『風間公親-教場0-』木村拓哉がついに義眼を装着、シリーズを通してまだ解明されていない3つの謎

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『風間公親-教場0-』木村拓哉がついに義眼を装着、シリーズを通してまだ解明されていない3つの謎

台詞を言うごとに左右の目からこぼれ落ちてくる、白石麻衣の涙にやられた。5月29日に放送された『風間公親-教場0-』(フジテレビ系、毎週月曜21:00~)の第8話は、風間公親(木村拓哉)と鐘羅路子(白石麻衣)のバディ後編。教官室で風間と新人刑事が対峙するシーンは毎回圧巻だが、今回は路子の涙にすべて持っていかれた。そしてラストではついに、“義眼”の風間が誕生する。

毒物や違法薬物も入手できるネットの闇

今回の事件は、古い木造一軒家で小田島澄香(ソニン)の変死体が発見されるというもの。澄香は2か月前に母親を亡くし、この家を相続していた。外傷はなく、薬物による中毒症状の可能性が高い。

テーブルの上には大量に残された中華料理が。二人分の皿と箸があるということは、誰かと食事をしていたのだろう。量をみて、容疑者は「男のような気がする。なんとなくですけど」とお決まりのフレーズを決める路子。

あながち間違いではない。前回、女優の嘘を見破ったことで、風間は路子の“女の勘”を評価しているようだった。そのことで小さくガッツポーズしてしまうところも、路子のかわいい人柄を表している。

容疑者として割り出されたのは、個人のネット販売業者・名越哲弥(小池徹平)。路子は二人が男女の関係にあったのではと疑っていた。名越の事情聴取で感じたのは、視力の悪さ、耳の遠さ、水をたくさん飲む、抜け毛が多いこと。そこから病気の可能性を導き出すとは、なかなかいい観察眼だ。また、名越がゴミを何度も確認していたことを、強迫性障害の症状のようだと路子は指摘した。

このときすでに、澄香と名越は裏ビジネスのパートナーだと風間は気づいていた。語学に堪能な澄香が海外の闇サイトから毒物や違法薬物を入手し、名越がそれを売っているのだと。

法の網をすり抜けて、あらゆるものが海外から手に入るのがネット社会。なかでも一番売れるのは薬物だという。通販感覚で気軽に買えるから、客も手を出しやすいのだろう。

名越はアコニチンを使い、澄香を殺害していた。推理小説でおなじみのトリカブトに含まれている猛毒、といえばピンとくる人も多いだろう。なんともミステリーらしい殺害方法だ。

しかし、悪業の詳細を知るパートナーの口を永久に封じようとしたのは、一人だけではなかった。澄香もまた、放射性物質の粉末を混ぜたスープを名越に飲ませていたのだ。

事件の夜にポロニウムのニュースが報道されていたが、スープに入れられた粉末はそれだろう。ポロニウムといえば、ロシア当局がよく暗殺に使用する毒物として知られている。ニュースではドイツ元スパイの体内から検出となっていたが、モチーフはロシア元スパイが亡命先でポロニウムを盛られ死亡した「リトビネンコ事件」かもしれない。

名越の抜け毛などの症状はポロニウムによる内部被ばくが原因だったのだ。路子と風間に真相を追及されていなければ、名越もまた気づかぬうちに死んでいただろう。

番組公式Twitterによると、澄香は名越のスープにポロニウムを入れる前に、実は母親で試していたという裏設定があるらしい。なんとも恐ろしい事件だった。

残された3つの謎は解明されるのか

「次は君の番だ」。転属願の出番がやっと来た。今回の事件に、路子のプライベートも大きく関わっていることも風間は見抜いていたのだ。

現場で押収した住所録には、同棲相手の西田徹(渋谷謙人)と、その友人であり、薬物対策課が内偵捜査をしていた実相寺実の名前も。さらに名越の事務所には、西田本人の姿があった。

もう、ヒモの風上にも置けない。ヒモ男ならヒモ男らしく、可愛げをもって献身的に女性をサポートすべきところを、まさか覚醒剤の運び屋だったなんて。金持ってるのにヒモ生活をするなよ……。

しかも、路子の家からは貯金箱、アクセサリーボックス、テレビまでも盗んでいっている。根っからの犯罪者じゃないか。それでも「好きだったのかな、なんとなくですけど」の台詞とともに流した路子の涙がせつなすぎる。

「君は男女の感情について独特の感性とアンテナを持っている。優れた素質の持ち主だ」。これまで問題児には厳しく接してきた風間だが、路子の刑事の素質は無駄にすべきではないと思ったのだろう。本来なら捜査情報を漏らした守秘義務違反で停職6か月相当だったところを、交番勤務に落ち着かせた。

交番勤務は全ての警察官が現場勤務の基礎を経験する場。毎度新人刑事に突きつけられる転属願には「初心に戻ってやり直せ」という意図が込められているが、本当にそうなるとは。

交番でのシーンで伊上幸葉(堀田真由)からもらった知恵の輪が解かれていたのは、一皮むけた証拠だろう。男女間のトラブルに勘を働かすのは路子の刑事としての武器であることには間違いない。ただこれは異性愛規範を前提にしすぎているので、恋愛は男女間だけのものではないと理解すればさらにもう一皮むけた刑事になることだろう。

ラスト、風間はついに義眼を装着する。スペシャルドラマ版で鬼教官だった頃におなじみの顔がそこにはあった。新人刑事の奮闘も見どころだが、このあたりで改めてシリーズの大きな流れとしての気になる問題を思い出しておきたい。

1、千枚通しの犯人・十崎波琉(森山未來)の事件の決着はつくのか。
2、風間が警察組織に激しい恨みを持つ理由はなんなのか。
3、風間はなぜ指導官から冷徹な警察学校の教官になったのか。

これらのことにも引き続き注目していきたい。そして次週は最後の道場生・中込兼児(染谷将太)が登場する。こちらもまた問題児のようだが、この二人のバディも楽しみだ。

(文:綿貫大介)

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