表せない物語。読むたびに印象が変わる、不思議な本だなと思いました。

――濱さんが演じる城崎健人は、高校時代サッカー部のキャプテンで、飯豊さん演じる黒目すいはそのマネージャー。健人を演じるために、人生初ブリーチを経験というコメントも出ていました。初の金髪はいかがでしたか?

役者って役を自分に寄せるか、自分を役に寄せるかとアプローチ方法はいろいろあると思いますが、見た目とか衣装によって役に寄せていくというやり方も面白いなと感じました。実際今回は髪を短く切ったのですが、すごく楽でいい(笑)。なかなか好評をいただいています。

――濱さんパートは飯豊さんをはじめ、年齢層が近い共演者が多そうですが、撮影はいかがですか?

飯豊さんは年齢的には僕の方が少し上なのですが、キャリアは倍ぐらい違う大先輩なんです(笑)。現場ではとても柔らかい雰囲気で、場の空気を明るくしてくださる方です。「これが座長の立ち振る舞いか」と尊敬しています。監督、スタッフさんはじめ、とても熱量が高い現場で、みんなでいいものを作ろうという感じが素敵で、芝居もやりやすいです。

――印象に残っているエピソードはありますか?

高校時代の回想シーンで、海での撮影だったのですが、気がついたら飯豊さんたちが、僕の足を砂のなかに埋めていたんです(笑)。

――濱さんはイジられキャラ?

役柄にもよりますが、『親友は悪女』のときも、役柄的にイジられキャラだったので、撮影でもそういうポジションでいたら、結構現場がスムーズに進んだ感じがしたんです。今回もそういう感じの役だったので、イジられキャラでいたほうが、盛り上がるのかなと(笑)。

――すごく仲がよさそうな現場ですね。

とても楽しいです。でも海の撮影は、部員たちを間引くためのしごきのシーンで、映像的には地獄のような場面なんです。朝4時半ぐらいから砂場をダッシュするという。だからこそ、和気あいあいとしていたのは救いでした。

自炊男子・濱正悟に巡ってきた主演作!

――飯豊さんの座長ぶりを絶賛していましたが、『民宿のかくし味』では、濱さんが座長として作品を引っ張る立場でした。

ありがたいことです。プロデューサーさんや監督さんからも「引っ張っていってもらうよ」と声をかけていただいていたのですが、結構共演者の方々がしっかりとされている方たちで、僕が引っ張るというよりは、みんなで助け合いながら撮影ができた感じです。

――濱さん演じる緑川春陽はどんなキャラクターですか?

不器用で一生懸命で、まっすぐ。自分のことよりも他人のことに一生懸命になってしまうような人です。

――脚本を読んで共感できる部分は?

おっちょこちょいなところとかは似ているかなと。さっきやろうと思っていたことを忘れてしまうところとか。あとは奥飛騨の時間の流れが、とてものんびりしていて、自分には合うなと思いました。

――民宿のオーナーということで、お客さんに料理を出すシーンもありますね。撮影のために準備されたことはありましたか?

第2話でネギを細かく切るシーンがあるのですが、そこは練習しました。基本的に僕は料理をするのですが、結構男メシというか、カレーとかが多いので、あまり細かくネギを切るような料理をしていなかったんです。でもやってみたら、ネギが好きになってしまったので、料理のレパートリーが増えました。

――自炊男子ですか?

撮影がないときとかは結構やっています。僕の母方の実家が熊本で、畑がいっぱいあるんです。結構お米とかも送ってもらうので、それに合う料理は作っていますね。今年で29歳なのですが、『何かおかしい』というドラマでご一緒した俳優の今井隆文さんから「鶏肉のグラム数に対して3%の塩を入れるとめちゃくちゃいい」という話を聞いていて、その法則で結構料理はしています。

――濱さんがおすすめのご飯に合う料理は?

カレーですかね。あとは肉料理。鶏肉はタンパク質もとれて体にいいかなということで結構使います。

――料理好きの濱さんにはぴったりの役柄ですね。

そうですね。『屋台メシ部、はじめました』という料理番組にも出演させていただきましたし、自分でも「料理関係の番組に出たい」という発信をしていたので、結構料理には縁があるんです。主演で、奥飛騨にがっつり行って撮影できたというのは、すごくありがたかったです。

――改めて主演で臨んだ本作は?

やっぱり作品に対する責任は大きいのかなという思いはありました。だからこそ、何か思ったことはあまり遠慮することなく、しっかりと監督さんやプロデューサーさんに伝えるようにというのは意識しました。これまで他の作品で座長の方や先輩俳優さんがそうしている姿を見て、今回は僕も能動的にやってみました。

――座長としてバラエティ番組などで、積極的に番組宣伝するのも「喜んで」という感じですか?

ちょっと恥ずかしいところはありますが、僕は結構いろいろなことに興味があるので、お声がけいただけることに対して、自分から可能性を閉ざす必要はないのかなと思っています。これまでも『バゲット』という情報番組で「水曜日はカレーの日」というこコーナーに出演させていただいたり、「CanCam.jp」でカレーの連載を3年半やらせていただいたりしまたし。いろいろなことをやることは、きっと芝居にもつながると思うので、積極的にチャレンジしたいです。

だいぶテレビっ子でした(笑)

――ここからは濱さんとテレビとの関わりについて話を聞きたいのですが、テレビは結構ご覧になる子供でしたか?

だいぶテレビっ子でしたね(笑)。当時は『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』や『WATER BOYS』シリーズ、『ごくせん』シリーズとか学園ドラマが全盛のとき、めちゃくちゃ見ていました。あとは、『『ぷっ』すま』とか、『ココリコミラクルタイプ』『エンタの神様』などのバラエティも大好きでした。

――当時から、見る側ではなく出る側になりたい……という思いはあったのですか?

具体的にそういう思いがあったわけではなかったですが、どこかに憧れはあったと思います。ドラマに影響を受けて、襟足を伸ばす……みたいなことはしていました。どちらかというと、次の日に学校でバラエティやドラマの話題になるので、見ていた感じですかね。『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』などは、みんな見ていたし、主演を務めた山下智久さんなどはド世代でしたね。

――好きなお笑い芸人は?

『『ぷっ』すま』でエガちゃん(江頭2:50)を見たときは衝撃的でした。最高でしたね。あとは『エンタの神様』の小島よしおさんも大好きでした。

――上半身裸の人が好き?

シンプルな笑いが好きなのかもしれません。サバンナ高橋茂雄さんがやっている、革ジャン着てギターを弾いている犬井ヒロシとかも大好きです。あとはコウメ太夫さんとか……。

――そんな濱さんが芸能界に入ってから、影響を受けた方はいますか?

日曜劇場の『下町ロケット』という作品に出演したんです。そのとき、僕は名前のクレジットもない役だったのですが、主演を務めていた阿部寛さんが、第1話で佃製作所の社員の方の前で熱弁するシーンで、段取りのときから涙を流されていたんです。本当にあの時の演技に圧倒されました。芝居だけではなく、エキストラ的な僕のことも、ちゃんと覚えてくださっていて。すべてにおいてすごい役者さんだなと衝撃を受けたことを覚えています。

――来年30歳を迎えますが、何かしてみたい野望はありますか?

俳優として一度ご一緒した監督さんやスタッフさんと、また作品をやりたいという思いがあります。以前、僕がまだ何者でもないときにご一緒した監督さんがいるのですが、いつも僕のことを気にかけてくださるんです。その方と一本がっつり映画をやりたいなという思いがあります。ただ俳優って基本的に、役をいただいて存在するものだと思いますが、ただ待っているだけではダメだと思うので、自分から能動的に仕掛けていきたいなと思っています。

――いまTVerでは「ホラー特集」を行っています。濱さんが出演されている『闇芝居(生)』や『何かおかしい』も配信されています。

(『何かおかしい』の原案の)雨穴さんが作るワールドって誰もが真似できないと思うんです。生放送を見ているかのような没入感もありますし、何より僕が初めて民放連ドラ主演を務めさせていただいた作品なので、すごく思い入れがあります。主人公にも関わらず、とても悪い奴という、いまのコンプライアンス重視の時代に、こんな奴がいてもいいのか……という面白さもあると思いますので、ぜひご覧になってください!

(取材・文:磯部正和/撮影:フジタヒデ/ヘアメイク:佐々木麻里子/スタイリスト:徳永貴士<SOT> )

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