音楽大学から吉本新喜劇へ。異色の座員・大塚澪を後押しする先輩の言葉 中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」【31】

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音楽大学から吉本新喜劇へ。異色の座員・大塚澪を後押しする先輩の言葉 中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」【31】

音楽大学で声楽を学んでいたという異色の経歴を持つ吉本新喜劇の大塚澪さん(24)。“歌うま芸人”として日本テレビ系「ウチのガヤがすみません!」などでも注目を集めましたが、活動の指針となっているのは先輩座員からもらった言葉だと言います。


―音楽を始めたきっかけは?

お母さんがすごく音痴だった反動なのか(笑)、3歳くらいから音楽を習うようになったんです。そのまま音楽が得意になって高校も芸術専門の学校に進み、そこから音楽大学に行くことになりました。

音楽の専門で言うと声楽で、そのまま進んでいくとオペラ歌手になる人が多い流れでした。ただ、実家がそんなにお金持ちじゃなかったので、大学2年の頃に「このままだと3年からの学費がないぞ」となって辞めることになったんです。

―学費が理由で断念せざるをえないとなると、相当落胆したのでは?

そう言われることも多いんですけど、これがね、全く落胆しなかったんです(笑)。意外に思われるかもしれませんが、家族全員が楽観的なファミリーで「ま、そうなったら仕方ないか…」と。

近所のスーパーに就職するという話もあったんですけど、せっかく音楽を学んできたのだし、何かしら人前でそれを活かせる仕事をした方がいいんじゃないか。そして、オペラを活かすにはオペラを歌う人がいない舞台に行くのが一番いいんじゃないか。そう思った時に、頭に浮かんだのが吉本新喜劇だったんです。

―出身は埼玉県ですが、新喜劇にはなじみはあったのですか?

ほとんど見たことはなくて(笑)。大学の時に友達が動画サイトで見ていたのを見ていたくらいでした。なので、座員さんもほとんど知らず。座長さんでも知っている人の方が少ないくらいでしたし、間寛平師匠も知らなかったですし、そんな感じだったんですけど、なぜかパッと頭に「新喜劇だ」という思いが浮かんできたんですよね。

そして、調べてみるとオーディションがあることを知り、受けてみたら合格したという流れだったんです。

―ほぼ知識がない状況で入団されて、いろいろ苦労も多かったのでは?

これもね、大学を辞めた時と同じように本当に楽観的なのか、毎日がとにかく楽しくて。その思いで入ってから今まで4~5年ほど経ちました。

ただ、新劇劇云々の前に関西での生活が初めてですし、そもそも埼玉にはツッコミという概念がそんなに生活に根差していないので、座員さんから楽屋などでも「なんでやねん!」と言われたら「いや、こういう事情がありまして…」と理由を尋ねらていると思って答えてしまったり。これはね、しっかり鬱陶しがられました(笑)。

ただ、そういうやりとりも含めて、新喜劇での生活は本当に楽しくて。楽観的というか、そもそもの生命力が強いのかもしれませんね。

―強く影響を受けた先輩座員さんなどはいますか?

半年ほど前に島田珠代姉さんが言ってくださったことなんですけど、それが今もすごく大きな指針になっています。

多くの座員さんがいるので、同じようなキャラクターの後輩が入ってきたりもする。そこで珠代姉さんから言ってくださったのが「そんな時は、後輩にそのキャラクターや武器を譲って、自分は新しいことをした方がいいよ」ということでした。

珠代姉さんも山田花子姉さんが入ってこられた時に、同じ“飛び道具”というか、そういう色の後輩が入ってきたという意識がおありだったそうなんです。

でも、珠代さんは「今こそ、芝居を頑張るべき」と思って、新しい分野の“トレーニング”をされたとおっしゃってました。それがあったから今の自分があるし、その判断は良かったと思っている。一つの武器に固執するんじゃなくて、新たなものをゲットするチャンスだと思って一歩を踏み出してみる。そうすれば、必ず得るものはあると。

その感覚を持ってから、それまでの武器だった“歌のうまさ”ということだけではなく、他の要素を高めようと思うようになったんです。

歌という武器はなくなるわけではないし、さらに発想力を磨こう。自分は音楽系、芸術系のところで長く暮らしていたので、何かを作り出すこと。そのセンスを磨こうと思い、珠代姉さんの言葉の直後からYouTubeで自作アニメを出すようにしました。

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―このアニメが芸人さんの間でかなりの評判になっているんですよね?

一般的にはほとんど知られてないんですけど(笑)、芸人さんには面白いと言っていただきまして。

あと、アニメもですし、新喜劇ではなかなか使えないんですけど“高身長・巨乳”といった持ち味も使って、エロオペラみたいなピンネタもやっています。

そういう武器を新たに磨いて「R-1グランプリ」とか「THE W」とか賞レースでも結果を出せればと思っています。

―確かに、そうやって自分自身の“株価”を上げることが新喜劇のためにもなるでしょうしね。今年で大阪での生活も5年目。少しは慣れました?

さすがに、だいぶ慣れたとは思っています。戸惑ったことですか?関東には値切る文化があまりないので、最初大阪に来た頃は難波の高島屋で値切っているおばちゃんを見て「えっ?」と思ったというのはありますね。

…ん~、オチ薄いですよね?さすがに5年目になるので、自分がしゃべったことが薄いかどうかくらいはすぐに気づくようになりました(笑)。

■大塚澪(おおつか・れい)
1997年3月12日 埼玉県出身。高校時代から声楽を学び、音楽大学に進学するも2年で中退し、2017年にオーディションを経て吉本新喜劇に。歌唱力を活かしたネタやセクシーな要素を盛り込んだ“エロオペラ”などピンネタにも取り組んでいる。

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執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)

1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。