大人のお子様ランチ?!長崎県民熱愛のトルコライスがうまそうすぎる件について

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大人のお子様ランチ?!長崎県民熱愛のトルコライスがうまそうすぎる件について

トルコライス、と聞いてどれくらいの人が知っていてどれくらいの人が食べたこともあるだろうか。何の根拠もなく筆者が推測すると、聞いたことある人が50%、その中で食べたことがある人はその50%つまり全体の25%くらい、だと思うたぶんおそらく。

ちなみに筆者は食べたことがある。どこか店名は忘れたが、東京の名も無いレストランになぜかあったのだトルコライスなるメニューが。ピラフの上にトンカツが乗っていてソースもかかっていてさらにケチャップ味のパスタも添えられている。洋食で食べたいものを全部放り込んだ、がっつり食べる料理という印象。ただ、洋食屋に行けばどこにでもあるメニュー、というわけではない。東京ではちゃんとした由緒ある洋食屋にはあんまりなくて、意外に無名のレストランにおいてある印象。その後、トルコライスはもともと長崎発祥と知った。へー、でもなんで長崎?どうしてトルコ?そのいわくを知りたい!

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秘密のケンミンSHOW」が長崎熱愛グルメとしてこのトルコライスを取り上げたので、いよいよトルコライス誕生の謎がわかる!と少しだが興奮した。まず長崎県民に聞くと口々に「大好き!」「長崎では誰でも知ってる、犬でも知ってる」「レストランでない店はない」と普通に答える。そうかやはり、発祥の地では日常的に食べられているのだな!しかも面白いのが、なぜトルコライスと呼ぶのかを聞いても誰も答えられないことだ。あまりにも生活に溶け込みすぎて不思議に思ったことさえない感じだ。

九州最古の喫茶店「ツル茶ん」には、当然メニューに入っている。この店ではバターライスにトンカツを乗せ、カレールーがかかって横にスパゲティーが添えられている。そう、これがトルコライスの標準的な姿だ。出てきたものをあらためて眺めると、これは映える!インスタ映えする!そんな見た目も素敵なトルコライスを、老若男女の長崎県民が次々に平らげていく。「トンカツとスパゲティー、別々じゃダメですか?」と聞くと、「味が混ざって七変化する、それが大事!」と興奮気味に答えるのだった。

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さらに別のお店「カフェドシェル」で陽気なマスターが出すトルコライスは、ごはん部分がドライカレー、ソースはデミグラスソースだった。つまりトルコライスはひとつではないのだ!トンカツではなくハンバーグとか、焼肉とか、中には長崎和牛のステーキとか、食べたいもの何でも入れちゃう夢のメニュー!中華料理屋ではチャーハンだったり、インド料理やでは本格インドカレーがかかってたり、その店その店の特色あるトルコライスを提供している。

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さていよいよ、なぜ長崎でトルコライスが生まれ、なぜ「トルコ」と名前がついたのか、長崎外語大学の副学長・姫野順一氏に聞いてみた。ようやくわかるぞ、トルコライスの謎!トルコライスのいわれには諸説あるそうで、姫野氏によれば有力なのは二つだという。

ひとつは、戦後に外国航路でシェフをしていた料理人がある将校に何か作ってくれと頼まれた。その時、トルコのピラウ(ピラフのこと)を作って出したらおかずも欲しいと言われた。そこでカツとスパゲティを乗せて出したのがトルコライスの始まりだ、という説。

もう一つは、やはり戦後、長崎にレストラントルコという洋食屋があり、焼き飯とスパゲティーとトンカツをワンプレートで出すメニューがあった。店名からトルコライスと呼ばれて他の店にも広まった、という説。

いずれにせよ、昭和30年代に長崎で生まれて広まり、チャンポン同様長崎独特のメニューとして他県にも伝わっていったのだろう、ということだ。

長崎県民・草野仁が解説を加えるには、2000年代に長崎市の食の推進委員会がチャンポン・皿うどんに続く第3のソウルフードとして推したことで、県内で提供する店がぐっと増えたそうだ。ただ、トルコに行ってこのメニューを説明すると、ごはんとスパの炭水化物重ね食いには否定的な反応を示し、トンカツに至ってはイスラム教の国ではありえないものだと言われてしまった。そうか、トルコライスの「トルコ」には本当に何の根拠もゆかりもないのだなあ。

トルコとの縁は置いとくと、トルコライスは筆者も頻繁に食べたいと思うので、他県でももっと広まって欲しいものだ。杉本彩が「大人のお子様ランチ」と表現していたが、まさにそうだ。ピラフとトンカツとカレーとスパゲティーの味がだんだん混ざりつつ食べられる幸福!ほら、あなたも食べたくなってきたでしょ!置いてあるお店を探してみて!

〜「秘密のケンミンSHOW」6月6日放送回より〜

【文:境 治】

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