「そこまで言って委員会」議長指名に、鼻血を出しつつ「私がやらなきゃ」 黒木千晶(読売テレビアナウンサー)インタビュー(前編)

公開: 更新: 読みテレ
「そこまで言って委員会」議長指名に、鼻血を出しつつ「私がやらなきゃ」 黒木千晶(読売テレビアナウンサー)インタビュー(前編)

そこまで言って委員会NP」の番組議長を辛坊治郎氏から引き継ぎ、今やすっかり番組の顔となった黒木千晶アナウンサー。予測不能の言動で吠える論客たちを手なずけたりいじったり、もはや立派な猛獣使いに成長した。猛者たちをどう仕切るのか、秘訣を聞き出すべくインタビューした。その前に気になるのが、議長就任時のこと。まずはそこから聞いてみた。

---「そこまで言って委員会NP」の番組議長になられて2年が過ぎましたね。議長に指名された経緯と、どう受け止めたのかを教えてください。

黒木千晶アナ(以下、黒木):議長になる2年前から番組に秘書として出ていたんです。それから1年半ぐらい経って突然、当時の議長・辛坊さんがヨットで太平洋横断に挑戦すると知って、番組はどうなるんだろうと心配しました。すると少し経ってから、当時のプロデューサーに、「あなたに議長をやってもらうことになりました」と言われたのです。その前日に足を捻挫して、どちらかというと足が痛い記憶の方が鮮明なんですが、びっくりしたというより、私がやらなきゃとその時思いました。

---カッコいいですね!私がやらなきゃと。

黒木:びっくりしたのはびっくりして、鼻血が出たんですよ。鼻血を出しつつですが、自然と受け入れていました。それまでも、秘書という肩書でしたが当時の辛坊さんは、もうオブザーバーみたいな立ち位置で、皆さんに好きに議論してもらい自分も好きなことを言って強引に締める。実は人に話を振るのは、放送ではカットされていましたがわりと私がやっていたんです。だから、なんとかできるとの思いはありました。

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シナリオのない「そこまで言って委員会」の裏側

---そういう意味では自然な流れだったんですね。むしろ大先輩・野村明大さんが秘書になる方がビビったのでは?

黒木:びっくりしましたけど、やっぱり番組のことは私が1番わかっているので、という気持ちはありました。なので、例えば事実関係などで不安なことを隣でフォローしてくれる先輩がいてくれるのは、すごく心強いと思いました。実際、明大さんがいてくれるおかげで、自由に発言できているところはあります。

---議長を始めて、やってみると戸惑ったことはありましたか?

黒木:なんとかなると思っていたものの、 やってみると辛坊さんの破天荒に見えて実は的を射た意見とか、逆に辛坊さんが乱暴なことを言うから、論客がそれに引っ張られて、さらにめちゃくちゃなことを言う化学反応があったことに気づきました。あの番組を楽しみにされている方にとってはそこが肝だったろうなと。そんな場面が抜けたままでこのコーナーをどう締めようとか、当初は迷いが多くありました。これでいいのかな。皆さんが自由に議論する空気を、奪ってるかもしれない、とか。

---番組の進行にはある程度シナリオとか構成台本みたいなのはあるんでしょう?

黒木:ないです。

---ないんですか!

黒木:シナリオは一切ないんですが、当日朝、扱うテーマについてのパネリストの方々のアンケートはもらいます。あとは座組みを見ればどういう話になるかは、なんとなく想像がつく。でもさらにその先の部分がもしかしたら、辛坊さんがいた時より皆さんの楽しみを奪っちゃってないかという不安は若干あります。

---でも台本がない割には絶妙な親父ギャグを須田慎一郎さん(経済ジャーナリスト)が言ったり、竹田恒泰さん(作家)がせっかく進んでいた議論を別の方向に持っていったり。それが見てると楽しいんですが、全部皆さんの即興で進行しているんですか?

黒木:だから、ある程度は想定できていたつもりが、毎回想定以上の流れになっていくことが圧倒的に多くて。パネリストさんたちは何を聞いても答えてくれるし、面白くしようとしてくれる。そこは番組との信頼関係があってこそと思っているので、その信頼関係を私もスタッフの一員として崩さないようにといつも考えています。ここに来たら好きなことが話せる。ここに来たら少々無茶なことを言っても、うまく編集して放送できるところまで持っていってくれる。そんな信頼をパネリストさんから感じます。だから皆さん、自由に発言されてるのかなと思います。

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「須田さんは紳士。竹中さんは笑いに貪欲」

---そうは言ってもやりやすい人もいれば、やりにくい人もいたりするんじゃないですか?

黒木:いや、いないです。やりにくい人はいないですね。皆さんの多様な意見が肝なんですよ。だから、好き勝手言ってくれているのを見るだけで嬉しいというか。もちろん暴走しそうなこともありますが、こっちに戻ってきてくださいと引き戻したら、ちゃんと戻ってくれるので。

---須田さんがセクハラ気味のことをよく言ってますが、どうなんですか?

黒木:須田さんは紳士なんです。これはキャラ崩しになるので申し訳ないんですけど、裏ではものすごく紳士的な人で、毎回すごく律儀。ものすごく礼儀正しい方です。

---意外!(笑

黒木:皆さんそうなんです。あそこは特別な舞台なので、表ではそこに向けてキャラを作って持ってきてくれる。でも裏では和気あいあいとしています。バラエティ番組なので、そこは皆さん考えてくださってるなとは思います。

---いつも気になっちゃうのは、竹中平蔵さんは特にいじってませんか?

黒木:竹中さんは打ったら響く面白い方なんです。和歌山のご出身で関西の方だからか、多分委員会メンバーの中で実は1番笑いを取りに行こうとする方なんですよ。ほぼ100発100中。だから、どんな答えが返ってくるのか、ついついいじりに行きたくなってしまう。

---なるほど、いつも平然とした顔で返してますよね。

黒木:竹中さんもこの番組を面白がってくれているのが伝わるので。竹中さんに限らず、この番組でしか見られない顔を持ってる人って、いっぱいいらっしゃると思います。パネリストさんのそういうところを大事にしたいなと思って、ついおちょくってしまうんです。

---野村明大さんとはどうなんですか。東京にいると他の番組の明大さんを知らないので、いじられキャラの人に見えています。でも関西の皆さんの話を聞くと、普段の報道番組ではキリッと解説してるそうで。

黒木:明大さんはこれまでの経歴を見れば、報道記者でバンバン、スクープを出してたり、ビシっと解説するキャラですけど、私は普段話していると、おおらかで天然な人のイメージがあります。あの番組の明大さんのキャラは、私は素に近いと思いますよ。あそこは明大さんのような識者がいっぱいいるから、皆さんにいじられて楽しそうだなといつも思ってます。

---ほとんど喋らないけど、発言すると、いじられて口とんがらせたり。

黒木:はい、可愛らしいキャラクターですね!

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---いつも感心するのは、 皆さんもすごく勉強してきてますが、黒木さんも例えば本を取り上げる回だと、ちゃんと読んでなきゃ言えないことを発言されています。毎週いろんなテーマがあって勉強したり、本読んだりと相当大変ですよね。

黒木:でも4年やってある程度知識の蓄積は出てきたとは思うし、大変さに慣れてきたところはあります。

---計算できないかもしれないけど、週にあの番組の準備に何時間ぐらいかけてますかね?

黒木:基本的に2週に1回、2本収録があるので、それに合わせて2週間そのテーマのことは気にしています。関連する記事があったら、切り抜いておいたり。「委員会」が日々の報道番組と違うのは、1つのテーマをかなり深く掘ることです。今起きていることだけじゃなくて、過去からどういう流れがあってここにたどり着いたのか、背景までしっかり理解しないと中身のある討論にならないので、そこは意識してますね。今回扱う話の肝がなんなのか、全体像が見えるまで勉強する。時間は言えないですけど、なるほどわかった、と全体像が見える瞬間があるのでそこまではやります。あとは 論点がいくつあるかを理解する。

---確かにそうじゃないと議長はできない

黒木:もちろん、皆さんの多様な意見がいちばん大事ですが、片方の意見だけになっては物事の本質が見えてこないので、あえて逆の意見を持ってそうな人に話を振ったり、この論点も必要ということを押さえておかないと、せっかくの貴重な意見が逆効果になりかねない。そういうことも考えて、これまでの流れと論点は理解するようにしています。

---素晴らしいですね。

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ツワモノ揃いの「そこまで言って委員会NP」をまとめ上げる黒木議長。
「委員会」に懸ける思い、驚きの実家事情、そして今後の目標を語る後編インタビューは
来週公開予定!

【文:境治】

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