中国のEVに、日本はもう追いつけない?だからこそ、不安と懸念を洗い出せ!

公開: 更新: 読みテレ
中国のEVに、日本はもう追いつけない?だからこそ、不安と懸念を洗い出せ!

日本と中国との関係は複雑だ。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で熱戦を繰り広げたり、パンダのシャンシャンたちとの別れを惜しんだりなど、微笑ましい出来事もあれば、信じられない事もある。謎の偵察気球を飛ばしたり、世界各国に中国警察の海外派出所を設置したりと、中国の不気味な行動は枚挙にいとまがない。3月12日放送の「そこまで言って委員会NP」では緊急企画として「中国は何をしようとしているのか?徹底討論スペシャル」と題し、論客たちが中国の行動の謎を考察した。中でも学びの多かったのが、中国の電気自動車メーカー・BYDについての議論。EV(電気自動車)の世界販売台数はテスラに次ぐ第2位で、技術的には日本メーカーのずっと先を行くと言われるBYD。そんなBYDが今年1月、中型SUV「ATTO3」を引っ提げ、日本市場に本格参入した。しかし、BYDが日本で販売したEVバスのボルトやナットの錆びを防ぐために使われる溶剤に有害物質「六価クロム」が使用されていたことが判明するなど、問題点も浮上している。BYDに関して一番の問題は何か、を論客たちに聞いた。

近藤大介氏(ジャーナリスト・講談社 編集次長)は「日本はBYDのスゴさに気付いていない」と回答。
「5年前に深圳のBYD本社へ行き、中国で11番目の金持ちと言われる創業者・王伝福会長にインタビューした。5秒以内に時速100キロに達すると いうEVに乗せてもらったら、本当だった。もう技術が日本の電気自動車の比ではない。」

自動車業界に強い井上久男氏(経済ジャーナリスト)がBYDのスゴさをさらに語る。
「もうEVではBYDに日本の自動車メーカーはかなわない。その1つの証拠として、 BYDのEVの特許を1番たくさん使っている日本の会社は、実はトヨタ自動車。トヨタは、中国で売るEVについては、BYDと共同開発契約し、昨年の秋にその1号車が出ている。私も試乗したが、非常によく作り込んであり(日本製EVは)負けたかなと感じた。乗りやすいし、若い人に受けるデザインになっている。さらに車が非常に賢い。スマートフォンみたいな車だ。彼らの本当の狙いは日本市場ではなく東南アジア市場。ここはいま日本車のシェアが9割で日本がマーケットを席巻している。 日本がEVシフトに遅れているのでその隙に本格進出するべく、BYDはタイにEV工場を作ると言っている。」
竹田恒泰氏(作家)はEVそのものに疑問を呈する。
「そもそもEVは環境に悪い。 走行時に二酸化炭素を出さないだけで、電気を作るときにはバンバン出している。日本中、もしくは中国中の自動車が全部EVになった時、 その電気はいったいどうするのか。日本の主力である火力発電を考えると、化石燃料を燃やしてお湯を沸かし、その湯気の勢いでタービンを回して電気を作っている。その電気でもう1回EVのモーターを回す。つまり、軸を2回も回していることになる。だったら、最初からガソリンで軸を回すだけの方が環境負荷が低い。日本は、『EVは、実は環境に悪いだろ!』と言わなきゃいけない。」
井上氏がそれを受けて言う。
「EVが本当に環境にいいのかどうかの議論はある。だが世界各国の動きを見ていると、EVが環境にいいのかというより、車を賢くする意味でEVシフトが進んでいる。」
竹田氏がさらに熱く語る。
「今の話は大変重要で、“スマート化”だからやばい。私は回答として『国家情報法』と書いたが、これは“中国の民間企業は、要請があれば中国政府に情報提供をしないといけない”というめちゃくちゃな法律だ。BYDに乗ると、位置情報とか、生活パターンとか、社内での会話とか、あらゆる情報が取られる可能性がある。例えばある日本の政治家が5年、10年とBYDに乗って、総理大臣になったとする。 それを知った中国政府がBYDに対し『全部データを出せ』と要求すれば、この法律に従ってBYDは情報を提供しないといけない。」中国が車のスマート化を推し進める背景には、個人情報を抜き取ろうとする意図があると本気で警鐘を鳴らす。

小西克也氏(国際教養大学 客員教授)が同調する。
「中国政府はすでにセキュリティの観点から、政府や軍の関係者がテスラを利用することや、機密性の高い場所への乗り入れることを禁止するなど、EVに対し制限をかけている。中国自身がEV車に対してそういう規制をかけるということは、裏を返せば、中国が同じことをやりうるかもということになる。」
近藤大介氏もこの話に追随。
「その通り。2019年にファーウェイの本社に行って、スマートシティを作っているのを見た。スマートシティは、あらゆる情報を一元化して管理しているが、その中心はスマートカーだった。」

ここで張景子氏(元北京放送アナウンサー)が中国側を代弁して言う。
「EV化は世界の流れで、別に中国が誰かを潰すために巻き起こした旋風ではない。中国は情報管理に関していろんな問題があると言うが、それならば今から対策すればいい。日本人は問題を全てクリアしてからやり出すので、遅い。過程で問題があったら、一緒に話し合ってクリアすればいい。」
これに対し、番組議長・黒木千晶アナがツッコミを入れる。
「今の話を聞くと、やっぱり情報管理には若干の問題がある?」
張氏は「そういう懸念をもし他の国々が抱いているならば、みんなで話し合ってクリアすればいい。」と、話し合いを強調。
最後に竹田氏がキツい一言。
「日本が勝手に懸念を持っているのではなく、中国が国家情報法というめちゃくちゃな法律を作ったから怖くてIT技術製品を買えない。だから、中国から買えるものと言ったら、紹興酒とザーサイくらいしかない。」
これには一同爆笑し議論は終わった。

中国製のEV自動車、BYDの技術が進んでいることや、中国政府の懸念点があぶり出しとなり学びの多い議論だった。中国とは仲良く付き合っていければいいが、真に信頼しあえる関係を構築していくのには、撤廃していかなければならないハードルも数多いと言えよう。

【文:境治】

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