『みなと商事コインランドリー2』草川拓弥“湊”は誰に何を許されたいのか、西垣匠“シン”との恋愛観の差と時代の変化を分析

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『みなと商事コインランドリー2』草川拓弥“湊”は誰に何を許されたいのか、西垣匠“シン”との恋愛観の差と時代の変化を分析

夏祭りだ、浴衣デートだ、スイカシェイクだ! 気分はもう梅雨明け! 7月19日放送の『みなと商事コインランドリー2』(テレビ東京系、毎週水曜24:30~)第3話は、湊晃(草川拓弥超特急)と、シンこと香月慎太郎(西垣匠)の夏祭りデートを存分に楽しむ回! だけだったらいいのだけど、お互いの気持ちがすれ違うちょっぴりせつない出来事も……。

浴衣デートでスイカシェイクのトラウマを克服

二人の同棲生活が始まった。シンの部屋にはプリントして飾られたシーズン1の東京デートの写真、湊からもらった「もやし。」Tシャツが二人のこれまでの軌跡として飾られている。

「おはようございます」とかける声も、心なしか弾んでいるようだ。

「寝癖ついてるし、本当かわいいな。あとでこっそり写真撮ろ。ってかパジャマ姿もかわいい。かわいすぎて腹たってきた」。心の声がそのまま口からダダ漏れなシン。無意識っておそろしい。

季節は夏。商店街の夏祭りがもうすぐなことを知り、湊はシンを誘ってみることに。カップルにとって夏祭りや花火大会は浴衣デートチャンス。ここぞとばかりに湊に浴衣を着せたがるシン、いいぞいいぞ!

何着も試着して「どれがいいかな?」と聞くのに対して、「全部かわいいです」という返答は大正解。なんて平和なやりとりなんだろう。

デートもずっと平穏なムード。「スイカシェイク事件」(※シーズン1で湊が「今度おごってやる」とシンに約束していたスイカシェイク。しかし湊が教師・佐久間孝之(福士誠治)とそのスイカシェイクを飲みながら一緒に歩いているところを目撃し、嫉妬心を爆発。さらにおごってもらった日にシンは湊に一度振られるというトラウマ展開……)を乗り越え、また夏に二人してスイカシェイクを飲んでいる姿はほほえましい。

「このスイカシェイク、去年よりも甘くない?」という湊。そうだね、去年はほろ苦さもあったよね、そして今の二人の生活は甘さマシマシだよねとうなずきたくなる。

大学生とアラサーの価値観の差は案外デカい

夕方の浜辺で、そっとシンの手に自分の手を重ねる湊。からの〜、恋人繋ぎ。こんな幸せ、あっていいんでしょうか。これにはシンも嬉しさMAX。しかし、近くに別の男女5人組が通りかかると湊は思わず繋いだ手を離してしまう。湊はなんでもなさを装うものの、シンは釈然としない。

「恥ずかしかったなら受け入れます。でも湊さんの場合、それだけじゃないんですよねきっと。俺と付き合っていることにまだ罪悪感があるんじゃないんですか? 俺はもう大学生です。法律だって許してるのに。あんたはほかに、誰に何を許されたいんだよ」。

これ、結構重要な台詞だった。積極的にアプローチできるシン、ちょっと奥手の湊。これは一見、性格の問題のようでもあるけど、それだけではない。この10年弱の世の中の急速な変化を考えてみてほしい。

アラサーの湊が思春期だった頃、テレビのバラエティ番組では『ワンナイR&R』の轟さんのように“LGBT”を笑えるキャラとして扱っていた。湊はまだ、世間の中で自分は日陰者だ、許されない存在なのだという意識が染み付いているのではないだろうか。

かたやシンの時代にはもうBLドラマが量産され、“LGBT”という言葉も浸透している。TikTokをみても同性カップルの嬉々とした投稿はたくさんある。生きてきた年代や時間、経験によって考え方や自己肯定感に違いがあるのは当然なのだ。

湊の行動にショックを受けながらも「でも違うから惹かれるんだと思う」と言えるシン、立派すぎる。「だから俺は湊さんが大好きなんです」の言葉に相手を思う気持ちが詰まっていた。

恋愛は勉強の邪魔?

模試でA判定だったら佐久間柊(稲葉友)とデートの約束だった英明日香(奥智哉)。しかし結果はB判定。明日香は柊とデートできたらもっと頑張れるとせっついてみるが、柊の気持ちは変わらない。

これも考え方の差だろう。みんなも受験のとき、不思議に思ったことはないだろうか。「恋愛なんかにうつつを抜かしている暇などない」「我、受験生ぞ」と思っていたら、案外「一緒に励まし合って頑張りたい」「好きという気持ちをパワーにして乗り越えたい」という同時進行型の人もいる。

柊は明日香に勉強に集中して頑張ってもらいたい。でも、明日香は恋愛もちゃんとしたいし、愛情を感じたい。それにシンが同棲までこぎつけているのをみると、焦ってしまう気持ちもわかる。この溝は埋まるのだろうか。

そんなある日、柊は明日香が女の子と一緒にいるところを目撃。これは一波乱ありそうだ。

(文:綿貫大介)