臼田あさ美「新たな発見しかなかった」連ドラ初主演『ちょい釣りダンディ』

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臼田あさ美さんが連続ドラマ初主演を務める『ちょい釣りダンディ』(BSテレ東、BSテレ東4K、毎週月曜24:00~)が、現在放送中です。

原作は阿鬼乱太氏の同名コミック(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)で、ドラマ化にあたり主人公の設定を男性から女性に変更。臼田さんは建築設計事務所に勤め、会社帰りや仕事の合間に釣りを楽しむ“ちょい釣り”女子の主人公・檀凪子を演じています。

今回は、クランクアップを迎えたばかりの臼田さんにインタビュー。連ドラ初主演で芽生えた新たな感情や、撮影の裏側について聞きました。

――連ドラ初主演ということで、撮影を通じて新たな発見などはありましたか?

もう発見しかなかったです。主演という意識はあまり持たずに、今まで通り「いただいた役を最後まで精一杯演じよう」と思っていましたが、共演者の方と過ごす時間も長いですし、今まで見えなかったものも見えてきて。本当にまったく味わったことのない経験をさせていただきました。

――具体的に、どんなことを感じたのでしょうか?

ゲストで来てくださった方に、できるだけリラックスしてお芝居してもらえたらいいなと強く思いました。私なんかより経験が豊富で、しっかりとお芝居される方がたくさん来てくださったので、私が心配することではないんですけどね(笑)。それでも、私自身がゲスト出演する際に緊張しちゃうような経験が今までにたくさんあったので、余計な緊張はせずに良いパフォーマンスをして、「楽しかった」と言って帰ってくれたらいいな、という気持ちになりました。

――もともと男性だったキャラクターが女性に変更されていますが、原作を踏襲しているところはありますか?

エピソードやストーリーは、原作から引き継いでいるものもあります。ただ、キャラクターの面では性別の違いは大きいですし、原作に寄せるというよりは、脚本上の檀凪子を意識して演じるようにしていました。

――凪子を演じる上で、“ここは貫こう”と思っていた部分を教えてください。

「ダンディズムとは」みたいなことを最初はすごく考えましたが、毎回冒頭のナレーションでも出てくるように、ちょっとした時間に自分の趣味を一人でサラッと嗜めること自体がダンディなんじゃないかなと思って。きっと「ダンディズム」って人それぞれ違って、檀凪子にとってブレないのは、一人時間に釣りを楽しんで、自分の人生を豊かにすること。そこに対して1本筋が通っていれば、あとは接する人によって流されてみたり、ワケのわからないことに巻き込まれてみたりっていうのもありなのかなと。回を重ねるに連れて遊びのあるキャラクターになり、ストーリー性にもちょっと遊びが出てきたような気がします。

――わりと自由度の高いキャラクターだったと。

そうですね。脚本家も監督も一人の方ではないですし、その回によってそれぞれの描きたいことも違っていたりして。もちろん、釣りを楽しんで人生を豊かにする、ということはベースにありますが、本当にまったく違うキャラの回もあったので、「今日はちょっと違う人を演じてるんじゃないか」と思う日もありました(笑)。

――(笑)。演じる凪子は、自分だけの一人時間を大切にしているキャラクターです。

檀は「他のことは考えない」と区切って一人時間を楽しんでいるけど、私自身は日常の延長に仕事や趣味があって、どうしても日常が切り離せなかったりするんですよね。きっと今、私が臼田あさ美として釣りを始めたら、「今日の夕食になる何か釣れないかな?」とか欲深い時間になってしまうと思いますが(笑)、凪子にはそういう欲深さもなく、ただ釣りを嗜んでいる。なんなら魚も釣れずに、海を眺めているだけでもいい。この“何も釣れなくてもいい”という精神は、すごく贅沢だなと思います。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

本当に平和な雰囲気で進んでいきました。誰か一人が率先して盛り上げるという感じでもなく、みんながボソボソッと面白いこと言って、クスクスッみたいな(笑)。

――キャストの方とコミュニケーションを取るときに、ふだんから心がけていることはありますか?

私は人見知りなので、それこそゲストとかでドラマに出させていただく時には「どういう現場なんだろう? どういう空気なんだろう?」と探っている間に終わってしまうようなことも多いんです。でも、今回は自分がずっと現場にいるというのもありますし、上地雄輔さんは20年近く前から知っていて、太田莉菜さんはプライベートでも交流がある友人で、川瀬陽太さんも初共演ではなくて。知っている人がいてくれたのはかなり大きくて、今までよりも距離が縮められましたし、最初から安心感がありました。

――初主演の現場を支えてもらったという思いも?

みんなが私のことを支えてくれているっていうのは、すごく感じました。それがプレッシャーになるようなことはなくて、なんとなくみんなが私をわかってくれている感じがして、本当に安心して現場にいられましたね。

――なかでも印象的だったやり取りがあれば教えてください。

キャスト同士が仲良くなってお喋りが増えてくると、本番の緊張感も薄れてしまうことがあって。私は集中しないと切り替えられないタイプなので、これはどうなんだろうと思う瞬間もありました。でも、川瀬さんが「もちろんやるべきことはやらなきゃいけないけど、異常な緊張感やピリつきがあったほうが良い芝居ができるような作品ではないから、それぞれが準備することはちゃんとやって、現場はこれでいいんじゃない?」みたいなことを会話の中でサラッとおっしゃっていて。たくさんの現場を経験されている川瀬さんがそう感じているなら、それも間違いではないなと思って、あまり悩まなくてもいいやという気持ちになりました。

――その言葉で心がほぐれたんですね。今回は実在する釣り場に行かれたということで、プライベートでもう一度行ってみたいと思うような場所はありましたか?

どこも良かったですけど、昨日まで行っていた小田原はすごく水が綺麗で、実際に魚も釣れました。いろいろな魚がいて、仕掛けを変えたり、針を変えたり、餌を変えたりすることで違う魚が釣れたりもするみたいなので、この作品で身に付けたことを発揮できる場所なのでは!? と思っています(笑)。

――釣り初心者の方はもちろん、魚料理の知識なども登場するので、幅広い方が楽しめるドラマですよね。

そうですね。エサについての豆知識だったり、なんとなく知っていたけど実際にやったことがなかった仕掛けが出てくるなど、釣りがお好きな方にとっても新鮮な情報があるかもしれないので、是非楽しんでもらえたらと思っています。

(取材・文:nakamura omame)

<第3話あらすじ>
電車の故障で帰れなくなった檀凪子(臼田)は、ハプニングもちょい釣りチャンスとし、多摩川沿いの川崎河港水門で川釣りにやってきた。

延べ竿を取り出すと、小学生のタクミ(齋藤絢永)が一人だけで遊んでいる。凪子は子供でも出来るテナガエビ釣りの秘密兵器“やじろべえ天秤”を使ってエビを釣ってみせると大喜び。そこにタクミの父(西尾友樹)が探しに来てテナガエビ釣りで盛り上がる。

小料理屋夕まづめでは女将の七瀬いつき(太田)がテナガエビの唐揚げを、社長の天王寺誠(上地雄輔)は自宅でエビパスタを作り、まさに二人の凪子争奪戦が始まろうとしていた。

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