深川麻衣、仕事がすべてだった20代…30代になって心境に変化「肩の力が抜けた」 【連載PERSON】

公開:
深川麻衣、仕事がすべてだった20代…30代になって心境に変化「肩の力が抜けた」 【連載PERSON】

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、現在放送中のプラチナイト木曜ドラマ『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59~)で主演を務める深川麻衣さんが登場します。

深川さんは、2011年にアイドルグループ・乃木坂46のメンバーとしてデビュー。5年間の活動の後、2016年に卒業。同年より女優としての活動をスタートさせ、2018年に映画初出演にして初主演を務めた『パンとバスと2度目のハツコイ』では第10回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞を受賞しました。その後、『日本ボロ宿紀行』や『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』など、数々のドラマで主演を務めています。

そんな深川さんが主演を務める今作は、幻冬舎文庫より刊行されている、横関大さんによる同名小説が原作。立場も異なり、まったく接点もなさそうな日村繭美(深川)、神野由香里(前田敦子)、熊沢理子(石井杏奈)の3人が、ただ“普通の幸せ”を願っただけなのに、思いも寄らない人生へと進んでいってしまうスリリングサスペンスです。

役と同じく現在32歳の深川さんは、30代という年齢をどう過ごしているのでしょうか? 脚本や演じる役柄の印象と共に、深川さんの30代の心境の変化、さらにアイドルから女優へ転身しての変化についても聞きました。

深川麻衣は“仕事大好き人間”…演じる繭美に共感も

――“普通の幸せ”への渇望が、「彼女たち」の人生を狂わせる様子を描いた本作。出演オファーを受けた際、どのような気持ちになりましたか?

もともとサスペンスやミステリー作品が好きなこともあり、原作を読んで「こんな面白い作品に出演できるなんて!」とすごく嬉しい気持ちになりました。脚本は原作とは違ったストーリー(エンディング)になっていて、原作を読んで結末を知っている方にも「これってどういうこと!?」と心を揺さぶられる物語になっていると思いました。

――演じる繭美の印象も聞かせてください。

繭美は、本当は弱いのに強く振る舞っている不器用な女性です。仕事ができて、後輩を指導する立場にいるからこそ、人に弱みを見せることが苦手なんですよね。完璧でいたいという思いがあって、周りからもそういうイメージを持たれているから、誤解もされやすい。人からどう見られるかを気にするところが、すごく理解できると思いました。

――理解できたというと、深川さんにもそんな一面が?

仕事大好き人間という部分は似ています。私もお仕事が大好きで、上手くいかなかった時に心がブレてしまう瞬間があるのはすごく理解できました。繭美はそれに加えて、30歳を過ぎて周りの友達が結婚してしまったことをきっかけに、「自分はこのままでいいのか?」と悩み始めてしまいます。“人と違う”ことを不安に感じているんです。台本を読んで、繭美に幸せになってほしいなぁ、と思いながら演じています(笑)。

――なるほど、感情移入しやすい部分が多かったのですね。では逆に、演じるのが難しかった部分はありますか?

人(後輩)に対して、きつく説教をするシーンでしょうか。たぶん私にとって一番苦手としている感情表現が「怒り」なんですよ。さらにこのシーンに関しては、ただ怒っている嫌な人に見えないように、言葉の裏に「相手を思っているからこその優しさ」を覗かせられるように、監督と相談しながら丁寧に演じました。

――深川さんは普段あまり怒らないタイプなのですか?

はい。皆さんもそうだと思いますが、イラっとすることはあっても、人に強い口調で声を荒げたり、口論するということは日常ではありません。強く口に出して怒った経験は、人生で3回くらいしかないです(笑)。

――そうなると、その3回がどんな状況だったのかが気になります(笑)。

よっぽどの時だったので、話せないですね……(笑)。「よっぽどの時」と書いておいてください(笑)。

仕事がすべてだった20代――30代になって心境に変化

――深川さんは、繭美と同じ32歳。繭美は仕事やプライベートに葛藤しながら生きていますが、深川さんはどのような30代を過ごしていますか?

30代になる前は不安がありました。数字で見たら大人ですが、20代と比べて正直そこまで変化しないじゃないですか。でも世間的には「知識も経験もある」と思われてしまうし、こんな自分で大丈夫なのかな……と思っていました。しかし、周りの先輩たちが「30代が一番楽しいよ」「肩の力が抜けるよ」と言ってくれて、そのおかげで気負わず楽しい気持ちで30代を迎えられました。そうしたら、本当に肩の力が抜けて、ちょっとだけ考え方が変わったんですよね。

――変えようと思った出来事があったわけではなく?

特に大きな理由があったわけではないです。20代は自分にとって仕事がすべてで「仕事で評価されないと自分に価値はない」とまで思っていました。それくらい自分の中心は“仕事”で回っていたのですが、先輩方の言葉を受けて、30代に入ってからは“仕事と同じくらい、趣味や好きなこと、もの、人と会う時間も意識して大切にしたい”と考えが変化して。仕事は変わらず大好きで大事だけど、それが=自分だったり、人生の全てじゃない。そう考えることによって、肩の力が抜けましたね。

――アイドルを卒業して、女優として活動するようになって変わった部分はありますか?

今の事務所に移籍した時に、私の取材のときの受け答えを見ていたマネージャーさんから、「上手くまとめる癖がついてるね」と言われました。アイドル時代は、1人で取材対応することもありますが、だいたい2~3人一緒で順番に話すということが多くて。その際、「この子がこの話するなら、私はこれ」とバランスを取る癖が付いてしまっていました。さらに、言い方ひとつでいろいろな解釈をされてしまうので、誤解されない無難な言葉選びをしていたのですが、それも指摘されたことで“自分の言葉で、思ったことを話す”ことに意識を変えましたね。

母校で撮影された『ウォーターボーイズ』に感動!

――ここからは、深川さんとテレビとの関わりを教えていただきたいです。自分が影響を受けたと思うテレビ番組を教えてください。

たくさんあるので迷いますが、すぐに頭の中に浮かんだのは『ランチの女王』。その頃、オムライスが大好物だったので、最初にスプーンを水につけてからオムライスを食べ始めるというやり方を真似していました(笑)。あと『ウォーターボーイズ』もよく見ていました。私が学校に通っている時にちょうど母校で撮影していて、シンクロの練習をしている様子が窓から見えていたんですよね。

――それは思い出深い作品ですね!

ドラマの撮影現場を見る機会なんて、なかなかないですよね。その当時、芸能界に興味を持ち始めた時期でもあったので、「こうやってドラマが出来上がっていくんだ!」とすごく感動したことを覚えています。

――では、今よく見ているオススメの番組があったら教えてください。

これも迷いますね……! バラエティをよく見るのですが、中でも『アメトーーク!』は必ず録画して見逃さないようにしています。出かける準備をしている時や仕事から帰って来た時に見て、ホッと一息つく瞬間が好きです。

――バラエティをよく見る理由は、単純に面白いからですか?

それが一番の理由ですが、芸人さんを見ていると学ぶこともあるんです。バラエティ番組を見たり出演したりすると、芸人さんのすごさが改めてわかります。「なんでこんなに面白いことが言えるんだろう?」って。人に笑いを与えられる人に、私もなりたいです(笑)。

――女優としては、こんな役者になりたいという理想はありますか? 役者として大事にしている“軸”があれば教えてください。

「初心を忘れないこと」ですね。初めて舞台に立った時、初めて映画に出演した時など、嬉しさも悔しさも、その時に感じた気持ちは、絶対に忘れたくない。経験を重ねて、慣れていくことが嫌で。それが普通のことになってしまうとダメな気がしていて。1回1回、その新鮮な気持ちはずっと持っていたいと思っています。

――最後に、放送を楽しんでいる視聴者に向けて、今後の展開の見どころをお願いします。

私の演じる繭美だけでなく、由香里や理子も悩みを抱えていて、それぞれが“幸せ”を求めたことをきっかけに、物語が大きく展開していきます。女性なら共感してしまうであろう感情をリアルに、かつ繊細に描いているので、人間ドラマも楽しめるサスペンスになっています。回を追うごとに伏線が積み上げられていくので、3人がどうなっていくのか、誰が味方で敵なのかを考察しながら楽しんでください。

取材・文:米田果織
撮影:フジタヒデ

画像ギャラリー

PICK UP