5月21日に放送された『だが、情熱はある』(日本テレビ系、毎週日曜22:30~)第7話は、もがき苦しんでいた山里亮太(SixTONES・森本慎太郎)が報われる回だった。
この結果は必然だったのかもしれない。だって、山里は天才なのだから。
山里と森本…ふたりの天才
2004年、『M-1』予選に向けてネタを調整する南海キャンディーズ。山里は、ライブの反応を見ながら台本を練り直し、マイナーチェンジを繰り返した。努力の甲斐もあって、見事決勝に進出! しずちゃん(山崎静代/富田望生)や応援してくれた社員の高山三希(坂井真紀)と共に喜びを爆発させた。
本番当日。狙うは『M-1』優勝。ふたりは決勝の舞台に上がる――。
森本と富田が演じた漫才は、南キャンが約20年前に『M-1』で披露した医者ネタを再現したものだった。ふたりの漫才を観たことがある人は、その再現度の高さに驚いただろうし、初めて観る人は、台本がしっかりしている分、ネタ自体の面白さを感じたことだろう。時間にして約3分ほど。魂の漫才だったと思う。
改めて、約20年前に『M-1』で披露された南キャンのネタと見比べてみた。もちろんカットしているやりとりはあるが、山里のツッコミのスピード、間の取り方、台詞はもちろん、しずちゃんの動きや表情、声のトーンなどリンクする部分がいくつもあった。南キャンファンの方も、森本と富田が演じた漫才を観て「あなたたちでよかった」と思えたシーンだったのではないだろうか。
また、森本は、山里が投げ飛ばされてメガネを落とすところ、襟を直すタイミング、メガネを直しながらお辞儀をする仕草など、ネタには直接関係のない細かな部分まで再現していた。こういうことをしてくれるから、俳優・森本慎太郎をまた好きになってしまう!
『M-1』決勝前の山里家との食事会で、しずちゃんは山里のことをこう評している。
「努力の天才ですし、天才的な執念がありますし、あと……妬み嫉みの天才、陰湿の天才」
山里を表現する際に使われる「天才」というキーワードだが、森本にも当てはまると思う。そこには、彼の努力や執念があって「森本慎太郎の山里亮太」が完成している……。それで人々を魅了するのだから、こんなの「天才」としか言い表せないじゃないか。
南キャンとオードリーの「こっから」
『M-1』で活躍する山里をテレビで見ていた若林正恭(King & Prince・高橋海人)。あまりのレベルの高さに『M-1』優勝を掲げていた自分に呆れる。
今の自分たちは、芸人を辞めても辞めなくても地獄。そんな毎日を送っているのに、春日俊彰(戸塚純貴)はこの生活が楽しいらしい。“お前が「辞める」って言えば辞められるのに……”。若林は「まかせる」と、どこまでも受け身スタンスの彼に苛立ちを露わにした。
戸塚に感情をぶつける高橋の言い回しも若林そのものだったが、特にゾクッとしたのは、彼がノートを床に叩きつけたシーン。
これが以前、若林がテレビで披露していた「靴下を壁に投げつける」フォームとほぼ一緒だったのだ。高橋がここまで研究していたのなら驚きだし、偶然似ていたとしてもすごい。高橋海人おそるべし!
2005年、事務所の社長(チャンス大城)から、オードリーへの改名を提案されたナイスミドル。あともう少し。ふたりが逆襲の口火を切るのはもう少しだ。
次回は5月28日に放送。南キャンは『M-1』をきっかけに大ブレイク。オードリーもトークライブをスタートさせたことで、少しずつ前進する。
南キャンとオードリーが「こっから」始まる――。
文・浜瀬将樹