塩野瑛久、滝藤賢一のスタッフへの心遣いに感銘「先頭の人が…」【連載PERSON】

公開:

人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、滝藤賢一さんと広瀬アリスさんが主演を務める連続ドラマ『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59~)に、大谷和馬役で出演している塩野瑛久さんが登場します。

2011年、『第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』にて審査員特別賞およびAOKI賞を受賞した塩野さん。2013年に『獣電戦隊キョウリュウジャー』の立風館ソウジ/キョウリュウグリーン役でブレイクすると、映画『HiGH&LOW THE WORST』、舞台『里見八犬伝』など、多くの作品に出演。その端正なルックスとナチュラルに醸し出すミステリアスな雰囲気で、塩野さんにしか出せない魅力を放ち続けています。

塩野さんが出演する『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』は、犯人が“まだ仕掛けていないトリック”を先回りして解き明かしてしまう探偵・千曲川光(滝藤)と、巨額の遺産争いにより命を狙われる十川一華(広瀬)、そして一華のスーパー家政婦・橋田政子(水野美紀)が繰り広げる痛快コメディ・ミステリー。

大谷は、一華が働く化粧品会社の先輩で、彼女に好意を抱いている役どころ。今シーズンより、新キャストとして現場に挑む塩野さんが見た“座長”滝藤さんの背中とは――。『探偵が早すぎる』へのアツい思いと共に語っていただきました。

まっすぐな大谷に共感する恋愛観

――現在演じている大谷について、どんな印象を持っていますか?

とにかくまっすぐ。もともと一華ちゃんのことを“好き”の状態から(物語が)スタートしているので、何がきっかけで、どういうところが好きなのか、想像しながら演じさせていただいています。

――大谷は一華のどんなところに魅力を感じていると思いますか?

一華ちゃんは普通の境遇の方ではないので、やはりほかの女性とは違う魅力があるんだろうなと思います。あとは、飾ろうと頑張っているんだけど、ポロっと出ちゃう部分がかわいらしくて、目が離せないんじゃないでしょうか。

――本作では、大谷が一華へ積極的にアプローチをしています。塩野さん自身は、恋愛面で彼に共感できるところはありますか?

大谷は1話に1回は一華ちゃんのことを誘っているんですけど、そうやって1人の女性に対して“この人だ”と思ったら、積極的にアプローチしていくのは、僕と近しい部分があるのかなと思います。僕も、(恋愛のチャンスは)1回じゃないと思っているので、告白して断られたとしても、期間を空けて気持ちを伝えることがありますね。

――断られても心は折れないんですね。

再度告白したときに、“こんなに長い間思ってくれていたの?”って気持ちになってくれるんじゃないかな、と淡い期待をこめています(笑)。

――『探偵が早すぎる』では、続編からの参加です。関係性のできたチームに新しく加わる形となりました。

シーズン1で作品の楽しい雰囲気を作り上げていたお三方が中心にいたので、そういう意味ではやりやすかったですね。やっぱり本を読んだだけでは、あそこまで(表現ややりとりの)広がりがあるとは思っていなかったですし、現場に行って分かったこともあります。その中で自分はどういうポジションで、何ができるかな、というのを意識しながらやっていました。

もちろん、(お芝居で)砕けたいとか、挑戦したいとか、滝藤さんに勝負を挑みたいなとも思いましたが、自分は、作品の中で真面目な恋愛パートを任されている気がするので、そのあたりは、きちんと向き合いながらやっています。

――同じく新キャストで恋のライバル・美津山宗介役を萩原利久さんが演じています。合間は、どんなお話をされるんですか?

過去の作品のことを話す機会が多いです。あと「細いのがコンプレックス」って言うから、「こういうことすればいいよ」とアドバイスしたこともあります(笑)。年齢が近い役者さんなので、気が合いますし、しょっちゅう話をしています。

3人でしか作ることができない空気感

――滝藤さん、広瀬さん、水野さんのやりとりがユニークで面白く、毎回とても楽しみです。

みなさん(コメディ芝居への)ギアの上げ方がすごいなと思います。日々、大変でしょうけど……。すみません、生意気ながら、(お三方)自らが背負った枷(かせ)なので頑張っていただいて、僕らは遠くでアハハと笑っておきます(笑)。

――(笑)。主に塩野さんは、リアクター側にまわることが多いと思います。そのあたりで意識していることはありますか?

(3人にプラスして)まっとうではない人間を作り上げてしまうと、シーン自体が破綻すると思うんです。周りが突発的なことをしたとき、それに対して“苦笑いするポジションは必要だよね”というところで、常識的な考えを持つように意識しています。視聴者に近いポジションだと思います。

――3人は裏でも現場を盛り上げてくれるんですか?

そうですね。特に滝藤さんははじめのころからラフに“アッキー”と呼んでくださって、めちゃめちゃ嬉しかったです。

僕らがドラマに出演することを発表した記事も読んでくださったみたいで、カツラもつけていたし、一瞬だったので、ご本人は覚えてないのは当然なんですけど、『一度だけNHKのドラマで挨拶をさせて頂いたことがあった』とコメントを出させていただいたら「アッキー、いつ挨拶してくれたっけ?」って……。そこから会話が弾んで、本当にありがたかったですね。

――滝藤さんらベテランの方々といると、吸収するもの・気付かされるものも多いですか?

主演でいることの難しさや大切にするべきものなど、背中を見ていて感じることは多々あります。滝藤さんは、その日に撮るシーンだけではなく、後日撮るシーンも考えていらして。『探偵が早すぎる』は、どんな衣装を着て、どんなシチュエーションで出てくるのかなど、細かく話し合って決めるんですけど、滝藤さん発案のシーンもあるんですよ。

打ち合わせも本当に楽しそうで、スタッフさんも気持ちよく仕事ができているんだろうなと思います。そういうのってすごくいいなと思うし、僕も経験を重ねて、滝藤さんのようなポジションになったら、同じようにふるまえたらいいなと思います。

――座長としてついていきたくなる方なんですね。

スタッフさんへの気配りもそう。「僕が主役をやらせてもらったときは、お弁当もなるべく温かいものを食べていただきたい。“メシの時間はちゃんと作ってほしい”って言っているんだ」と話されているのを聞くと、感動しますね。そういうところを先頭の人が思いきって言ってくれると、スタッフさんも喜ぶし、大事なことだなと改めて思います。

いま一度、名作を振り返って涙

――続いて、塩野さんとテレビとの関わりについてお聞きしたいです。影響を受けたテレビ番組を教えてください。

僕の青春時代ど真ん中だったのはドラマ『花より男子』ですね。じつは、大人になってからも見返してみたんです。もちろん子供のころも面白かったですけど、大人になって見ると、グッとくるものもあって……。本当に全世代に愛される作品だったんだなと思いました。

大人になってから分かる感情もあって、より泣けるシーンもありましたし、曲もいいし、物語の展開も素敵だし、胸がギュッと締めつけられるような感覚になりました。大人になってからのほうが、その感覚は強かったかもしれないです。

――子供のころとは違った受け止め方をしたと。

そうですね。どちらかと言えば、リアルタイムでやっていたときは、“カッコいい”などが優先だったんでしょうけど、いまは内容をしっかり把握できるからこそ、グッとくるものがありました。

――過去作を今になってもう一度見ることも多いんですか?

そうですね。映画版もドラマ版も『ウォーターボーイズ』が大好きで、見返しました。

あと、最近ビックリしたのが、市原隼人‎さんが主演されていた『ランナウェイ~愛する君のために』のファンが俳優仲間に多くて、めちゃくちゃ盛り上がったことですね。共演した方とそういう話になったときに、好きなドラマとして挙げられることが多い作品なんです。僕も好きな作品だったんで嬉しかったですね。そうやって掘り返せば掘り返すほど、名作ってたくさんあるんだなと思いました。

――最近見たテレビ番組&配信系の番組で印象に残ったものは?

つい最近、配信で『あいのり』を見たんですけど、泣いちゃいました。あれは、ただの恋愛バラエティ番組じゃないですよ! 外国に行って、現地の文化に触れて、メンバーが地元の人と一緒に何かをしているのがすごいし、番組スタッフさんの愛もすごい。その裏側が見え隠れするのも含めて、超感動しちゃって……。恋愛も素敵なんですけど、国を超えた人間関係も素敵でしたね。

――塩野さんが役者をするうえで大切にしている軸は?

“人にやさしく”です。(スタッフを大切にする)滝藤さんもそうですが、どこまでいっても、どんなポジションになっても、そういった信念を貫き通せるのはすごいなと思います。

――最近だと恋愛バラエティ『私たち結婚しました2』への出演も記憶に新しいですが、役者以外の経験を経て、何か気付かされたものはありましたか?

“自分”という人間と向き合うことになりました(笑)。番組を見ていると、“僕って人間らしくないな”と思っちゃって……。お芝居をしているときにカメラを向けられるのは気にならないですけど、そうじゃなくなると、ひとつギアが入るんです。だから、もっと人間らしくていいんだなと思いました。

――『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』も後半戦。今後ご自身の役ふくめて見どころを教えてください。

どこからどこまでが台本で、どこからどこまでがアドリブなのか分からない作品ですが(笑)、キャスト・スタッフ一同、一つひとつの現場を大切にしながらやっています。みなさんの心を照らすようなドラマでもあると思うので、笑って、トリック返しして、スッキリしていただきたいなと思います。

大谷としては、恋愛要素を任されている役だと思うので、彼の気持ちに共感して、寄り添っていただける方がいましたら、(所属事務所の)LDH JAPANのほうに、感想をお待ちしております(笑)。どうぞよろしくお願いします。

(取材・文:浜瀬将樹、写真:松本理加)

画像ギャラリー

PICK UP