『夕暮れに、手をつなぐ』広瀬すずと永瀬廉、時代を彩る2人の恋の結末

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『夕暮れに、手をつなぐ』広瀬すずと永瀬廉、時代を彩る2人の恋の結末

夕暮れに、手をつなぐ』が最終話を迎えた。

ずっとすれ違い続けた浅葱空豆(広瀬すず)と海野音(永瀬廉)。2人の恋はどんな結末を迎えたのだろうか。

夕暮れのあとに訪れたのは、もう一度手をつなぐための長い夜

東京で再会したあの夜、空豆はホテルのバルコニーから音に呼びかけた。「名前聞いとらんやった」と。まるであの日を再現するような、3年後の福岡の夜。今度は、音が呼びかける、歩道橋の上から、あのときは名前も知らなかった、ちょっと変わった女の子に向かって。

長かった。お互いとっくに恋に落ちていたはずなのに、実るまでに3年もの時間がかかってしまった。不器用で、素直じゃない2人だ。でもだからこそ、やっと抱き合えた2人を見て、ただただうれしくなる。

すれ違い続けた2人をつないだのは、想い出だった。同じタイミングで、同じ曲を聴いていた出逢いの交差点。2人とも覚えていたから、もう一度出逢えた。「忘れんで」と言った空豆と、「忘れられっかよ」と答えた音。その言葉通りの3年間だった。ずっと心に相手のことを想い続けていた。いつかまた会える日のために、それぞれの場所で頑張り続けてきた。

あの日、入れ違いになったワイヤレスイヤホンを交換したときのように、2人は歩道橋の上で再会する。あの日と違うのは、もう気持ちは止められないこと。2人はこらえ切れないように抱きしめ合う。ずっと恋しかったお互いのぬくもりをかみしめ合う。

空豆の首にマフラーを巻く音の表情は今まででいちばん優しい。まっすぐに空豆を見つめて「好きだよ」と伝える。空豆は、少し照れくさそうに視線を落として、「今さらやなか」と頬をつねる。相変わらずはねっかえりだ。でも、そんなところも空豆らしい。そして、音を見上げるその顔は今まででいちばんキラキラしていて美しい。

ずっと待ち続けていた2人のキスに、なんだか見ているこちらまでドキドキしてしまう。そっと首を傾ける永瀬廉の横顔と顎のラインがあまりにも美しくて、体ごととろけてしまいそうだ。まるで子どもみたいに空豆は音に抱きつく。あの「離れんで」は、母がいなくなった日からずっと心の中にいる幼い日の空豆が叫び続けた言葉。それをやっと言えた。やっと受け止めてくれる人ができた。いとしさが抑えきれないような広瀬すずの表情が愛らしくて、こちらの頬まで自然と綻んでくる。

キスを終え、2人は見つめ合う。額を預け合う2人の密着感と、射し込む街灯が、まるで絵画みたいで、優しい気持ちは泣きたい気持ちに似ているとこのドラマを観て思ったけど、幸せな気持ちと泣きたい気持ちも似ているんだなと、最終話を観て改めて気づく。

夕暮れどきは、過ぎた。あんなに怖くて、長い夜がやってきた。でも2人でいれば、不安で、寂しい夜も、温かい。夕暮れにつないだ手を、夜の訪れと離した2人は、暗闇の中でお互いを探し合い、また見つけた。そして、新しい朝を迎える。これからはもう二度と手を離さない。ずっと2人で生きていくのだろう。その姿を見届けられたことが、ただただうれしい。

胸を高鳴らせた、タイトルバックの「こたつの足」

広瀬すずと永瀬廉。時代を彩るような2人の恋の物語は、たくさんの夢を見せてくれた。

広瀬すずは、思わずはっとするような表情の数々で、僕たちの心を射抜いてみせた。この最終話なら、待ちぼうけをしているときのあの表情だろう。気まぐれな猫みたいな大きな目から、涙が一筋こぼれる。膝に顔を埋め、今度は右の目から涙が流れる。広瀬すずには儚さと強さの両方がある。切なくて、でもフォトジェニックで、彼女の強い引力がこの物語の原動力になった。広瀬すずのような存在を、時代に愛される女優と呼ぶのだろう。

永瀬廉は、控えめで、思慮深くて、ちょっと寂しそうな、こういうドラマには欠かせない、みんなが恋をしてしまう男の子をしっかりと体現してみせた。彼特有の憂いを含んだ佇まいが俳優としての強みだけど、このドラマではそれだけではなく、クスッと笑えるような切り返しや軽口を何度も見せてくれて、ごく普通の男の子をとても魅力的に演じられる力量を証明してみせた。もっともっと俳優として活躍する彼を見てみたい。

若者たちを包み込むような夏木マリの懐の広さ。物語に躍動感と奥行きを与えた遠藤憲一の豪放さと繊細さも忘れがたい。何より個人的には、葉月心役の黒羽麻璃央に可能性を感じた。ちょっとチャラいんだけど、つい心を許してしまうような人なつっこさが彼にはある。すでに舞台では確たるポジションを築いている黒羽だけど、やっぱり映像でももっともっと飛躍してほしい。群雄割拠の若手俳優の勢力図を塗り替えるポテンシャルを黒羽麻璃央は持っていると思う。

王道を貫きつつ、新しい挑戦をいくつも盛り込んだ北川悦吏子の脚本。世界でいちばん美しいラブストーリーという惹句に説得力をもたらした映像美。胸が泣くようなヨルシカの音楽。スタッフィングもそれぞれに素晴らしかった。

そして、全話を華やかに彩ったエンディングのタイトルバックもこのドラマのチャームポイントだった。実は、最終話でいちばん胸がキュンとしたのは、このタイトルバック。おなじみのあのこたつで並んでいる2人の足を見て、うれしさと照れくささと祝福がないまぜになって溢れ出てきた。

こんなふうにいつまでも一緒にいてほしい。冬も、春も、そして夏も、秋も。どんな季節も思い出すこの気持ちを、人は「好き」と呼ぶのだろう。

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