高橋海人“若林”と森本慎太郎“山里”が晒け出す“カッコ悪さ”は、カッコいい​​『だが、情熱はある』

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高橋海人“若林”と森本慎太郎“山里”が晒け出す“カッコ悪さ”は、カッコいい​​『だが、情熱はある』

5月7日放送の『だが、情熱はある』(日本テレビ系、毎週日曜22:30~)第5話は、不器用すぎるふたりの男の葛藤と衝動が描かれた。

ベクトルは違っても、若林正恭King & Prince高橋海人)と山里亮太SixTONES森本慎太郎)​​の目標は一緒。それは「芸人として売れたい」という想いだった――。

ナイスミドル解散の危機に…

2003年、25歳の若林は頭を抱えていた。テレビのオーディションに受からない、ライブでも笑いがとれない……じゃあ、何で売れるのか?

客イジりや時事漫才といったネタのスタイルの変更、若林も春日俊彰戸塚純貴​​)も見た目を変えるなど、試行錯誤の日々が続く。そんな中、谷勝太(藤井隆)に誘われ、春日の家で飲む機会があった。

大きな器で受け止めてくれる彼に対し、若林は「どうしたら売れるんですかね」と述べ、スベりすぎて世間から無視されている気がする、と吐露。谷から「ゼロから始めるのも幸せなこと」と教えてもらった若林は、後日、春日家へ。春日はパンツ一丁で西武ライオンズを応援していた。

そこで「辛い。しんどいし、みじめで苦しい。恥ずかしい。すごく嫌だ。もうやめたほうがいいんじゃないかな、と俺は思っている」と相方に初めて本音を伝えた。だが、春日から「私、どう考えても幸せなんですけど」「不幸じゃないと努力ってできないんですかね?」と返され、若林は、ますます相方のことが分からなくなる……。

その後、春日は何事もなかったかのように、野球観戦の続きを楽しんだ。

山里が新しい相方獲得作戦に動く

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ピン芸人・イタリア人として結果の出ない舞台に立ち続けていた山里は、男女コンビを組むと決意。相方にするなら、解散したばかりのしずちゃん(山崎静代/富田望生)がいいと意気込む。

だが、彼女はすでに別の芸人と新しいコンビを組んでいた。しずちゃんを諦めていたものの、ひょんなことから知り合った丸山花鈴(渋谷凪咲)の一言をきっかけに再燃。しずちゃんに振り向いてもらうべく、あの手この手を使って近づこうとした。最終的には、芸人仲間から強引に連絡先を聞き、ケーキバイキングに誘った。

そこで「俺と君のネタを書いてきた。この台本に未来を感じたら、俺とコンビを組んでくれませんか?」とお願い。ルール違反であることは分かっていたが、しずちゃんとなら面白いことができると思う、とぶつけ、台本が面白かったら、翌日、公園に来てほしいと伝えた。

次の日、しずちゃんはコンビを解消して山里のもとへ来てくれた。「南海キャンディーズ」誕生の瞬間だった。

胸が張り裂けそうになる高橋と森本の演技

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芸人活動がうまくいかずに苦しんだり、相方を手に入れるために奔走したり……。第5話では、すり減っていく心の中でできた“廃油のような葛藤”を抱えたふたりがそこにいた。若林を演じた高橋も、山里を演じた森本もとにかくカッコ悪かった。カッコ悪くて、とてもカッコ良かった。

いくらでも“アイドル”としての一面を残すことができるのに、『だが、情熱はある』でのふたりはそれをしない。高橋は相変わらず灰色の目をしていて、森本は山里に見える瞬間が何度もある。

本編後半では、ナイスミドルの終焉(後に回避)と南海キャンディーズ誕生の瞬間が交互に描かれた。高橋が春日役の戸塚に苦しみを訴えるシーンは、まじりっ気のないシンプルな言葉で妙にリアルだったし、それまで執念深くダサい行動ばかりしていた山里が、最後はストレートな言葉でしずちゃんに想いを伝えたところはグッときた。彼らが口にだす“原液の言葉”は、痛みが伴うし、まっすぐに心に響く。

高橋と森本の演技を見ていると体温が高くなって、自分の感情を殴られたような気持ちになる。何者でもない若林と山里の葛藤が伝わって胸が張り裂けそうになるのだ。「泣ける」なんてものじゃない。高橋と森本にはいつも「泣かされる」。

次回は5月14日に放送。南海キャンディーズが初舞台で惨敗? ナイスミドルはテレビに出るチャンスが到来するも……。まだまだ売れる気配がなくても情熱はある――。

文・浜瀬将樹

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