アーセナルFCの冨安健洋が3シーズン目のプレミアリーグに意気込み「自分が一番という気持ちで勝負する」

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アーセナルFCの冨安健洋が3シーズン目のプレミアリーグに意気込み「自分が一番という気持ちで勝負する」

イングランド・プレミアリーグでプレーするサッカー日本代表の冨安健洋が、7月29日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)にゲスト出演。自身の半生と、イングランドでの日々について語った。

夏休み2週連続企画の1週目となる今回は、まず冨安の歩んできたサッカー人生を振り返ることに。小学1年生の頃から地元である福岡のクラブでプレーしていた冨安は「夏休みとかだと、朝からサッカーして、チームの練習は夕方5時から。昼飯を食べて遊んで、そのまま練習入ってみたいな感じだったので、もうずっとサッカーをしてた子どもでした」と述懐。MCの勝村政信から「図抜けてたでしょう。色んな意味で」と聞かれると、「いや、本当に普通の選手でした」と答えていた。

高校3年生でJリーグデビューを果たしているだけに、冨安のその言葉には勝村も「普通の選手~?」と懐疑的。しかし、当時アビスパ福岡U-15の監督を務め、冨安のセレクションを行ったアカデミーテクニカルアドバイザー・藤﨑義孝も「セレクションのときの第一印象は地味だなって感じでした」と、当時の印象を明かす。その理由について、藤崎は「わざわざ派手なプレーをしないというか。堅実にポジション取って、しっかりカバーもするし、つなぎもうまいし、その状況に合ったプレーを選択するっていう感じだった」と指摘。堅実なプレーが地味に映りながらも、そのレベルは高く、冨安の持っていた謙虚さや実直さが成長につながったと説明した。

ひたむきにサッカーと向き合い続けた冨安は、年代別の日本代表にも選出。U-18イングランド代表との試合で惨敗し、初めて海外を意識するようになる。その後は、19歳でベルギーのシント=トロイデンVVに移籍。翌年にはイタリア・セリエAへステップアップを遂げた。冨安は「守備を学びたくてベルギーからイタリアを選んだというのもあります」と、移籍には狙いがあったことを明かし、実際にイタリアでは多くのことを学べたという。

2021年にはセリエAのボローニャFCから、プレミアリーグの名門・アーセナルFCへ。移籍直後は各国の強烈なアタッカー陣をシャットアウトし、並み居るライバルたちを押しのけ、レギュラーの座をつかんでいる。冨安はデビューする試合の3日前にロンドンに到着したことを打ち明け、「アーセナルの戦術もわからないですし、チームメイトの名前まで覚えてないぐらいだったので、逆に自分だけにフォーカスすることができた。最初の頃は特に何も考えずに、ただただがむしゃらにやっていて、それが逆によかったと思います」と分析。チームに馴染んでからも冨安は躍動を見せ、数々の勝利に貢献した。

しかし、昨シーズンは優勝にあと一歩届かず、2位でシーズンを終えたアーセナルFC。チームに足りなかったものを聞かれた冨安は「やっぱりまだ若いチームではあるので、そういった意味では経験が足りなかったと感じています」と明かした。アーセナルFCの選手平均年齢は23歳。アーセナルFCよりも選手平均年齢が高いマンチェスター・シティFCとの試合では、相手のほうが慣れていて、余裕があると感じたという。

昨シーズンは冨安にとっても、不本意なものだった。首位を走っていたシーズン終盤に右ヒザを負傷し、手術を余儀なくされ、以降はチームから離脱。さらに、代役を務めたベン・ホワイトが結果を残したため、ポジション争いは激化した。冨安はホワイトについて「うまい選手」と認めながらも、「自分の方がうまい、自分の方が上だっていう気持ちを持ってないと、やっぱり勝てないなと、去年のシーズン1年やって改めて思ったんで。自分をもっと信じるというか。来年は自分が一番だっていう気持ちと、周りに合わせるというよりかは、逆に“自分に合わせろ”ぐらいのテンションで勝負したいなっていうふうに思ってます」と意気込んだ。

そして、怪我などのネガティブな出来事も、目標を達成できれば失敗ではなくプロセスになるという冨安の考え方に、勝村も「今いくつ? 24歳でしょう? すげーな」と深く感心。冨安自身もこう考えられるようになったのは最近だとしながら、「もともとネガティブな性格で一喜一憂するタイプでした。でも、そういうネガティブなことをたくさん経験して、より広く物事を見れるようにはなりましたね」と明かしていた。

また、昨シーズンにプレミアリーグデビューを果たした三笘薫にも言及。代名詞のドリブルを武器に日本人歴代最多となるシーズン7ゴールを記録し、旋風を巻き起こした三笘だが、冨安は敵として対峙したときの“怖さ”について、「やりづらかったっすね。オフ・ザ・ボール(ボールを持っていない状態)の動きの質はかなり高いなって感じていて。ずっと自分の僕の背後を狙われてる感覚っていうのがあって、それがかなり嫌でした」と正直な気持ちを吐露。続けて、「オフのところでも相手に脅威を与えられる選手っていうのは、いい選手。そこを薫くんも持ってると思いますし、これからもっとすごくなるだろうなというふうに思います」と評価した。

間もなく3シーズン目のプレミアリーグに挑む冨安は、海外で生き残るために必要なものについて、「プレミアリーグだけじゃないですけど」と前置きしつつ、「サッカー選手って、ブレない軸だったり、やり続ける力だったりは一つ大事な要素かなと思っています」と主張。勝村から「怪我とかは絶対乗り越えて、あのときこれがあったからっていうふうに思いたいもんね」と話を振られると、「知り合いから“人生においてネガティブな要素を経験している人の方が人として深みが出るよね”っていうふうに言われて、確かになって思ったので、それを乗り越えて、より深みのある人間になれたらいいなって思いますね」と抱負を述べた。

次回は、2週連続企画の2週目。冨安が日本代表と日本サッカーの未来を語る。

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